Evernote vs Notion デジタルのメモ帳か、チーム共有のドキュメント管理ツールか:SaaS対決(3/4 ページ)
今回のSaaS対決は、ドキュメントを中心とした情報蓄積・共有ツールの古株であるEvernote(エバーノート)と、クラウド時代の新星であるNotion(ノーション)を取り上げる。
Notion:ドキュメントサービスの枠を超えた全く新しい業務システム
Notionは、13年に米国で設立されたNotion Labs Inc.が運営するサービスである。設立から2年後の15年当時にリリースされたアプリは、現在のNotionよりもデータ管理よりとなるノーコードアプリだったが、ユーザーは増えずに完全な失敗に終わる。創業メンバーは米国を離れ、日本の京都でゼロからプロダクトを開発し、16年にリリースされたのが現在のNotionである。
Notionの特徴の1つは、シンプルで書き心地のいいテキストエディタであることだ。マークダウンや各種ショートカットキーを活用すれば、素早く構造化した文章を書くことができる。トグルやコールアウト、別のドキュメントへのリンクを簡単に差し込めるなど、かなりリッチな機能が揃っており、この手のエディタの中でも最高の部類に入る。
紙に印刷する文書についてはWordなどで完成させる必要はあるが、議事録やメモなどの社内利用するものは画面上で完結させることができるため、思考を邪魔せずに使える書き心地が重要である。複数人での同時編集が可能であり、自動保存がされるため、会議中に複数人で議事録を作成していくなどの使い方も可能だ。
2つ目の特徴は、用途に応じてレイアウトを切り替えることができることだ。Notionは見た目はドキュメントサービスであるが、実際にはテキストを中心としたデータベースとなっており、表形式だけでなく、カンバンやカレンダーなど必要に応じてさまざまなレイアウトで表示することが可能だ。
通常のドキュメントツールでは議事録などは時系列に並ぶだけだが、Notionでは例えば「企業」というデータ群を作成したうえで、議事録とひも付けることによって、企業別の議事録一覧も簡単に作成できる。顧客管理やプロジェクト管理などに活用している企業も多い。
単にドキュメントを作成するだけでなく、用途に応じてレイアウトを変更し、テンプレートを用意しておくことで、さまざまなシーンで活用することができるのがNotionの強みだ。ページごとに共有や外部公開の設定も可能なため、マニュアルとして作成したものを顧客に共有する企業も少なくない。
デメリットとしては、機能が豊富である上に、簡単にレイアウトが変更できたり、データの移動ができてしまうため、社内メンバーのITリテラシーがある程度ある組織でないとあっという間に無法地帯に陥ってしまう点だ。個人や小さな組織を中心に活用が進んでいるNotionであるが、大きな組織で活用してもらうためにはより細かい権限管理が必要になってくる。
ドキュメントサービスの枠を超えた全く新しい業務システムであり、今後の進化に期待したいところだ。
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