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粗悪な「互換バッテリー」は減る? 経産省に聞いた“12月28日”に変わること

ネット通販などで「互換バッテリー」をうたい、純正品よりかなり安く売られている非純正リチウムイオンバッテリー。今月28日から少し状況が変わりそうだ。

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 ネット通販などで「互換バッテリー」をうたい、純正品よりかなり安く売られている非純正リチウムイオンバッテリー。その中に、12月28日以降は“製造/輸入してはいけない商品”があるかもしれない。


画像はイメージ

 きっかけは2018年から19年にかけ、非純正バッテリーによる事故が急増したことだった。とくにダイソンのハンディ掃除機やマキタの電動工具向けの非純正バッテリーで多かった。

 両社は19年以降、消費者に対して純正品を使うように継続して注意喚起している。ECサイト上で「互換」をうたっていても、作っているのは両社と全く関係のない企業だ。

 23年までに発生した235件の事故はほとんど火災だった。バッテリーから出火し、製品のみならず周囲や建物まで焼損させる被害が201件発生した。建物が全焼したケースも14件あった。


2023年までの事故件数推移。20年以降は、19年に比べると数は減ったものの横ばいに近い。やはり充電式の電動工具と掃除機が多い

1つの電池ブロックしか監視していない製品も

 20年にNITE(製品評価技術基盤機構)が非純正バッテリーの安全性を調査したところ、各電池ブロックの電圧監視が不十分なものがあると分かった。充放電の制御ができないと、過充電状態のセルをさらに充電してしまい、発熱や発火に至る可能性が高まる。


リチウムイオンバッテリーは複数の電池ブロック(セル)を持ち、純正品は過充電を避けるため全てのブロックの電圧を監視する設計になっている。しかし非純正バッテリーの中には製造コストを下げるためか、1つの電池ブロックしか監視していない製品があった(出典:NITEの資料)

 ただし当時の電気用品安全法の「技術基準解釈(別表第9)」では全電池ブロックの監視を明記していなかった。このため、22年12月28日に別表第9を最新の国際規格に対応した「別表第12」の整合規格に一本化する改正を実施。設計変更などが必要になることから2年間の猶予(経過措置期間)が設けられていたが、それが今年の12月27日に終了する。

 経済産業省の製品安全課によると「12月28日以降、各電池ブロックの電圧監視がなされていないリチウムイオン蓄電池を製造・輸入することができなくなる」という。販売店が28日以降もそうした製品を売っていたことが分かった場合は「電気用品安全法第8条第1項の技術基準適合義務違反となり、法令に基づき違反対応することになる」。

 経産省は日本電気協会など業界団体の協力も得てメーカーへ注意喚起している他、広く一般にもWebサイトなどを通じて広報していく考えだ。


日本電気協会のお知らせ。メーカーなどに対して経過措置期間の終了を告知している(出典:日本電気協会のWebサイト)

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