OliveにPayPay搭載 「“クレカvs.コード決済”はもう古い」――三井住友カードの思惑は?(2/2 ページ)
拡大を続ける三井住友カードの金融サービス「Olive」に、PayPayが標準搭載される。Oliveはどう変わるのか。
“ポイント連合”の行方は?
Olive内で提供してきたVポイントと、PayPayポイントの相互交換も可能とする。Vポイントは約9000万人、PayPayポイントは延べ2億9000万人のユーザーを抱え、合わせて延べ3億8000万人規模のポイント圏が生まれる見通しだ。
三井住友カードの大西幸彦社長は「Vポイントは世界中のVisa加盟店で使える“開かれたポイント”、PayPayポイントは“生活密着型ポイント”として成長してきた。連携により 『どこでもためて、どこでも使える』 社会を実現していきたい」と述べた。「使い道が限られている」といった声もみられたVポイントだが、PayPayポイントとの接続により、利便性がどう変わるか注目される。
Oliveの「スーパーアプリ」構想とは?
ソフトバンクの技術を生かし、Oliveの非金融サービスも拡充する。Oliveアプリに「ヘルスケアポータル」を追加し、AIによる健康チェックやチャット相談、オンライン診療などの機能を提供する。法人向けの金融サービス「TRUNK」でもパッケージ提供する見通しだ。
今後はアプリ全体のパーソナライズ化も進める。マネーフォワードとの連携で、口座やカード残高の可視化、資金移動、ローン返済などをアプリ内で完結させるほか、AIにより「資産運用」「海外旅行の提案・計画」といった多岐にわたるサポートを担うアプリを構想する。大西社長は「Oliveを『未来型スーパーアプリ』に育てるという構想だ」と説明する。
これに先立ち、カスタマーサポートにおいてもAI活用を進める。三井住友カードは24時間365日対応の「自律型AIオペレーター」を25年度中に実装する方針で、年間600万件の問い合わせのうち、半数以上を今後3年でAIが対応することを目指す。
三井住友カード社長「対立構造ではない」
コード決済と、クレジットカード大手の最大手――一見対立する手段の融合となるが、三井住友カードの大西社長はPayPayとの提携について、「お客さま視点でのニーズをくみ取った」ものだと強調する。
背景にあるのは、同社においても多くの顧客が、クレジットカードとPayPay、あるいはOliveとPayPayの両方を使い分けている事実だ。大西社長は「『この2つをもっとスムーズに連携させてほしい』というニーズは非常に強い」として、「『三井住友カードとPayPayがそろえばキャッシュレスは完結する』という世界観を実現したい」と話す。
「キャッシュレスもいよいよ後半戦に入ってきた。『カード対コード決済』といった対立構造ではなく、利用者目線で新しい世界を提案していきたい」(大西社長)
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