家電メーカー、円安のダメージは? 現状と対策を聞いた:知らないと損!?業界最前線(2/6 ページ)
家電製品の値上げが続いている。きっかけは2020年頃から発生した半導体不足と、22年初頭から始まった大幅な円安だ。そこで各社の決算発表などを元に23年の家電製品の売り上げ動向と、各社の対策を取材した。
家電の国内出荷額は前年比マイナスに
日本電気工業会(JEMA)が12月20日に発表した民生用電気機器の国内出荷実績は、11月時点で前年比98.3%(1〜11月累計値)とダウン。消費傾向が旅行や外食など、外出に向かった夏以降、売り上げが低迷したようだ。
23年11月単月では前年同月を上回っているが、製品価格の上昇が出荷金額を押し上げたとしている。
実際、家電製品の値上がりは続いている。円安が一気に進んだ22年以降、パナソニック、日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立GLS)、三菱電機、バルミューダなど、各社が段階的に家電の値上げを実施している。
そこで家電メーカー各社に、22年からの円安への対策についてコメントを求めた。
「22年に、国内向け家電製品の一部において出荷価格を改定しました。原材料価格の高騰や半導体をはじめとする部材の供給ひっ迫による調達費用の増加、社会的情勢による為替の変動など、自助努力だけではその影響を吸収しきれない状況になったためです」(パナソニック広報)
さらにパナソニックは、一部カテゴリの家電製品について、家電量販店での値下げ販売をしない「指定価格制度」を22年より本格導入。さらにこの指定価格制度は、日立も23年にドラム式洗濯乾燥機で導入を開始した。
指定価格制度は、メーカーが販売店などに対して価格を指定し、製品の販売をしてもらう制度だ。メーカー側からすると製品の値崩れが起きにくい点がメリットで、販売店側は製品の在庫を抱える必要がないため、在庫リスクがないというメリットがある。メーカーが販売価格をコントロールできるため、安売りに走ることなく、利益を確保しやすいというわけだ。
関連記事
- パナソニック「指定価格制度」 家電量販店はどう捉えているのか?
パナソニックが「メーカー指定価格」を導入し、話題になっている。一部のフラグシップモデルで販売価格を指定し、値引きを認めないというものだが、家電量販店は在庫リスクを負わずに済む。「指定価格」により、家電量販店は今後どうなっていくのか。また他メーカーは追従していくのだろうか。 - 裏話を語るYouTubeが話題 V字回復でトップシェアの「レグザ」に聞いた
日経新聞が1月6日、レグザの国内テレビ首位を報じた。レグザブランドは2006年発足。順調にシェアの伸ばすが、東芝の不正会計疑惑などで人気は急降下する。現在世界第2位のテレビメーカー・ハイセンスの傘下となったのが18年だ。このV字回復の軌跡を聞いた。 - 全自動炊飯器も登場!? 23年注目「3つ」の家電カテゴリー
新型コロナウイルスの世界的な広がりから3年。2023年が幕を開けた。今回は、アフターコロナが加速するはずの今年、盛り上がりが予想される注目の家電カテゴリーを3つ紹介したい。1つ目は炊飯器市場、次にノンフライ調理器市場、最後にポータブル電源市場だ。 - 焼けた肉を盤上で切ってそのまま口の中へ バルミューダのホットプレートが目指した“体験”、開発者に聞く
バルミューダがホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」を発表した。扇風機やトースターなどで人気の同社だが、参入したスマートフォン事業は2年で撤退するなど迷走も見えた。起死回生を図るこのホットプレートについて、開発の経緯や目指す姿などを担当者に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.