小学生の自由研究をチャットAIがお助け ベネッセが夏休みに無料提供 “社内ChatGPT”の知見生かす
ベネッセホールディングスは7月13日、チャットAIを活用し、小学生の自由研究を支援するWebサービスを発表した。7月25日から9月11日にかけて無料で公開する。通信学習サービス「進研ゼミ」の会員でない人にも提供する。
ベネッセホールディングスは7月13日、チャットAIを活用し、小学生の自由研究を支援するWebサービスを発表した。7月25日から9月11日にかけて無料で公開する。通信教育サービス「進研ゼミ」の会員でない人にも提供する。
画面上のキャラクター「ラボリー」に自由研究に関する質問や悩みをテキストで相談すると、アイデアやヒントを文章で提案してもらえるサービス。回答は、子供に合わせて簡単な言葉遣いになる。
例えば「恐竜の生態について調べようと思います。どのように進めればいいでしょうか」と質問すると「『きょうりゅうの生態』について自由研究をするのは素晴らしいアイデアです! まずは『きょうりゅうの生態』について調べてみましょう。食べ物や生息地、生態系など、興味のあることを深く掘り下げてみると面白いですよ。また、自分でイラストや模型を作ってみるのも楽しいですよ」といった答えが返ってくる。
ただし、AIに課題を丸投げすることはできない。「読書感想文を書いて」と入力すると「読んでみて、自分なりの感想を書いてみましょう」といった答えが返ってくる。公序良俗に反する文章も記入を受け付けない。
子供によるいたずらや、無節操な利用を防ぐとして、一日に質問できる回数は10回に制限。親と一緒に使ってもらうために、保護者のメールアドレスを使った認証をしなければ利用できないようにする。利用開始前には、生成AIを使うに当たっての注意点を解説する子供向け動画も流す。
開発には、大規模言語モデル「GPT-4」「GPT-3.5」などを米Microsoftのクラウドで使える「Azure OpenAI Service」を活用。入力内容は外部に提供しない仕組みとしている。同社は4月にAzure OpenAI Serviceを活用した社内向けチャットAIサービス「BenesseChat」を導入しており、今回の新サービスにも社内チャットの開発・運用で得たノウハウを生かしたという。
同社は自由研究のテーマ決めや、進め方を決めるときの補助といった使い方を推奨している。ベネッセの的場一成さん(小学生事業部本部長)は利用のイメージについて「気付きを広げたり、自分では気づかない観点を見つけたりするときに使ってもらい、実際にテーマについて調べたり、情報をまとめたりする部分は自分でやってもらう」と話す。
今回のサービスは無料で提供し、マネタイズはしない。あくまで、AIを生成活用したサービスの試金石のような立ち位置だ。同社はBenesseChatや今回のサービスで得た知見を踏まえ、今後も生成AIを活用したサービスの研究を進めるという。
「子供たちの考える力を養うことが非常に重要なテーマになっており、そういった教育をサポートできるような形を模索していきたい」(的場さん)
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