空から数千機、24時間365日の攻撃──ウクライナ防空副司令官が語る”安いドローン”の脅威 島国・日本は耐えられるか(2/2 ページ)
国際関係が緊張するいま、日本はドローンの特徴をどう把握し、どう対策する必要があるのか。ウクライナ軍防空副司令官のオレクサンドル・ジャン・ヴォロビヨフ氏らの見解を聞いた。
「島国だから安全」ではない ヴォロビヨフ氏から見た日本
──日本の防衛で、ドローンはどんな役割を果たしますか
ヴォロビヨフ:日本は島国なので、攻める側には海と空の2つの手段があります。海からなら、艦艇はこちらの攻撃ドローンで制圧できます。今や海路で日本に到達しようとするのは非常に危険です。敵が多数の艦艇を送ってきても、こちらは多数のドローンで叩けば損害は出ません。
問題は空です。敵が数千機のドローンを送り込み始めたら、24時間365日、毎日仕掛けてくることになります。「PAC-3」といった迎撃用ミサイルはありますが、1発のコストはおよそ300万ドル。一方でシャヘド1機は2万ドル程度で、国によってはさらに安くなるかもしれません。
つまりコスト効率のよいシステムなしには、安価なドローンの物量で押し潰され、持ちこたえられないわけです。同じ数だけの対ドローンシステムがなければ、結果は自ずと明らかです。
森田:現状、ウクライナでは1機40万円ほどの迎撃用ドローンで対抗しています。日本の海が、今ある防衛体制で、近隣国からの同様の攻撃に持続可能に対応できるかどうか。そこは確証がないと言わざるを得ません。
今ウクライナや中東で使われている攻撃型ドローンには、すでに1000〜2000km飛ぶものが登場しています。近隣国はそうした機体の開発を進めていて、2000km飛ぶとなれば、本土から飛ばしても十分に届く距離です。
──日本の防衛省は国産ドローンの確保にも意欲的ですが、なぜ国内で生産することが重要なのでしょうか
ヴォロビヨフ:ホルムズ海峡の交易が封鎖されたときを思い出してください。世界中で石油が問題になりました。仮に日本が何らかの紛争に巻き込まれ、自国を守るのに必要な物資の生産を物流網に完全に依存していたとします。その鎖が断たれたらどうなるでしょうか。
国内に生産を持たなければ、国は守れません。新たな秩序が戻るまで、どの国も自国を自ら守るべきです。
森田:ドローン企業の立場からも2点ほど挙げられます。1つ目は変化の速さです。ヴォロビヨフ氏が述べた通り、ロシア・ウクライナの戦争では3〜6カ月ごとに新しい技術が出てきて、機体が改良されていきます。技術や生産を海外に置いていては追随できません。全て国内で生産することで、変化にクイックに対応できます。
もう一つは、緊急性が高く数量も必要な中で、安定した生産ラインを持つ必要があることです。国内でコントロール可能な物流・サプライチェーンを整えることが、非常に重要だと考えています。
ヴォロビヨフ:今の時点で最も重要なのは、生産量ではありません。ウクライナでも、砲弾ならロケット弾も銃弾も大量に在庫を持ちたがります。しかしドローンではそれが通用しません。4カ月前に最良だったドローンが、今はもう使い物にならない。だから絶え間ない進化、それを止めないことが要です。
──技術的ないたちごっこがあるとのことですが、具体例は
ヴォロビヨフ:例えば前の冬に、敵の偵察ドローンが時速130kmで飛んでいたとします。ところが今、それらは160km超で飛んでいます。少し前まで通用していた迎撃側のドローンがもう追いつけない、開発が終わったころには敵はさらに速くなっている──具体的な機体名は言えませんが、そういうことが現実に起きています。
──ドローン以外に、ロボットの活用などはあり得ますか
ヴォロビヨフ:無人機という面では、すでにUGV(無人地上車両)や、USV(無人艇)が登場しています。UGVには銃のような無人砲塔を載せることも可能です。
遠隔操作もできますが、コンセプトはAIを積んでいること。砲塔のカメラが、まずレーダーから「その方向から何かが飛来している」という情報を受け取ると、自動で旋回し、カメラが対象を捉え、自動で撃つ……という技術がもう実在しています。
──森田さんに質問です。日本は民生ドローンの規制が厳しいですが、防衛ドローン開発への影響をどう見ていますか
森田:他国でできることができないのは課題だと感じています。具体的には電波法の問題が大きい。通信距離が短く制限されてしまうのです。他国では数十km飛ばして運用できるところが、我々は数kmでも難しい状況です。
このままでは法律が変わるのを待つのか、海外でやるかという選択になり、後れを取りかねません。開発の一部を海外で進めることも、今後の選択肢として考えていく必要があると思っています。
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