本当に550万円で1LDKの家ができるの? 3Dプリンター住宅の素朴な疑問をメーカーに聞いた:知らないと損!?業界最前線(3/5 ページ)
「住宅」の常識が変わろうとしている。建築用3Dプリンターによって、50平米の住宅を550万円で実現するセレンディクス。550万円でどこまでできるのか、通常の住宅と何が違うのか。3Dプリンター住宅における素朴な疑問を小間裕康代表取締役に聞いた。
550万円で購入できるserendix50
二人世帯向け3Dプリンター住宅のserendix50は販売予定価格550万円で、クルマのように購入できる。通常の住宅は、上物だけでも数千万円が当たり前。serendix50には、どこまでの設備や内装が含まれるのだろうか。
「基本的には、一般的な住宅に含まれる装備はすべて含まれています。そのまま住める状態です。ただし内壁などは打ちっぱなしなので、好きな色に塗装したい場合や、フローリングを貼りたいという場合には、その分は従来の住宅と同様の費用がかかります。これは外壁も同様です」(小間さん)
現在、serendix50の外壁は積層型3Dプリンターで積み上げられた模様のままとなっている。この外観が気になる人もいるだろう。しかしセレンディクスは、3Dプリンターで造ったことが分かりやすいように、アイコンとしてあえて積層痕を残したままにしているという。とはいえ同社では、すでに外壁を自動的に整える技術開発も行なっている。3Dプリンターで住宅を造るのが当たり前になったときには、積層痕は目立たないデザインに変わっていくと考えられるからだ。
そして住宅として購入する以上、特に気になるのが耐久性だが、小間さんは一般的な木造住宅より頑丈だと語る。
「serendix50はコンクリート製住宅なので、いわばマンションなどと同じような構造です。例えば木造建築を強く叩くと響いたり、ガラスがビビりますが、serendix50は二層の壁のコンクリート住宅なのでびくともしません。さらに経年変化にも強い。コンクリート造りの多い欧米では中古住宅の価値が下がりにくいいのですが、日本もそういう状況になっていくと考えられます」(小間さん)
現在serendix50は、鉄筋コンクリート造りとなっており、壁には鉄筋が入っている。しかし実は、建築基準法に準拠するためにあえて鉄筋を入れているのだという。serendix50が採用するコンクリート壁は、十分な強度を持っており、それだけでも躯体を支えられる。今後、3Dプリンターによる住宅造りが進み、強度が認められれば、鉄筋が入らなくなり、さらに安く造れるようになる可能性もあるという。
関連記事
- 2023年、エアコンのトレンドは「換気」から「節電」へ AI活用の最新技術
気温も上がってきて、夏の暑さ対策を考える時期になった。今回はエアコンの最新事情を解説する。さまざまな値上げを背景に、メーカー各社は節電機能をアピールした新製品を投入。センサーとAIの活用で節電と快適さを両立させたモデルもある。また持ち運びのできるバッテリー式のモデルも発売される。 - Ankerも参戦、モバイルできる「ポータブル冷蔵庫」がいま注目を集めるワケ
ステイホームやアウトドアブームで、近年注目を集めているのがポータブル冷蔵庫だ。もともとはアウトドア利用のニーズが高い製品だったが、リチウムイオンバッテリーの性能向上により進化。電源がない場所でも利用できるようになり、さまざまなメーカーから発売されている。 - 一人暮らし専用、パナの食洗機「SOLOTA」の実力を検証してみた
家電の進化により、多くの家事が自動化・半自動化したが、取り付け工事が必要なため普及に伸び悩んでいたのが食器洗い乾燥機だ。しかしここにきて工事が不要な“タンク型”が広がりを見せている。そこで、パナソニックの一人暮らし向け「パーソナル食洗機SOLOTA」を、実機でレビューしたい。 - 裏話を語るYouTubeが話題 V字回復でトップシェアの「レグザ」に聞いた
日経新聞が1月6日、レグザの国内テレビ首位を報じた。レグザブランドは2006年発足。順調にシェアの伸ばすが、東芝の不正会計疑惑などで人気は急降下する。現在世界第2位のテレビメーカー・ハイセンスの傘下となったのが18年だ。このV字回復の軌跡を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.