Evernote vs Notion デジタルのメモ帳か、チーム共有のドキュメント管理ツールか:SaaS対決(4/4 ページ)
今回のSaaS対決は、ドキュメントを中心とした情報蓄積・共有ツールの古株であるEvernote(エバーノート)と、クラウド時代の新星であるNotion(ノーション)を取り上げる。
デジタルのメモ帳か、チーム共有のドキュメント管理ツールか
驚くほどのスピードで進化しているNotionに対して、Evernoteはここ数年は大きなアップデートがない状態ではあるが、第二の脳としてEvernoteに情報を蓄積すればするほどそこから離れられなくなってくる。EvernoteからNotionにデータを移行できるサービスもあるが、検索性能やオフラインで使用できる点などを勘案すれば、あらゆる情報を雑に蓄積できるという点ではEvernoteに軍配が上がる。
一方で、組織で利用するにはEvernoteではやや機能不足であり、Notionのような同時編集性や柔軟なレイアウトが重要になってくる。ただし、自由度が高すぎるがゆえに社内できちんと設計・管理ができる体制がないと、情報が構造化されずにぐちゃぐちゃになってしまう可能性が高い。
筆者は、10年ごろから個人契約でEvernoteを使用しており、仕事やプライベートにかかわらずあらゆる情報を蓄積している。特にWeb上で見かけた気になる記事については、Evernoteが提供しているWebクリッパーを使用してクリッピングするようにしており、後から「あの記事……」と思った際にすぐに引っ張り出せるので重宝している。
この原稿もiPadのEvernoteアプリで下書きした上で、Macで画像などを含めて清書をし、編集部に提出している。原稿は新幹線や飛行機などでの移動中や、カフェで書くことが多いが、あえて電波がないオフライン状態で集中して書き進めるようにしている。オンラインになると、ついつい仕事のメールやチャットを見てしまったりして、気が散ってしまうからだ。こういう使い方ができるのもEvernoteの良さであり、10年以上の私の原稿やアイデア、メモなどがEvernoteには蓄積されている。
一方で、経営しているSaaS企業の社内ドキュメントツールはNotionを利用している。顧客との打ち合わせや社内ミーティングの議事録といった通常のドキュメントに加えて、部門ごとにカンバンビューでToDoやプロジェクト管理なども行なっている。Notionにはさまざまなテンプレートが用意されており、開発チームは「スクラム開発」というテンプレートを用いて、開発ロードマップ、バックログ、ミーティング議事録などをNotion上で管理している。
また、プロダクトの利用ガイドと採用ページについては、NotionのコンテンツをWebサイト化できるWRAPTASというサービスを使っている。頻繁に内容が更新されるページであり、デザイン性よりもコンテンツの中身が重要なものについては、Notion上で作成・更新することで管理の手間とコストを圧倒的に下げることができる。
このようにNotionはドキュメントツールの枠組みを遥かに超えたところまで進化しており、非常に便利で高機能なのだが、いろんなことができる分だけ組織内で使うメンバーのITリテラシーが一定以上必要になる。さらには管理者はプログラムを書く必要まではないが、データベースについて知識が求められる。
いつでも使えるデジタル上のノートが欲しければEvernoteを、チームで扱うさまざまな情報を集約できるドキュメントツールが欲しければNotionを、ということになるのだが、結局は両方とも必要だという人は多い。どちらも無料である程度まで使えるようになっているので、気になった方はぜひ両方とも試してみていただきたい。
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