サーバベンダーは“クラウド時代”をどう戦う レノボが見いだす現実解(1/3 ページ)
ハードウェアだけでなく、コンサルなどのサービス・ソリューションにも注力するレノボ。パブリッククラウドが主流化する時代の戦い方をキーパーソンに聞く。
長年PCやサーバなどのハードウェア販売を手掛けてきた中国Lenovoグループ。しかし近年は、「さまざまなサービスやソリューションの提供を含めて顧客の変革を網羅的に支援していく」というコンセプトで、新たな領域に力を入れ始めている。2021年4月に発足した新組織「ソリューション&サービス・グループ」(SSG)もその一環だ。
SSGはその名の通り、レノボが提供するあらゆる「サービス」を手掛ける組織だ。PC、サーバ、ストレージなどのas a Serviceやハードウェア全般のライフサイクルマネジメントなど従来ビジネスの延長ともいえるサービスから、ITインフラのマネージドサービス、システム構築のコンサルティングや実装・運用などSIerが手掛けるようなITサービスまで、その事業範囲は幅広い。立ち上げの背景には、5GやAI、エッジコンピューティング、クラウドなどの発展で複雑化する市況があるという。
IT環境が複雑さを増す中、レノボはどんな戦略を選ぶのか。SSGを取り巻く市場環境やビジネスの現況、クラウドへの見方について、同社のケン・ウォン氏(レノボ エグゼクティブバイスプレジデント兼レノボ ソリューション&サービス・グループ プレジデント)に話を聞いた。
キーワードは「クラウド活用の現実解」 レノボが見込む勝機は
――レノボがなぜSSGを立ち上げたのか、背景を改めて教えてください
ケン・ウォン氏(以下敬称略): ITは近年、複雑性をどんどん増しています。10年前、15年前と比べてみてください。さまざまなデバイスがあり、クラウドがあり、エッジコンピューティング、5G、AIも浸透しています。もはや全く異なる世界になっています。
私は日本のクライアント、特にCIOのような立場の方とよく話をします。70%以上のクライアントが、IT環境が複雑すぎるので助けてほしい、サポートが必要だとおっしゃっています。
モノを提供するだけでなく、課題を抱えているクライアントにもっとバリューを提供することができないだろうかと考えたのが、2年前にSSGを立ち上げた背景です。
――現状、SSGが携わっているITサービスで、成功につながっているものを教えてください
ウォン: クラウド活用の現実解を提供するというのは一つの例ですね。多くの企業がパブリッククラウドを活用したいと考えているのはご存じの通りです。柔軟性がありコストの最適化もしやすい。
一方で、独自のカスタムが必要な企業は少なくないですし、データのセキュリティを担保して、地域や業界の規制に対応しなければならないという課題もある。ここはプライベートクラウドがメリットを発揮できるところで、最終的にはハイブリッドクラウドの構成が必要になるケースは多いと考えています。
こういう事情はレノボも同じです。パブリッククラウドのメリットを生かしつつ、必要なところにプライベートクラウドを使うというやり方に社内で取り組んで成功しています。グローバルな大企業に対しても同じことを再現して、課題解決の支援ができると考えています。
――ハイブリッドクラウドが現実的な最適解になるとのことでしたが、レノボはパブリッククラウドサービスのベンダーをどのように捉えていますか。顧客・パートナーである一方で、競合としての色も濃いのではないでしょうか?
ウォン: まずは膨大なコンピューティング・パワーを支えるハードウェアを提供している大事なクライアントであるというのが大前提です。その上で、パートナーとしての側面も強くなってきています。
例えば(パブリッククラウドベンダーでない)クライアントからハイブリッドクラウド環境を構築したい要望をもらった場合、まずはSSGのコンサルティングサービスを提供してプランニングするわけです。
どんなアプリケーション、どんなデータがあって、それぞれパブリッククラウドに置くのか、プライベートクラウドに置くのか。最適な計画を立てて実装フェーズに移り、既存のシステムから移行していきます。
クライアントのニーズに応えられるレベルでパブリッククラウドに精通していなければこうした仕事はできません。パブリッククラウドベンダーとのパートナーシップは年々強化している状況です。
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