空から数千機、24時間365日の攻撃──ウクライナ防空副司令官が語る”安いドローン”の脅威 島国・日本は耐えられるか(1/2 ページ)
国際関係が緊張するいま、日本はドローンの特徴をどう把握し、どう対策する必要があるのか。ウクライナ軍防空副司令官のオレクサンドル・ジャン・ヴォロビヨフ氏らの見解を聞いた。
ウクライナや中東での紛争を通し、戦時におけるドローンの脅威が現実味を増している。防衛省も迎撃ドローンの早期取得プログラムを展開するなど、日本においても対岸の火事とは言えない状況だ。
日本は島国だが、だからといってドローンの脅威が無視できるわけではない──ウクライナ軍防空副司令官のオレクサンドル・ジャン・ヴォロビヨフ氏と、同氏が知見を提供する国内ドローン企業・テラドローンの森田雄志氏(防衛事業UAV/USV担当)はこう警鐘を鳴らす。
すでにウクライナや中東では1000〜2000kmを飛行するドローンも登場しており、海を越えた攻撃も懸念されるという。国際関係が緊張するいま、日本はドローンの特徴をどう把握し、どう対策する必要があるのか。2人の見解を聞いた。
戦いの主役はドローンへ 様変わりする現代の防衛
──現代の防衛は、これまでとどう違うのでしょうか
ヴォロビヨフ氏(以下敬称略):最も大きな変化は、戦いの主役が人からドローンへ移ったことです。最前線での人間の役割は、もはやその地域を保持し、そこに存在することだけ。兵士がライフルや銃で直接撃ち合うことはほとんどなく、前線を維持しているにすぎません。他の作業はすべてドローンが担います。
敵陣をたたくのは銃を持った兵士ではなくドローンです。ドローンが味方には食料や弾薬を届け、敵には爆発物を届けます。前線と戦場そのものについて言えば、現代戦は完全に「ドローン戦」だと言っていい。少なくとも最前線からおよそ20〜25kmの範囲ではそうです。
──戦いの及ぶ範囲は、より広くなると
ヴォロビヨフ:より深くなる、と言うべきです。新しいエンジンやバッテリーでドローンがますます遠くへ飛べるようになるほど、戦域は双方とも奥へ奥へと広がる。かつて戦域の境界は砲兵と砲弾の射程で決まっていました。今は違う。砲兵はドローンより“飛ばない”からです。今や戦域の境界を決めるのはドローンであり、それが戦場の「ものさし」になっています。
森田氏(以下敬称略):ドローン企業の観点から補足すると、これまでの戦争は、戦車や戦闘機のように高価で高性能、数の限られた兵器が重要でした。それがウクライナでの戦いを経て、ドローンの重要性が一気に高まっています。
ウクライナ側が2025年にドローンで迎撃したドローンの数は、小型から大型まで全種類を合わせて2万弱に上ります。主役になっているのは、1台10万〜20万円程度で作れる安価なドローンです。安価で数が多いドローンを、戦場に合わせて3カ月ごとに性能をアップデートしていく流れが続いています。
──先日のイランでの紛争でも、ドローンが目立ちましたが、どう見ていますか
ヴォロビヨフ:私は現地にいなかったので、ウクライナほど詳しくは語れません。ただ防空の人間として興味深いのは、技術が国境を越えて循環していることです。
まずイランの「シャヘド」型ドローンがロシアに渡り、ロシアがそれを基に「ゲラン」型ドローンを生みました。そしてイランは、そのゲランを使って標的を攻撃しました。シャヘドがゲランへと進化し、ゲランとしてイランに戻ってきたわけです。
私たちは当初から、シャヘドがロシアに渡れば世界中が問題を抱える、と伝えてきました。だが誰も手を打たなかった。数年後、ロシアはそこからゲランを作り、そしてイランはそのゲランを使って米国を攻撃したといいます。技術をロシアに渡せば、いずれ自分に向けて使われる。まさにわれわれが懸念していたことです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
防衛装備庁、自爆型ドローンに対抗する「迎撃ドローン」を公募 8月下旬にも量産契約へ
防衛装備庁は、攻撃型のドローンに対処する「迎撃ドローン」を早期に取得するため、民間企業からの提案を募集している。7月の実証試験を経て、運用に適すれば早ければ8月にも量産契約へ進める。小泉進次郎防衛相も自身のXで提案を呼びかけている。
防衛装備庁、国産ドローン300台を1.1億円で導入へ 日本企業と契約
防衛装備庁が、ドローン開発を手掛けるテラドローン(東京都渋谷区)と1億1543万4000円の製造委託契約を結び、同社のドローン「モジュール型UAV(汎用型)教育用」300機を導入する。テラドローンが発表した。
卒業研究は“レールガン” 米海軍兵学校の学生が自作、2022年に発表 マッハ1で弾丸を発射
2022年、米海軍兵学校の士官候補生7人が、卒業研究プロジェクトとして移動式レールガンシステムを開発した。
放てレールガン! 防衛装備庁が洋上射撃実験の動画を公開
防衛装備庁が、研究開発を進めている兵器「レールガン」の動画をYouTubeに掲載した。試験艦「あすか」に搭載したレールガンの洋上射撃実験を収めており、さまざまな射角で弾頭を発射する様子やそのハイスピードカメラ映像、標的船を射撃する様子などを確認できる。
