「最古の穴なし槽洗濯機」公開で売上二桁アップ、シャープに聞くオンリーワン技術の生かし方:知らないと損!?業界最前線(2/4 ページ)
縦型洗濯機のなかでも、カビが衣類に付着しにくいシャープの「穴なし槽」は一部ユーザーから強い支持を集めている。穴なし槽の30周年企画として、家庭で利用されてきた初代穴なし槽洗濯機の汚れを検証したところ、かなりきれいだったことが判明。この検証結果と、穴なし槽のこれからについて話を聞いた。
元々は節水が目的の穴なし槽
シャープが縦型洗濯機に穴なし槽を採用したのは1992年。シャープの担当者によると、当時は地球温暖化に対する世間の関心が強く、節水に対するニーズがあったそうだ。内側の洗濯槽だけに水をためる穴なし槽は、しっかりと洗えて、しかも節水できる洗濯機として開発された。
11kgの衣類を洗濯する場合、穴なし槽なら1回あたり約35L節水できる(最新モデルのES-PW11Hの場合)。実は黒カビが付着しにくいというメリットは、あとから分かったそうだ。
「もともと穴なし槽は“節水”という視点で開発が始まりました。洗濯槽に穴があると外槽が必要になり、そこに水がたまる。この水が無駄なのでそれを減らせないかっていうのがスタートでした。ただ、洗濯槽に穴がないと、脱水時にうまく水が抜けませんでした」(シャープ Smart Appliances & Solutions事業本部 清潔ランドリー事業部 国内商品企画部 部長 北川秀雄さん)
そこでシャープでは、洗濯槽上部の角度を外側に1度開くことで、脱水時の水が遠心力で上から抜けるようにした。こうすることで洗濯槽の穴が不要となり、外槽に水をためる必要がなくなった。さらに洗濯工程の最後に、衣類が含んでいたきれいな水が洗濯槽上部から出て、洗濯槽の外側を毎回洗い流し、清潔性を保つ状態になった。外側を流れた水は、洗濯槽の中に入り込むこともない。
節水性の高さと衣類に黒カビが付着しにくい構造は、シャープの穴なし槽だけなのだ。
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