デジタルとダブルアナログでトリプル録画──ソニー「VAIO type V VGC-VA201DB」:2006年春の地デジ対応モデル連続レビュー(3/3 ページ)
VGC-VA201DBはソニーの液晶一体型PC「VAIO type V」の最上位モデルになる。VAIO type V共通のアナログダブルチューナーに加え、BS/110度CS/地上デジタルチューナーを搭載してアナログ2番組とデジタル1番組の合計3番組を同時に録画できるのが特徴だ。その使い勝手を紹介しよう。
AV利用重視の充実したスペック
AV利用を重視したVAIO type Vだけにストレージをはじめとするハードウェアスペックは充実している。とくに250GバイトのHDDを2台搭載してトータル500Gバイトという大容量ストレージにはハイビジョン放送を40時間以上収録できる。RAIDには対応していないためドライブレターは分かれるが、Do VAIOもStationTV Digitalも録画先フォルダを別に設定できるので、Dドライブをアナログ、Eドライブをデジタルといった使い分けをすれば、容量もさほど気にはならないだろう。スピーカーはデザイン的にさりげなく組み込まれているが本体にサブウーハーを内蔵する。テレビの視聴はもちろん、音楽再生にも耐えうる音質を実現している。
一体型PCとしては珍しく、チップセットに内蔵されたグラフックスコアではなく、PCI Express x16対応のMOBILITY RADEON X700 HyperMemory(メインメモリ共有で最大256Mバイト)を採用している。モバイル向けGPUでメインメモリと共有するタイプであるが、3DMark03(1366x768ドット、nonAA、nonAniso)で計測したスコアは5137と、チップセット内蔵のグラフィックスコアとはまったく異なる優れた3D性能を発揮する。ゲーム側の描画表示設定を調整すれば最新の3Dゲームでもプレイ可能だろう。CPUは動作クロック3.20GHzのPentium4 640、メインメモリも標準で1Gバイトと、PCとしてのスペックは充実している。それでいて本体から発する騒音はPCとして使う場合(ユーザーの耳とPC本体が近い状態)でも気にならないほどだ。
「PCがあるリビング風景」の可能性を感じたLifeFLOW
とかく、AV機能が注目される一体型PCだが、VAIO type Vには「LifeFLOW」と呼ばれる、Podcastを含んだ音楽再生機能、RSSリーダー機能、写真スライドショー機能などが一体化した環境ソフトが導入されている。
スクリーンセーバーとしても動作するその性格からは「PCを使わないときでもLifeFLOWは使って欲しい」という意図が見えてくる。世の中にはスクリーンセーバー的なRSSリーダーがすでに存在しているが、Podcastを自動で再生したり、音楽再生機能(LifeFLOWでは、音楽CDやSonicStageで管理している音楽が再生できる)とRSSリーダーがタイマーで起動できるのは「生活のなかで使うPC」という提案として注目できる(個人的には、TVも一緒に表示してくれたら満点だったが)。
しかし、現状では誰もがRSSを理解して使いこなすのは難しい。列車の運行情報のページをLifeFLOWのアンテナサービスでRSS化して朝のタイマーで起動する……「ということができたら便利だなっ」と、RSSに慣れ親しんでいるユーザーなら使い方のアイデアも思いつくが、それを誰もができるようになっているとは言い難い。
また、LifeFLOWに実装されているスライドショー作成機能をRSSリーダーの背景に出来ないことや、カレンダー機能がほかのスケジューラとリンク出来ないなど、まだまだ使い勝手がこなれていない部分もある。生活のなかで気軽にPCを使える環境を実現するために、今後の改良とLifeFLOWに標準で登録されるRSSサイトの拡張に期待したい。
VAIO type V VGC-VA201DB | ||
CPU | Pentium 4 640 (3.20GHz/FCLGA4) | |
チップセット | RADEON XPRESS 200M | |
2次キャッシュ | 2048KB(CPU内蔵) | |
メインメモリ | 標準/最大 | デュアルチャネル 1Gバイト/1Gバイト |
規格 | DDR2 SDRAM(PC2-4200) | |
メモリスロット(空き) | 240ピンDIMM×2(0) | |
HDD | 7200rpm Serial ATA 250Gバイト×2 | |
DVDスーパーマルチドライブ | DVD-RAM 5倍速/2層DVD+R 2.4倍速/2層DVD-R 2倍速/DVD±R 8倍速/DVD+RW 4倍速/DVD-RW 4倍速/CD-R 24倍速/CD-RW 10倍速 | |
フロッピードライブ | −(オプション/外付けUSB接続) | |
ディスプレイ | 種類 | 20インチワイド(クリアブラック液晶) |
解像度 | 1366×768ドット | |
グラフィックスチップ | MOBILITY RADEON X700 HyperMemory | |
グラフィックスメモリ | メインメモリと共有(最大256Mバイト) | |
サウンド | Sound Reality(Intel HighDefinition Audio準拠) | |
内蔵スピーカ | ディスプレイ内蔵サテライトスピーカ(2ワット×2)2台+サブウーファー(5ワット) | |
光デジタル音声出力 | 角形×1 | |
TV機能 | ハードウェアMPEG-2リアルタイムエンコーダ搭載地上アナログ×2、ハードウェアMPEG-2エンコーダ/デコーダ搭載デジタル(BS/110度CS/地上対応)×1 | |
PCカードスロット | TypeII×1(CardBus対応) | |
Expressカードスロット | − | |
メモリカードスロット | CFカード×1、スマートメディア/xD-ピクチャーカード×1、SDメモリーカード/MMC×1 | |
USB | USB 2.0×4 | |
IEEE1394 | S400/4ピン×1 | |
ビデオ入力 | S-Video×1、RCA×1 | |
ビデオ出力 | − | |
イーサネット | 100BASE-TX/10BASE-T | |
FAXモデム | 56kbps(V.90)/14.4kbps | |
セキュリティ | − | |
ドライブベイ(空き) | 3.5インチ×2(0) | |
電源ユニット | 250ワット(Delta Electronics DPS-250AB-14A) | |
本体サイズ | 本体:571(幅)×256(奥行き)×444(高さ)ミリ | |
重量 | 本体:約16.3キロ | |
搭載OS | Windows XP Home Edition SP2 | |
価格 | オープンプライス(実売価格:30万円前後) | |
主な付属品:FeliCaポート付きワイヤレスキーボード(デジタル無線方式)、ワイヤレススクロール機能付き光学マウス(デジタル無線方式)、電源ケーブル、マニュアル、モジュラーケーブル、VAIO用マルチリモコン(RM-DTU2)、TVアンテナケーブル(3.6メートル×2)、B-CASカードほか | ||
主な付属ソフト:Microsoft Office Personal Edition 2003 プレインストールパッケージ、Do VAIO Ver.1.6 、StationTV Digital for VAIO Ver.2.0、DVgate Plus Ver.2.2 、WinDVD for VAIO、Click to DVD Ver.2.5 、SonicStage Ver.3.3 、SonicStage Mastering Studio Ver.2.1、PictureGear Studio Ver.2.0 、VAIO Media Ver.5.0 、Roxio DigitalMedia SE 7 、Norton Internet Secrity 2006、かざそうFeliCa 、LifeFLOWほか |
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