ここからはAMD純正のRadeon RX 7900 XT/7900 XT搭載グラフィックスカードを通して、両GPUのパフォーマンスをチェックしていこう。
今回は、Intelの第13世代Coreプロセッサの最上位モデル「Core i9-13900K」を主軸に組み立てた自作PCを使ってテストを行っている。「Intelの最新CPUとAMDの最新GPUを組み合わせるとどうなるのか?」という観点で結果を見てもらえると幸いだ。
この自作PCの主要スペックは以下の通りとなる。
このPCでは過去に、Radeon RX 7900 XT/7900 XTの「仮想敵」として公式ベンチマークテストにも登場したGeForce RTX 4080のベンチマークテストも実施している。筆者の私物である「Radeon RX 6800 XT」(MSI Radeon RX 6800 XT Gaming X Trio 16G)を使って新たに実施したテストの結果と合わせて、計4種類のグラフィックスカードを比較する。
なお、グラフィックスカードのデバイスドライバーは、Radeon RX 7900 XT/7900 XTXが「バージョン22.40.00.57(テスト版)」、Radeon RX 6800 XTが「バージョン22.11.2(推奨版の最新ビルド)」、GeForce RTX 4080(過去スコア)が「バージョン526.72(テスト版)」となる。また、Resizable BAR(Smart Access Memory)は有効としている。
まず、3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」の結果を見てみよう。今回はDirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」を用意されている全ての解像度で試験しつつ、RT性能をチェックする「Port Royal」のテストも実施した。総合スコアは以下の通りである。
Radeon RX 7900 XTXのスコアは、どのテストもGeForce RTX 4080と僅差である。テストによって勝ったり負けたりしているが、総合的にはおおむね互角といっても差し支えないだろう。想定価格を見比べると、Radeon RX 7900 XTXはGeForce RTX 4080よりも4万円ほど安い。実売価格の差も同程度だとすると、Radeon RX 7900 XTXは最新ハイエンドGPUの割に安くてコストパフォーマンスがいいということになりそうである。
Radeon RX 7900 XTのスコアは、Radeon RX 7900 XTXから10〜20%ほど低い。ただし、想定価格が16万円弱であることを考えると、こちらも「上の下クラス」のGPUとしてはコストパフォーマンスに優れていることは間違いない。実売価格もこの通りになればいいのだが……。
ちなみに、前世代の「Radeon RX 6000シリーズ」では、GeForce RTX 30シリーズに対してRT性能がどうしてもかなわないという構図になっていた。この構図はRadeon RX 7900 XT/7900 XTXに対するGeForce RTX 4080にも当てはまるが、Port Royalの結果を見る限りはスコア差(≒性能差)は小さくなっている。
RT目的でグラフィックスカードを買う場合において、Radeon RX 7900 XT/7900 XTXを避ける理由は見当たらない。
続いて、実際のゲームタイトルをベースとするベンチマークテストアプリを使ってパフォーマンスをチェックしてみよう。
まずは軽量な「ファイナルファンタジーXIV : 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を、画質設定で「最高品質」、解像度はフルHD(1920×1080)、WQHD(2560×1440)、4K(3840×2160)でスコアの計測を行った。結果は以下の通りだ。
Radeon RX 6800 XTにおける4K解像度を除いて、いずれも「非常に快適」評価となった。FF14を遊ぶ場合、今回テストしたグラフィックスカードであれば、どれでも4K解像度でもそこそこ遊べるということである。
スコアを見比べると、どの解像度でもトップはGeForce RTX 4080だった。これはFF14シリーズ自体がNVIDIA製GPUとの相性が良い傾向にあることが原因であると思われる。とはいえ、Radeon RX 7900 XTXやRadeon RX 7900 XTが劣るというわけではない。画面の動きを見る限り、パッと見で分かる違いはそれほど多くはなく、解像度が高くなるほどスコアの差も小さくなっていく。
続けて、システムへの負荷がやや大きい「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」の高画質設定も合わせて実行してみよう。解像度はFF14ベンチマークと同じくフルHD、WQHD、4Kの3つで行っている。結果は以下の通りである。
FF15もNVIDIA製GPUとの相性が良い傾向にある。そのこともあって、FF14ベンチマークと同様にFF15ベンチマークも全解像度でGeForce RTX 4080がトップに立った。しかし、こちらはどの解像度もRadeon RX 7900 XTXが僅差で迫っている。また、Radeon RX 7900 XTについても、Radeon RX 6800 XTと比べると良い感じにスコアが向上している。
「最上位のグラフィックスカードは不要だが、それでもそこそこ“強い”GPUが欲しい」という人にとって、Radeon RX 7900 XT/7900 XTXは積極的に検討すべき選択肢の1つになったといえるだろう。
ここまでの結果の通り、Radeon RX 7900 XT/7900 XTXはRadeon RX 6000シリーズを確実に上回るGPUであることが分かった。特にRadeon RX 7900 XTXは、条件次第でGeForce RTX 4080と十分に肩を並べるほどのポテンシャルを有している。
……とはいえ「本当にヘビーなゲームでも大丈夫なの?」という声もありそうだ。そこで、超重量級かつRT処理にも対応したゲームとして、「サイバーパンク 2077」を実際に動かしてパフォーマンスをチェックしてみよう。
今回はサイバーパンク 2077のゲーム内ベンチマークを用いて平均フレームレートを計測する。解像度は4K、画質プリセットは「ウルトラ」とし、その他の設定も「画質優先」としている。このゲームはAMDの超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」にも対応しているため、それを「パフォーマンス」設定(=フレームレート最重視)として有効化した場合のレートも計測している。結果は以下の通りだ。
Radeon RX 7900 XT/7900 XTであれば、4Kネイティブで描画しても60fps前後のスピードが出る。一般的な4K解像度のTVやPC用ディスプレイでプレイするには十分なパフォーマンスといえる。もっとも、オブジェクトの多いシーンでは60fpsを大きく割ることもあったが、実際のプレイでは“一瞬”なので、よほど神経質でない限りは気になるほどではない。
「それでもフレームレート重視!」というなら、FSRを有効化してプレイすることをお勧めする。しかし、FSRをフレームレート最優先設定で使うと、画質はどうしても落ちてしまう。プレイしながら、ちょうどよい画質設定を探してみることをお勧めする。
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