2025年が明けたPCパーツ街では、間もなく販売開始予定の大物パーツを待ち望む空気がハイエンドユーザーの間で広がっていた。NVIDIAの次世代ハイエンドGPU「GeForce RTX 5090」と「同RTX 5080」を搭載したグラフィックスカードだ。
予定通り1月30日午後11時に販売解禁となり、深夜販売を実施するショップもあった。しかし、予想外の人数が集まり、ルールを守らない一部の人間が近隣の幼稚園の柵をまたぐなどの問題行動を起こしたため、販売イベントは中止となった。
このトラブルを受けて、翌朝からの店頭販売を予定していた他のショップもオンライン販売のみに切り替えるなどの措置をとった。BTOパソコン売り場にはGeForce RTX 5080を搭載したモデルも並んでいたが、カード単品のパッケージを売り場で見かけることはしばらくなかった。
当時、あるショップは「GeForce RTX 5090/5080カードがもっと潤沢にあって、周辺国も含めてもっと普通に手に入る状況だったら、ここまでの騒動にならなかったわけで。取り扱う商品の怖さを改めて感じました」と話していた。
この1年と少し前、前世代の最上位GPUであるGeForce RTX 4090を搭載したグラフィックスカードも米国が中国に輸入制限をかけたために、その需要が海を越えて日本にも押し寄せてきた。今回の騒動は、そのときの過剰な需要がさらに過熱した結果だとみる声が多かった。
余波は広がっていく。2月28日にPCゲームの人気シリーズ最新作の「モンスターハンターワイルズ」が販売されることもあり、年末から品薄傾向が進んでいたGeForce RTX 4070 Ti SUPERやRTX 4080カードだけでなく、Radeon RX 7900 XTカードの在庫も払底するショップが相次ぐようになった。
そうした中で、2月中旬にはRTX 5080の1つ下のGPU「GeForce RTX 5070 Ti」を搭載するカードの販売が始まったが、店頭に並べるショップはなかった。話題の新製品はオンラインでのみ販売するのが一時的にスタンダードとなった感がある。
回復の兆しは、3月に入ってようやく見られるようになった。NVIDIAの新GPU「GeForce RTX 5070」搭載カードと、AMDの新GPU「Radeon RX 9070 XT」と「同RX 9070」搭載カードが連続で販売開始となり、一部のショップが店頭販売を敢行している。
Radeon RX 9070 XT/9070カードのみ店頭販売を実施したパソコンSHOPアークは、午前11時半からの整理券配布方式の販売を予定していたが、行列が100人近くとなったため抽選方式に急遽変更して対応したという。機転によって滞りなく初回分を売り切ったが、反響を読み切るのはまだ難しい空気が漂っていた。
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