連載
ファーウェイは自動車を造るのか造らないのか? 無名メーカーと組んだ「AITO」ヒットで疑心暗鬼が再燃:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(1/6 ページ)
Huaweiの2022年12月期決算発表会が開催された。日本を含む海外メディアの関心は、規制下でのビジネスや半導体調達の見込み、そしてカナダで拘束されていた孟晩舟氏が4月1日から輪番会長に就任する件に集中した。しかし中国メディアの関心は、同社の自動車製造への参入にあった。
「私たちはちょうど本日、自動車を5年間造らないという社内決議を行いました」
3月31日に開かれたHuaweiの2022年12月期決算発表会で、自動車製造参入について質問された徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は食い気味に答えた。質問したのは中国テクノロジーメディアの記者だ。
Appleの主要サプライヤーである鴻海精密工業(ホンハイ)やスマートフォンメーカーのシャオミ(小米、Xiaomi)がEV製造に参入し、Huaweiもあとに続くのではとの観測は、この3年間度々浮上している。
昨年はHuaweiと地方の中小自動車メーカーが組んだ新ブランド「問界(AITO)」の新車種がヒットしたことで、業界の疑心暗鬼はさらに膨らんでいるようだ。
問界(AITO)の新車種「問界 M5 EV」。HarmonyOS 3を搭載するほか、10分で120km走行分の充電ができ、スマートアシスタント「Xiaoyi」で音声による各種操作に対応するという(出典:AITO、問界 M5 EV)
関連記事
- Teslaは低価格EV開発、BYDは高級ブランド新設 “EV界のトヨタ”になるのはどこか?
Teslaは3月1日、低価格の小型EVを数年内に投入する計画を発表した。一方、同社を猛追する中国BYDは、昨年末に高級ブランド参入を宣言。EV業界でのTeslaの一強体制は崩れつつあり、その背景にはEV市場の拡大とともに、ライバルが台頭したことがある。 - Apple減収減益でもiPhoneシェア拡大、「全員敗者のスマートフォン市場」
22年はグローバルでのスマートフォン販売台数が、過去10年で最低水準となった。また10〜12月期は強者Appleも減収減益となったが、グローバルでのシェアを伸ばしている。なぜだろうか。背景を紹介する。 - 中国で「日本のガソリン車」が再評価、中古市場拡大でリセールバリューに注目
中国汽車工業協会が発表した1〜11月の自動車販売台数によると、EVなど新エネルギー車の販売台数は600万台を突破。11月単月では新エネ車の販売比率は33.8%に達する。一方、中国の中古車市場の整備が進んでおり、残価率の高さから日本メーカーのガソリン車が再評価されている。 - 中国政府がIT企業の規制を緩和、大手のIPOへ前進か!?
2023年は、20年11月から2年以上続いた中国政府によるIT業界の締め付けが緩みそうだ。中国の新年に当たる春節を前に、政府の方針転換を示すシグナルが相次ぎ点灯。アント・グループや配車サービス最大手DiDiのIPO手続きも前進すると期待が高まっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.