楽天カードのクレカ積立 改悪から一転、還元率アップの裏にある狙い(2/4 ページ)
楽天カードを使った投資信託の積み立てのポイント還元率がアップした。しかも、今回は一般楽天カードの場合は0.5%、楽天ゴールドカードの場合は0.75%、楽天プレミアムカードの場合は1.0%と、カードのランクに応じて差が付けられている。こうした施策の背景には何があったのだろうか。
カードのランクが上がるほど還元率もアップ
今回の注目点は、カードのランクが上がるほど還元率も上がることにある。
岩月執行役員は、「楽天ゴールドカード、楽天プレミアムカードの追加還元によって、上位ランクのカードを持ってもらい、取扱高を増やしたい」と話す。楽天カードが、上位ランクカードの追加還元分に相当する費用を負担して、上位カードを訴求する狙いだ。
これが意味することを理解するために、ユーザーと楽天カード、楽天証券の間でのお金の流れを整理しておこう。ユーザーがクレカ積み立てを行うとき、楽天証券は楽天カードの加盟店という立ち位置になる。楽天証券は楽天カードに、決済手数料を支払う構図だ。そして、決済手数料を原資として、楽天カードはユーザーに楽天ポイントを還元する。
これまではどのカードを使っても一律のポイントを還元していたが、今回は上位ランクのカードについて楽天カード側が0.25%(楽天ゴールドカード)、0.5%(楽天プレミアムカード)を負担して上乗せ還元するということだ。
今回の還元率引き上げにおいて、楽天証券側の負担がどう変わったのかは非公開であり、想像するしかない。ただ、楽天カード主導でこの還元率が決まったと見ていいだろう。
なお、加盟店手数料は、国際ブランドが基本を設定するインターチェンジフィーと加盟店管理会社であるアクワイアラの手数料の合計で決まる。22年11月に、経済産業省の要請によって国際ブランド各社はインターチェンジフィーの標準料率を公開した。それによると、インターチェンジフィーは、カードランクが上がるほど高くなる。例えば、Visaの日常利用の場合、一般カードのインターチェンジフィーは0.9%だが、ゴールドカードは1.0%、プラチナカードは1.2%となっている。
この標準料率通りならば、上位カードのほうがカード発行会社である楽天カードの取り分は増えるはずだが、こちらも相対契約のため非公開だということだ。
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