「白ロム割引」規制で「1円スマホ」消滅か? 公取委「独占禁止法上問題となるおそれ」も:房野麻子「モバイル新時代」(3/4 ページ)
総務省の電気通信市場検証会議下にある競争ルール検証WGが開催中で、回線契約に依存しない「白ロム割引」が過剰な割引額になっているため、規制が求められている。
踏み台に使われるMVNO
この状況に否応なく巻き込まれ、改善を要望していたのがMVNOだ。転売ヤーは通信料金の安いMVNOを一旦契約後、MNPを利用してMNOに乗り換えることで最大限の割引を得る。こうやって乗り換えるのは転売ヤーだけに限らない。ショップスタッフに勧められて、0円廃止前の楽天モバイルに契約後、MNPで某社に乗り換え、端末を安く手に入れることができたという話を筆者自身も身近な人から聞いたことがある。
MNPの踏み台にされることで、MVNOでは短期解約が大幅に増加し、事業に影響が出るところもあったという。テレコムサービス協会 MVNO委員会は、「短期解約の根本の原因は、転売ヤーが利益を得られる仕組みをMNOが提供していること」とし、「MNOの自浄作用を待たずに直ちに不当廉売事案として調査し、行政指導をすること」を求めている。MVNO自身が解決策を見出すことは難しい状況だ。
一方MNOとしては、規制に違反したわけではないのに……と反論したいところだろう。実際、通信契約にひも付く場合の割引2万円上限については守られている。白ロム割引は一般的な物販としての割引であり、規制されていない。19年の法改正時にも、こうした抜け穴があることは指摘されていた。案の定、それが現実のものとなっただけだ。
そして、実はMNO自身が白ロム割引の規制を求め始めているのだ。キャリアとしては契約者を獲得するために割引をしているが、白ロム販売は直接は回線契約につながらない。しかし、他社が割引をしているのに自社だけ割引を止めることはできない状況だ。止めたいのに止められないという状況に陥っており、例えばドコモは「回線セット割引と白ロム割引を合計した額で端末割引の上限額を事業法で規律することが望ましい」とヒアリングに回答。「上限額を2万円とし、これを段階的に緩和」と具体的な数字を出して規制を求めている。
MVNOも当然、白ロム割引の規制を求めている。IIJは白ロム割引とされるものも「2万円上限の中に含めてほしい」と要望した。また、オプテージはそれとは別に「独立系MVNOに対する規律の緩和が有効ではないか」とも提言している。
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