“メンヘラ配信者育成ゲーム”が全世界で100万本売れるまで 関係者が販売データを赤裸々公開:CEDEC 2023(2/3 ページ)
世界累計で100万本超を売り上げたメンヘラ配信者ゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」。マーケ関係者がデータを赤裸々に公開しながら、その販売戦略を解説する。
「独自セールに合わせてプロモ」が奏功
一方でセールの活用については、Steamで季節ごとに開催される大型セール以上に、独自のタイミングで実施した割引が好影響だったと小沼代表。NEEDY GIRL OVERDOSEの販売本数のうち、26万269本は季節の大型セールで、38万3733本は独自に割引したタイミングで、残り57万3933本は非セール時に販売した。
例えば季節のセールでは、22年6月末開催のサマーセールで4万本超を、11月末開催のオータムセールで2万本超を売り上げた。最も販売本数が多かったのは2023年6月末〜7月のサマーセールで、価格を半額にしたこともあって10万本以上を売り上げたという。
Steamに関係ない独自セールでは、例えば22年4月に実施したリリース後初のセールで4万本超、23年1月の旧正月セールで4万本弱を売り上げた。販売本数が最多だったのは23年4〜5月のタイミング。サマーセールに先駆け価格を半額にしており、販売本数は18万本近くだったという。
「Steamにおいて、セール時に売り伸ばすのはよく言われることだし、実際その通り。ただ、季節の大型セールよりも、独自のセールにも注目してほしい」と小沼代表。とはいえ、ゲーマー間では恒例行事になりつつある季節のセールと違い、独自の割引は注目されにくい。
そこでNEEDY GIRL OVERDOSEにおいては、独自の割引を実施するタイミングで新たなプロモーションを展開。例えば割引のタイミングに合わせ、作中のキャラクターが登場する配信企画をYouTubeで展開したり、Webコマーシャルを公開したりしたという。
「Steamに公開される、競合となるゲームタイトルは年々増加している。Steamに可能性があることはあらゆるゲームパブリッシャーが理解し、注目している。季節のセールも重要だが、独自のセールもまた重要。セールに合わせた適切なプロモーションの設計が必要になる」(小沼代表)
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