“Vista待ち”のあなたは、大きな勘違いをしている(ハイエンド編):いまPCを買うなら(3/3 ページ)
VistaのせいでPCの買い替えをためらっているのなら、それは間違いかもしれない。今回はいますぐ手に入るハイエンドマシンを例に、Vistaが快適に動くシステム構成を考えていく。
ハイエンドノートPC「Endeavor NJ5000」でのVista
ハイエンドノートPCとしてチョイスしたのは「NJ5000Pro」だ(製品の詳細は、グラフィックスワークステーション級の性能を――「Endeavor NJ5000Pro」を参考にしてほしい)。
NJ5000ProのBTOで選択できるCPUはすべてCore 2 Duoで、ディスプレイは1920×1200ドット(UXGA)か1680×1050ドット(WSXGA+)、ビデオチップも現時点でミドルレンジのATI RADEON X1600かグラフィックスワークステーション向けのFireGL V5200と、フラッグシップを名乗るのにふさわしい仕様だ。メモリもミニマム構成で512Mバイトからとなっており、メモリさえ1Gバイト以上搭載すれば「Windows Vista Premium Ready」の条件を満たすことになる。
ハイエンド製品とはいえそこはノートPCであり、ユーザーが購入後にパーツ交換できる部分は多くないし、BTOメニューもデスクトップPCほどの自由度はない。そこで試用機のパフォーマンスをベースに構成を考えていくことにする。
試用機のスペックは、Core 2 Duo T7600(2.33GHz)、メモリ1Gバイト(512Mバイト×2、デュアルチャンネル)、1920×1200ドットディスプレイ、ビデオチップにMoblitiy FireGL V5200、7200rpmの100Gバイト HDD(日立HTS721010G9SA00)、DVDスーパーマルチドライブの組み合わせだ。ビデオチップが評価用としては一般的ではないと思われるかもしれないが、FireGL V5200はRADEON X1600(RV530)をベースとしており、DirectX環境ではほぼ同程度のパフォーマンスなので、参考値として考えてもらってもかまわないはずだ。
「Windows エクスペリエンス インデックス」ではもっとも低いスコアがグラフィックスの4.2となったが、もちろんAERO GLASSを利用する基準の3.0は大きく上回る。注目すべきはHDDのスコアで、今回は7200rpmの製品を使用していることもあり、5.0とデスクトップPCに迫る値を叩き出している。NJ2000のスコアを引用すると5400rpm製品では4.3だから結構な差だ。BTOでは7200rpm製品は100Gバイトのみになっているが、より大容量でないと困るという人以外は、あえて7200rpmの製品を選ぶのも1つの手だ。
メモリに関しては2Gバイトをお勧めしたい。メモリスロットは2個備えているが、2枚1組のデュアルチャネル構成になっているので、どの容量でもメモリの拡張時には購入時のメモリを取り外すことになる。1Gバイトでも2Gバイトでも容量あたりの単価は同じなので2Gバイトだと割高になるというわけでもない。予算が許せば購入時のまま使い続けることを考えたほうが懸命だ。
液晶パネルとビデオチップはセットで考えることになる。15.4インチでは1920×1200ドットはかなりドットピッチは小さくなるが、1680×1050ドットとの価格差は1万円弱でしかないし、実はこの価格差にはビデオメモリの256Mバイトから512Mバイトへのアップグレードコストも入っている。またWindows Vistaではdpiスケーリングが可能であり、解像度をそのままにフォントやメニューバー、ツールバーなどもバランスを取って拡大/縮小表示が可能なのだ。つまり物理解像度はそのままに画面全体のズーム表示が可能なので、ドットピッチの小ささは容易にカバーでき、それでいて画像処理などでは高解像度を活用できる。液晶パネルは後から交換できないのでやはり1920×1200ドットを選択したいところだ。
ビデオチップの選択はシンプルだ。1680×1050ドットパネルではATI RADEON X1600 256MBのみで、1920×1200ドットでは、OpenGL対応のアプリケーションを使用するならATI FireGL V5200 512MB、そうでないならATI Radeon X1600 512MBを選択することになる。
アナログRGBとDVD-D出力も備えており、外部ディスプレイを接続すればデュアルディスプレイ環境も構築可能だ。この場合は(AERO GLASSを利用するなら)ビデオメモリの容量も重要になるが、1680×1050ドットパネルを選択した場合でも、同解像度のディスプレイを組み合わせてデュアルディスプレイが可能だし、1920×1200ドットパネルを選択した場合でも同じく同解像度のディスプレイを組み合わせられるだけのビデオメモリは備えている。
ほんの少し前までなら「(ノートPCで)ビデオメモリは512Mバイトもいらないよ」と言い切れたのだが、Vistaの登場で話は変わってきた。この点はさすがVista時代を見越したのハイエンドモデルと思わせる部分だ。
以上のポイントを整理すると、ハイエンドノートPCでVistaに最適なBTO構成は、CPUがマルチタスク性能を考慮してL2キャッシュが4MバイトとなるCore 2 Duo T7200以上。メモリは増設時の無駄なコストを省くために2Gバイト(1Gバイト×2)にし、ディスプレイは価格差以上のメリットが得られるであろう1920×1200ドットパネルで用途に応じてビデオチップを選択、HDDは7200rpmタイプの100Gバイトといったあたりになりそうだ。
関連記事
“Vista待ち”のあなたは、大きな勘違いをしている
いますぐ新しいPCが欲しいのにWindows Vistaの登場を待っている。そんな人はいないだろうか。Vistaのせいで買い替えをためらっているのなら、そんな心配は無用だ。エプソンダイレクトのマシンを例に、将来的にも安心して使えるシステム構成を見てみよう。Vistaに最適なディスプレイ環境をねっとりと検証する
Vistaの登場によってワイド液晶の普及が加速すると言われている。そこで実際にWindows VistaやOffice 2007を使ってワイド液晶のメリットを検証してみた(粘着)。最強のデスクトップPCを求めて――「Endeavor Pro4000」
Intel Core 2シリーズの採用でさらなる高みへと到達したエプソンダイレクトのフラッグシップ機「Endeavor Pro4000」。その実力を徹底検証した。Intel G965+Core 2 Duoで性能を加速――変幻自在のスリムPC「Endeavor MR3100」
エプソンダイレクトの「Endeavor MR3100」は、新アーキテクチャの採用とBTOメニューの拡充により、コンパクトモデルの限界を押し広げるパフォーマンスを備えている。RADEON XPRESSでパワーアップした“4万円台から”のバリューPC──「Endeavor AT960」
最小構成例で4万7250円から用意するバリューデスクトップPCに、グラフィックス統合チップセット「RADEON XPRESS 200」を搭載する新モデル「Endeavor AT960」が登場した。“バリュー”であっても具体的にどれだけ・どのように使えるのか、実際に試してみた。グラフィックスワークステーション級の性能を――「Endeavor NJ5000Pro」
エプソンダイレクトの新たなフラッグシップ「Endeavor NJ5000Pro」は、Core 2 Duoと高解像度パネルを搭載し、OpenGL対応GPUによりCAD/CG用途さえもカバーする、幅広い可能性を秘めたハイエンドノートPCだ。Vista世代の低価格ワイドノートPC「Endeavor NJ2000」
Windows Vistaの発売をひかえて、低価格ノートPCにもワイド液晶の搭載がほぼ標準となった。現在、最もホットなこの市場にエプソンダイレクトは、Core 2 Duoを搭載した15.4インチワイドノートPC「Endeavor NJ2000」を投入する。2スピンドルで1.2キロの“リアルモバイル”PC──エプソンダイレクト「Endeavor NA101」
約1.2キロの2スピンドルB5モバイルノート、しかも10万円台で購入可能──エプソンダイレクトの意欲作といえる新モデルが「Endeavor NA101」だ。オプションで用意するワンセグカードとともに使い勝手をチェックしていこう。第8回 Vistaにおけるデバイスドライバのゆくえ
Windows Vistaにおけるデバイスドライバの扱いをチェックしよう。第7回 Windows Vistaの最新βをチェックする
“July CTP”とも呼ばれるビルド5472の最新Vistaを見ていく。第6回 AMDのATI買収劇が意味するもの
“電撃的”に発表された米AMDによる加ATI Technologies買収劇の意味を考える。第5回 Windows Vistaのアップグレードポリシーを考える
Windows Vistaのアップグレードポリシーをチェックしよう。第4回 Vistaのユーザーアカウント制御を考える
Windows Vistaのユーザーアカウント制御はどのように変わるのだろうか。第3回 内蔵グラフィックスでWindows Aeroは動くのか!?
統合チップセットのグラフィックスで“Windows Aero”を動かしてみた。第2回 Windows Aeroの謎に迫る
NVIDIA製グラフィックスカードを使って“Windows Aero”の謎に肉薄する。第1回 果たしてWindows Vistaはテイクオフできるのか?
PCウオッチャーの元麻布春男氏が、Windows Vistaの現状を斬る。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.