“ボロボロ”の国内スマホメーカー ここまで弱体化してしまった「4つの理由」とは(4/4 ページ)
2023年5月、バルミューダと京セラが相次いで個人向けスマートフォン事業からの撤退を発表し、FCNTが民事再生法を申請するなど、国内スマートフォンメーカーの撤退・破綻が相次いだ。一連の出来事に大きく影響しているのは国内スマートフォン市場を取り巻く“四重苦”というべき現状だ。
残る2社はソニーとシャープ
しかも先に挙げた4つの問題は、いずれも容易に解決できないので影響が長く続く可能性が高く、日本のスマートフォン市場の冷え込みは長く続くと考えられる。そこで多くの人が気になるのは、他の国内メーカーは大丈夫なのか? ということだろう。
シャープはすでに台湾の鴻海精密工業の傘下にあり、部材調達や製造など多くの面で同社の支援を得ることができていることから、他の国内メーカーと比べれば規模の面で強みがある。また以前からスマートフォンだけでなく、フィーチャーフォンやWi-Fiルーターも手掛けるなど端末開発の柔軟性も高いことから、京セラやFCNTの撤退でシニア・子供向けなどニッチ市場向け端末の受注が増え、“漁夫の利”を得やすいことも予想される。
またソニーは2014年にモバイル事業の赤字で経営を揺るがす事態となり、現在のソニーグループ代表取締役社長である十時裕樹氏が徹底したコストカットで事業規模を大幅縮小した経験を持つ。それゆえ現在はカメラを軸としたハイエンドモデルに集中、確実な利益を出すことに重点を置いてあまり無理をしない体制を取り、生き残りを図っている。
とはいえ両社とも、現在以上に環境が悪化すれば先行きは分からないし、それは他の多くの海外メーカーも同様だ。現在の日本市場で生き残ることが確約できるのはアップルくらいなもので、今後国内メーカーだけでなく海外メーカーからも、成長が見込めない日本市場に見切りをつけて撤退する所が出てきてもおかしくないと筆者は見ている。
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