ファーウェイは自動車を造るのか造らないのか? 無名メーカーと組んだ「AITO」ヒットで疑心暗鬼が再燃:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(4/6 ページ)
Huaweiの2022年12月期決算発表会が開催された。日本を含む海外メディアの関心は、規制下でのビジネスや半導体調達の見込み、そしてカナダで拘束されていた孟晩舟氏が4月1日から輪番会長に就任する件に集中した。しかし中国メディアの関心は、同社の自動車製造への参入にあった。
開発・販売に関与したAITOのヒット
「HI」と「HS」の違いは、市場がない日本では分かりづらく、日本での説明会でも何度も質問がされていた。中国で持たれているイメージだと、HSはHuaweiがより前面に出ている。そしてHIが縮小傾向であるのに対し、HSは勢いがある。
HIの提携先だった広汽集団は今年3月末、提携を解消し自主開発に転じると決議した。他の提携企業2社は、Huaweiのソリューションを搭載した製品を発売しているが、目立った実績は残せていない。
一方、スマートカー事業を統括する余承東(リチャード・ユー)氏が力を入れるHSは、最初の提携先である小康工業集団と共同開発したスマートEV「賽力斯(セレス)SF5」を21年に発売した。同車種の販売は低迷したが、両者は同年12月にHuawei主導の色彩をより強めた新ブランド「問界(AITO)」を立ち上げ、22年に中型SUV「M5」、中大型SUV「M7」などを発売した。
AITOシリーズはスマッシュヒットし、年末には月間販売台数が1万台を超えるまでになった。重慶の中堅商用車メーカーである小康工業集団は、全国的には無名でブランド力もなく、それまで数万元(5万元は約95万円)クラスの製品しか販売経験がなかった。それがHuaweiの支援を受けたことで、製品価格を30万元(約570万円)台に引き上げることもできた。
そのシンデレラストーリーはHSの提携の呼び水となり、より知名度の高い(江淮汽車等を有する)江汽集団、奇瑞汽車も同陣営に加わった。
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