R600は2007年第1四半期に発表する──2007 AMD Japan Kick-off Press Meeting
日本AMDは、1月24日に2007年の取り組みに関する記者会見を行った。この会見では直前に米国AMDが発表した2006年の決算報告や新製品の開発状況についても言及した。
日本AMDの記者会見で、同社取締役マーケティング本部本部長の吉沢俊介氏は、直前に米国AMDが発表した2006年第4四半期の決算報告の要旨を紹介した。この期から総売上にATI部門の業績も含まれることなる。すでに報道されているように、AMDは2006年第4四半期の最終損益で赤字になっているが、この要因について吉沢氏は「ATI買収に係わるコストと従業員ストップオプションに係わるコスト」と説明。会見で示された資料では従来のAMD部門とATI部門に分けて業績が説明されている部分があり、吉沢氏も「参考程度に見ていただきたい」としながらも、要所要所で従来のAMD部門の値を用いて説明を行った。「AMD分の売り上げのみでみますと、2006年第3四半期から3%アップとなっています」(吉沢氏)
2006年通年の売り上げは約56億ドル(このうち、約4億ドルはATI部門の第4四半期売り上げ)となり、ワールドワイドで見た場合の半導体ベンダートップ10の7位にランクされることになるという。「2005年(の15位)から比べると飛躍的に上がっております」(吉沢氏)
また、「よく聞かれることですけども」と吉沢氏がいう“対インテルとの市場シェア”について、2006年通年におけるマイクロプロセッサの総出荷量は2005年と比べて26%アップしており、市場の伸びを勘案すると2006年のすべての四半期においてX86向けCPUのシェアを伸ばしたものとAMDが予測していることを明らかにした(正式な結果は2007年の第1四半期に判明する)。
とくに「Turion、Turion 64、Turion 64 X2が非常に好調」(吉沢氏)だったモバイル向けCPUの市場では、2005年と比べて売り上げベースで85%の上昇を見たと説明している。さらに、2006年第3四半期と第4四半期を比べても41%の上昇を実現するなど「これは非常に喜ばしい」(吉沢氏)成果をAMDは収めている。
吉沢氏は2007年の計画にも言及した。2007年に予定されている設備投資は、主に Fab.36とFab.38における従来のFab 30が90ナノメートルプロセルルールから65ナノメートルプロセスルールへの移行、300ミリウェハの導入に注ぎ込まれる。吉沢氏は90ナノから65ナノへの移行は順調に進んでいると述べており、2007年の第1四半期には65ナノの生産が90ナノを上回る見通しと説明した。
さらに、これから予定されている新製品の開発状況についても吉沢氏は紹介し、45ナノプロセスルールプロセッサは2008年に登場予定で、ATI部門が進めているハイエンドGPU「R600」は2007年第1四半期、クアッドコアCPUは2007年中にそれぞれ発表する予定で「皆さんにお知らせしているスケジュールどおり変わりません」と述べている。
AMDが掲げる2007年のキーワード「ベター・バイ・デザイン」についても吉沢氏は、「競合がノートPCのコンフィグレーションでCPUはこれ、チップセットはこれ、ワイヤレスはこれ、と決めているのに対して、AMDはあくまでも選択。チップセット、グラフィックス、ワイヤレスはそれぞれを得意とする専門のベンダーにまかせて、すぐれた要素技術をユーザーが自由に選べるようにしたい」と説明。「“厳選素材”と 日本のチームは名づけているが、 これで組んだPCをエンドユーザーは選んでもらいたい」と語った。
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