AMDは11月4日(米国東部時間)、「RDNA 3アーキテクチャ」に基づく新型GPU「Radeon RX 7000シリーズ」を発表した。発表されたのはハイエンド向けの「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」の2製品で、両GPUを搭載するグラフィックスカードは米国では12月13日に発売される予定で、想定価格はRadeon RX 7900 XT搭載カードが899ドル(約13万3300円)から、Radeon RX 7900 XTX搭載カードが999ドル(約14万8200円)からとなる。
Radeon RX 7000シリーズで使われるRDNA 3アーキテクチャのGPUは、GPUとしては世界で初めて「チップレット」(パッケージ上の構成要素を“個別に”製造してそれを統合して1枚のチップとして動作する)設計を採用した。Graphic Compute Die(GCD:GPUコアを内包するダイ)は5nmプロセスで、Memory Cache Die(MCD:メモリコントローラーとInfinity Cache用のメモリを搭載するダイ)は6nmプロセスで製造されるという。
同アーキテクチャのGPUの演算能力は最大61兆FLOPS、内部伝送速度は最大毎秒5.3TB、グラフィックスメモリは最大24GB(GDDR6規格)、トランジスタの数は最大580億個となる。
先代の「RDNA 2アーキテクチャ」から採用されているキャッシュメモリ「Infinity Cache」は第2世代となり、実効伝送速度が最大毎秒5.3TB(RDNA 2の約2.7倍)となった。
GCDには新しいCompute Unit(CU:演算ユニット)、ディスプレイエンジンとメディアエンジンが搭載されている。CUのトランジスタ数は、RDNA 2比で1平方ミリメートル当たり約1.65倍となり、それぞれのCUに2×32構成の「Stream Processor(SP)」とAIアクセラレーターを2基ずつ搭載している。これにより、RDNA 2比で命令発行数は2倍に、機械学習ベースのAI処理パフォーマンスは最大2.7倍になったという。
さらに、GDCには第2世代のレイトレーシングアクセラレーターも搭載されており、RDNA 2比で最大1.5倍のパフォーマンスを発揮するとのことだ。
GCDには新しい「Radiance Display Engine」も搭載されている。このディスプレイエンジンはDisplayPort 2.1に対応しており、性能的には8K(7680×4320ピクセル)/165Hz、4K(3840×2160ピクセル)/480Hzの出力も可能だ。
さらに、GCDに統合されたメディアエンジン(動画のエンコーダー/デコーダー)も2基構成となっており、AVC(H.264)とHEVC(H.265)のエンコードとデコードを並行して行える他、AV1形式の動画のエンコードとデコードにも対応している(最大で8K/60fpsに対応)。メディアエンジン自体の動作クロックを約1.8倍引き上げた他、動画エンコードにAIアクセラレーターも活用することで、「動画処理に強いGPU」に仕上げてきている。
先述の通り、Radeon RX 7000シリーズはハイエンド向けのRadeon RX 7900 XTとRadeon RX 7900 XTXから展開される。GPU補助電源はいずれも「8ピン×2」という構成で、AMDによると「電源を買い換えることなくアップグレードできる」という。両GPUの主なスペックは以下の通りとなる。
最上位製品となるRadeon RX 7900 XTXでは、1440p(WQHD:2560×1440ピクセル)だけでなく3840p(4K/UHD)でも高いリフレッシュレートを実現しているという。超解像技術「AMD FidelityFX Super Resolution(FSR) 2.0」を併用した場合、4Kかつレイトレーシングを有効にした場合でも、負荷の大きいゲームにおいて60fps以上の平均フレームレートを確保できるとのことだ。
なお、FSRについては2023年中に「バージョン3.0」をリリースするという。現行のFSR 2.0と比べてフレームレートが最大で2倍になるというが、詳細はまた後日発表となるようだ。
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