インテルが考える“シニアが使いやすいPC”の条件

» 2007年07月03日 17時48分 公開
[長浜和也,ITmedia]
“シニアPC”を手にする吉田和正インテル代表取締役共同社長

 インテルは7月3日に、PCに慣れていない高齢者向けのPCやインターネットサービスに求められる技術要件を発表した。当日行われた「スマートデジタルライフ推進プロジェクト〜活動報告と今後のビジョン〜」で吉田和正インテル代表取締役共同社長は、スマートデジタルライフの実現においてシニア世代にPCを使ってもらうことの重要性を語った。

 今回策定された技術要件は、スマートデジタルライフ推進プロジェクトに参画しているインテル、マイクロソフト、ビットワレットによる意見の交換や2006年12月から2007年3月に埼玉県川口市で行われた実証実験の結果に基づき、インテルが中心になって策定作業を行っている。スマートデジタルライフの構想では、電子マネーによる商取引を中心とする利用モデルが提案されているが、電子マネーを使うためにはPCの操作が必要。スマートデジタルライフが世間に普及するためには、シニア世代が簡単に使えるPCやWebサービスが求められることになる。今回策定された技術要件でも「いかに、使いやすいマンマシンインタフェースを提供できるか」が配慮されているという。

 技術要件が定められている項目は、CPU、メモリ容量、重さ、ディスプレイサイズ、OS、WebブラウザといったPCでおなじみの項目から、ディスプレイのサイズ、初期状態復帰ボタンといった使い勝手に係わる仕様、ポータルサイトやオンラインサービスページのクリックボタンのサイズや色、配置などのデザインに影響する項目、そしてサービス利用に必要な個人認証の簡単な入力手続きなど多岐にわたる。

 インテルの資料で紹介されている技術要件とその理由は以下のようになっている。

シニア向けPCの技術要件CPUコアマイクロアーキテクチャ対応CPUまたは相当品セキュリティ処理をバックグランドで行いつつ平滑なフロントエンド処理を行うため。なお、インテルのリリースではCore 2 Duoとされている
OSWindows Vista Home PremiumまたはUltimateセキュリティを考慮、かつ、Tablet操作が求められるため
WebブラウザInternet Explorer 7以上、または同等機能をもつものセキュリティ機能を有し、フィッシング詐欺検出機能をもつこと
ディスプレイタッチパネル対応ペン操作対応タブレット銀行のATMや券売機のように使ってもらえる。手書き入力ができるようにスタイラス内蔵が望ましい
ディスプレイサイズ9インチ以上解像度は1024×768ドット以上が望ましい
バッテリー駆動充電式バッテリー内蔵使用場所に柔軟性を持たせるため
ストレージデバイスSSD情報端末に慣れていないユーザーの扱いに耐え、かつ、家電並みのレスポンスを求められるため
メモリ容量1Gバイト以上Windows Vistaを快適に動作させるため
重量1.5キロ以下ユーザーへの肉体的負担を軽減し持ち運び性のよさを確保するため
FeliCaポート内蔵オンラインサービスを利用する上で便利なツールとなりうるため
ネットワーク有線LAN and 無線LAN(IEEE 802.11 a/b/g/n いずれか)インターネット接続を確保するため必須
USB 2.0最低2ポート外付けマウス、キーボード、光学ドライブの接続を確保するため
初期状態復帰ボタンすべてのアプリを強制終了し初期画面に戻る意図したとおりに動作しなくなった場合、ユーザーは壊してしまったのではないかと強い不安を覚えるため
Webカメラ内蔵映像と音声によるコミュニケーションのニーズは高いと考えられるため
ドッキングステーション標準添付場所を固定して利用する場合、据え置くために機器が必要なため
マイクロフォン内蔵IP電話、ビデオ電話、音声ガイダンスを可能にするため

サービスポータルの技術要件基本構成トップページにクリック可能なボタン状の領域ハイパーテキストリンクは慣れない人に分かりにくい
フレームは常時表示
ブラウザの各種機能はそのまま使える
トップページはスクロールなしで表示
ボタン(Cilikable area)サイズは最低100×30ドット指でタッチできる大きさを目安
形は長方形
背景に溶け込まない配色
ボタンの周囲に短手方向長4分の1の余白
スクロール水平方向スクロールはなし
垂直方向スクロールは原則なし最悪でも全ページの2分の1が表示されること
ユーザー情報ユーザーが一度入力したらそれ以降のアクセスは簡単な認証手続きでポータル内全サービスに適用
“最初に戻る”ボタン全ページに目立つように設置ユーザーがどんな状態でもトップページに戻れるようにする

個々のWebサイトの技術要件(サービスポータルの技術要件に加えて)
ボタン(Cilikable area)内容を示す文字が読みやすく意味が分かりやすい
認証にともなう入力は不要必要な場合もユーザー負担を軽減すること
決済サービス方法の1つに電子マネー決済を提供すること
サイトのメニュー階層5階層以下
ポップアップウインドウユーザーが消さなければならないウインドウは極力避ける
Internet Explorer 7への対応Webブラウザが用意するセキュリティ機能やフィッシングサイト検出機能に対応すること

 以上の技術要件には、「不慣れなユーザーの扱い」にも耐えられるように「SSDの搭載」やWindows Vista Ultimateの導入など、価格的なハードルが高い条件も含まれているが、インテルの説明によると「これらは望まれる推奨条件」であるため、実際にこの要件を満たさなくともスマートデジタルライフ推進プロジェクトによって提唱された「シニア向けPC」と扱われる場合もありうるとしている。なお、今回策定された条件を満たしたシニア向けPCやサービスポータル、Webサイトであることを示す「認証ロゴ」については、将来において用意する可能性もあるが、現時点では予定なしとしている。

 会場には、この技術要件に基づいて開発されたPCとしてPBJのスレートタイプのタブレットPCが用意され、同じく技術要件に基づいてデザインされたオンラインサービスサイト「小僧.COM」「オイシックス」「JTA!テニスオンライン」のデモンストレーションが行われた。PBJが用意した“シニアPC”は9月出荷予定で価格は未定ながら30万円台となる見込み。オンラインサービスも7月から運用を開始するという。

 PBJのシニアPC「DT1D45」モデルはCPUにCore Duo L2500、Intel 945GM、メモリ容量1Gバイト、HDD80Gバイト、12.1インチ液晶ディスプレイ(最大解像度1024×768ドット)にはデジタイザとタッチパネル切り替え式のパネルが組み込まれている。重さが1.62キロでOSにWindows Vista Business(もしくはWindows XP Tablet PC Editon 2005)が導入されるなど、一部の仕様が今回策定された技術要件を満たしていないが、これも“シニアPC”として扱われる(ただし、現在開発中であるので、製品版でスペックが変更される可能性はある)。

PBJが展示した“シニアPC”は同社の製品「Slate DT」をベースに技術要件で求められたインタフェースなどを追加されている
シニアPCで用意される手書きパレット。画面右には「戻る」「トップに戻る」といった専用ボタンがレイアウトされている

FeliCaポートの場所はこのようにポップアップで画面に表示される。試作機は画面左に用意されたポートは量産機で画面右下に移される予定
12.1インチ液晶ディスプレイを搭載したTablet PCがベースなので筐体サイズに余裕があるため、インタフェースは充実。筐体上面にはType II対応PCカードスロットも用意されている

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