インテルが考える“シニアが使いやすいPC”の条件
最新ガジェットを使いこなすばあちゃんもいれば「おれはそんなの認めねぇ」というじいちゃんもいたりする。「無理して使わなくても」と思ったりするが、インテルの考えは違うようだ。
インテルは7月3日に、PCに慣れていない高齢者向けのPCやインターネットサービスに求められる技術要件を発表した。当日行われた「スマートデジタルライフ推進プロジェクト~活動報告と今後のビジョン~」で吉田和正インテル代表取締役共同社長は、スマートデジタルライフの実現においてシニア世代にPCを使ってもらうことの重要性を語った。
今回策定された技術要件は、スマートデジタルライフ推進プロジェクトに参画しているインテル、マイクロソフト、ビットワレットによる意見の交換や2006年12月から2007年3月に埼玉県川口市で行われた実証実験の結果に基づき、インテルが中心になって策定作業を行っている。スマートデジタルライフの構想では、電子マネーによる商取引を中心とする利用モデルが提案されているが、電子マネーを使うためにはPCの操作が必要。スマートデジタルライフが世間に普及するためには、シニア世代が簡単に使えるPCやWebサービスが求められることになる。今回策定された技術要件でも「いかに、使いやすいマンマシンインタフェースを提供できるか」が配慮されているという。
技術要件が定められている項目は、CPU、メモリ容量、重さ、ディスプレイサイズ、OS、WebブラウザといったPCでおなじみの項目から、ディスプレイのサイズ、初期状態復帰ボタンといった使い勝手に係わる仕様、ポータルサイトやオンラインサービスページのクリックボタンのサイズや色、配置などのデザインに影響する項目、そしてサービス利用に必要な個人認証の簡単な入力手続きなど多岐にわたる。
インテルの資料で紹介されている技術要件とその理由は以下のようになっている。
以上の技術要件には、「不慣れなユーザーの扱い」にも耐えられるように「SSDの搭載」やWindows Vista Ultimateの導入など、価格的なハードルが高い条件も含まれているが、インテルの説明によると「これらは望まれる推奨条件」であるため、実際にこの要件を満たさなくともスマートデジタルライフ推進プロジェクトによって提唱された「シニア向けPC」と扱われる場合もありうるとしている。なお、今回策定された条件を満たしたシニア向けPCやサービスポータル、Webサイトであることを示す「認証ロゴ」については、将来において用意する可能性もあるが、現時点では予定なしとしている。
会場には、この技術要件に基づいて開発されたPCとしてPBJのスレートタイプのタブレットPCが用意され、同じく技術要件に基づいてデザインされたオンラインサービスサイト「小僧.COM」「オイシックス」「JTA!テニスオンライン」のデモンストレーションが行われた。PBJが用意した“シニアPC”は9月出荷予定で価格は未定ながら30万円台となる見込み。オンラインサービスも7月から運用を開始するという。
PBJのシニアPC「DT1D45」モデルはCPUにCore Duo L2500、Intel 945GM、メモリ容量1Gバイト、HDD80Gバイト、12.1インチ液晶ディスプレイ(最大解像度1024×768ドット)にはデジタイザとタッチパネル切り替え式のパネルが組み込まれている。重さが1.62キロでOSにWindows Vista Business(もしくはWindows XP Tablet PC Editon 2005)が導入されるなど、一部の仕様が今回策定された技術要件を満たしていないが、これも“シニアPC”として扱われる(ただし、現在開発中であるので、製品版でスペックが変更される可能性はある)。
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