史上15番目の大規模“太陽フレア”発生も地球への影響は限定的か
10月1日と3日に相次いで大規模な太陽フレアが発生し、地球の方向へのコロナガス放出も観測された。この影響で5日は長距離通信などに障害が発生する可能性がありそうだ。
10月1日と3日に相次いで大規模な太陽フレアが発生し、地球の方向へのコロナガス放出も観測された。この影響で5日は長距離通信などに障害が発生する可能性がありそうだ。
NICTが5日午前9時に発表した「宇宙天気予報」では、今後1日は地磁気活動は非常に活発な状態で、電離圏は乱れると予想している。例えば短波ラジオは電波が上空の電離層(電離圏)で反射することで遠くまで届く仕組みのため、電離層が乱れると放送が受信しにくいといった影響が出るおそれがある。
ただし低緯度オーロラが話題になった5月の太陽フレアの時のような臨時情報をNICTは出しておらず、影響は限定的とみているようだ(5日時点)。5月には3日間で5回ものXクラスが発生した。
X9.0は史上15番目の大きさ
NICT(情報通信研究機構)の「宇宙天気予報」によると、10月1日の午後10時ごろにクラスX7.1、3日正午過ぎにX9.0の太陽フレアが発生したという。いずれも発生源となった太陽の活動領域は同じ。コロナガスの放出も確認されており、これが5日に地球に到達したとみられる。
太陽フレアの規模を示す“クラス”は太陽フレアによって宇宙空間に放出されたX線の強度で分類したもの。5段階あり、Xはそのうち最も規模の大きい分類となっている。クラスが変わると規模は10倍になる。
国立天文台・太陽観測科学プロジェクトのXアカウントによると「今回のX9.0は史上15番目の大きさでした。1番は2003年に発生したX25(機器の上限を超えており推定ではX48)です」と解説している。「なおフレアの規模を示す『クラス』は宇宙空間のX線強度で算出されます。数値の大きさが必ずしも地球への影響の大きさではありませんので、改めてご留意ください」。
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