手のひらに12.3メガ――縦型コンパクト「FinePix F610」(3/3 ページ)
コンパクト機ながら1230万画素(4048×3040ピクセル)という“超”高解像度の画像を撮影できる富士写真フイルム「FinePix F610」。由緒正しき縦型スタイルをまとった“手のひらサイズに12.3メガピクセル”デジカメの魅力とは?
やはり縦型は“使いづらい”?
F610の特徴的な縦型スタイルは、1998年に登場した当時“世界最小・最軽量のメガピクセル機”「FinePix700」から続いている同社コンパクト・フラッグシップ機の伝統だ。“由緒正しき”このスタイルは、高性能の証しでもあるわけだ。
だが、初代縦型のFinePix700登場時からさまざまな方面で言われていることだが、筆者もどうもこのカタチは馴染めない。手ブレを避けるために両手で構えると、左手の指がビューファインダーをふさいだり、飛び出すズームレンズにぶつかったりしてしまう。“カメラは両手で抱えてワキを締めて”という撮影スタイルを否定するような使いづらさがあるのだ。
本体背面の右上部にモードダイヤルを設置したり、十字キーやスライド式の電源スイッチ、メニュー/フォトモード/DISP(表示)ボタンなどもすべて右手だけで操作できるように配置している。スタイリッシュなF610は、おそらく片手でサッと取り出して気軽にシャッターを押すといった軽快な操作感を狙っているのだろう。ただし、十字キーに配されたズーム操作までも右手1本のままで行おうとすると、いつかは本体を地面に叩き落してしまうことになりそうだ。
縦型の数少ない(!)メリットの1つが、背面の「大型ドットマトリックス文字表示液晶パネル」だ。デジカメ用としては大型サイズの1.8インチ(13.4万画素)の液晶ディスプレイの下に、撮影/再生時の各種情報を見ることができるこのパネルが装備できるのは縦型スタイルならではだ。
記録メディアはxD-ピクチャーカードを採用。電源は専用リチウムイオン充電池(NP-40)を使用する。メディア/バッテリ込みの重さは約215グラムと、記録メディアにスマートメディアを採用していた前モデル(FinePix F601、250グラム)に比べて軽量・小型化されている。
縦型の使いづらさは、慣れれば気にならなくなるのかもしれない。使い勝手のデメリットをカバーしてあまりある魅力が、F610にはある。光学系を無視したやみくもな高画素化は願い下げだが、光学性能とのバランスがとれている“12.3メガピクセル”は、レビューしていて少し欲しくなった。
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