12月16日19時、AMDの新型GPU「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」を搭載するグラフィックスカードが発売される。税込みの想定販売価格は、Radeon RX 7900 XTは15万9800円から、Radeon RX 7900 XTXが17万9800円からとなる。
発売に先立ち、ITmedia PC USERは12月8日、AMD純正グラフィックスカードのパッケージとカードデザインを紹介する記事を掲載した。
この記事では、そのパフォーマンスをチェックしていく。グラフィックスカード選びの参考になれば幸いだ。
ベンチマークテストをする前に、Radeon RX 7900 XT/7900 XTXが採用するGPUアーキテクチャ「RDNA 3」について簡単に振り返ってみよう。
RDNA 3は「Navi 3x」というコードネームで開発が進められてきた。その名の通り、Radeon RX 5000シリーズの「RDNAアーキテクチャ」、Radeon RX 6000シリーズの「RDNA 2アーキテクチャ」の系譜を受け継ぐ新しいアーキテクチャである。
最大の変化点は、パッケージに必要な複数の半導体やダイを混載して搭載する「チップレット技術」を採用したことだ。1つ1つのダイサイズを小型化することで歩留まりを改善して製造コストを抑えつつ、プロセッサのコアを増やすなど、主要部品の性能向上を見込むことができる。
チッププレット技術自体は、AMDのCPU「Ryzenシリーズ」でも使われており、“多コアCPU”の製造において競合であるIntelに対して優位に立った。性能向上が著しいGPU市場でもチップレット技術を活用することで、コストパフォーマンスに優れたGPUを作り、競合に負けない商品作りをしようと考えたのだろう。
もちろん、RDNA 3アーキテクチャは、性能面での進化も大きい。演算能力はRDNA 2アーキテクチャの最大23.65兆FLOPSから、最大61兆FLOPSと2倍以上に向上している。キャッシュメモリ「Infinity Cache」も第2世代へ進化し、実効速度は先代の約2.7倍となる最大毎秒5.3TBと大幅に高速化されている。
GPUダイ(Graphic Compute Die:GCD)には新しい演算ユニット(CU)、ディスプレイエンジンやメディアエンジンも搭載されている。CU1基には、2×32構成のストリームプロセッサ(SP)とAIアクセラレーターを2基ずつ搭載し、RDNA 2アーキテクチャ比で時間当たりの命令発行数は最大2倍、機械学習ベースのAI処理パフォーマンスは最大2.7倍となっている。リアルタイムレイトレーシング(RT)処理のパフォーマンスも、RDNA 2アーキテクチャ比で最大1.5倍に引き上げられている。
GCDに統合されたメディアエンジンは2基構成となり、H.264とH.265を並行してエンコード/デコードできる他、動作クロックも約1.8倍に引き上げられたことで、動画処理に強いGPUという進化も果たしている。
前置きが長くなったが、RDNA 3は先代のRDNA 2から大きな性能向上と、同世代の他社GPUと比較してコストパフォーマンスに優れているということが、今回のテストで明らかにしていきたいポイントだ。
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