Nintendo Switchは「未知の領域に入った」 古川社長の真意は?
大ヒットゲーム機「Nintendo Switch」も7年目、9日の決算説明会で古川俊太郎社長は「未知の領域に入った」と話した。どういう意味か。
任天堂が5月9日に行った2023年3月期決算(22年4月〜23年3月)説明会の質疑応答では、次世代ゲーム機の動きを探ろうとする質問が相次いだ。累計販売台数は1億2000万台を超え(全世界)、好調に見えるNintendo Switchだが、同社の古川俊太郎社長は「未知の領域に入った」と話す。どういう意味か。
任天堂は1983年発売のファミリーコンピュータ以降、5〜7年の間隔で新型ゲーム機を投入してきた(据え置き型)。17年3月に発売したSwitchは7年目を迎え、これまでのサイクルを考えるといつ次世代機が登場しても不思議ではない。
減速傾向も明らかになった。21年度にはコロナ禍の巣ごもり需要で年間2900万台近くを出荷したSwitchだったが、22年度(22年4月〜23年3月)の出荷台数は前年より2割以上少ない1797万台にとどまり、今年度は1500万台まで減ると予想している。これを受け、米THE WALL STREET JOURNALは、9日付の記事で「Switchはそろそろ年齢が隠せなくなった」として後継機の必要性を説いた。
しかし任天堂はSwitchでゲーム機のライフサイクルの長期化を目指すと公言している。古川社長は「当社のゲーム専用機ビジネスの歴史においても7年目に1500万台のハードウェア、1億8000万本のソフトウェア販売を見込んでいる例はない」と自信をみせるが、同時に「未知の領域に入ったと捉えている」とも語った。
同社は「任天堂IPに触れる人口の拡大」を基本戦略として掲げ、様々な施策を展開してきた。公開中の映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」もその1つ。世界興収1300億円を超え、「任天堂やマリオになじみのある方だけでなく、小さな子どもや年配の方など幅広い年代の方に当社IPに触れてもらう機会になった」という。
さらに米国でも開業したテーマパーク「スーパー・ニンテンドー・ワールド」や数を増やしているオフィシャルストアを挙げ、「任天堂IPに触れる場がここ数年で大きく広がった」と評価する古川氏。こうした施策で周辺ビジネスを広げつつ、中長期的にはゲーム機やソフトの販売にも好影響を与えるとみている。
「これまで以上にビジネス全体の規模を拡大し、中核ビジネスであるゲーム専用機を長く楽しんでもらえる環境を作っていきたい」(古川氏)
Switchは12日に大型タイトル「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の発売を控え「非常に良い流れで7年目を迎えられた」と古川氏。こうした流れを生かし、年末の「ホリデー商戦で販売を最大化させたい」とも話した。その言動からは、少なくとも年内に次世代機の姿が見えてくることはなさそうだ。
質疑では次世代機の機能についても触れたが、内容はざっくりとしていた。「新しいユニークな娯楽を提供していくために、どういった面白い提案ができるかを常に考えて将来に向けたさまざまな開発を進めている」(古川氏)。
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