NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 5090」を搭載するグラフィックスカードが、まもなく発売される。日本における税込み想定販売価格は39万3800円からとなる。
ITmedia PC USERでは、発売に先駆けてNVIDIA純正のグラフィックスカード「GeForce RTX 5090 Founders Edition」(日本未発売)を先行レビューする機会を得て、そのパッケージとカードの外観を紹介する記事を先日掲載した。
この記事では、いよいよ本カードの“実力”をチェックしていく。
テストを始める前に、GeForce RTX 5090を含む「GeForce RTX 50シリーズ」の仕様を改めて確認していこう。
GeForce RTX 50シリーズは、NVIDIAの最新GPUアーキテクチャ「Blackwell(ブラックウェル)」をコンシューマー向けに初採用したGPUだ。AI(人工知能)を生かした「ニューラルレンダリング」を実現すべく、AIの処理性能を高める工夫が施されている。
行列演算をつかさどる「Tensorコア」は第5世代に進化し、FP4(4bit浮動小数点演算)」をサポートした。これにより、生成AIの大幅な性能向上が望める。
ゲーミングという観点では、NVIDIA独自の超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling」の最新バージョン(DLSS 4)において「マルチフレーム生成」を利用できるようになった。これはGeForce RTX 40シリーズにおける「フレーム生成」をより高度にしたもので、1つのフレームにつき補間フレームを最大3つ生成できる。
動画エンコーダー「NVENC」は第8世代から第9世代に、動画デコーダー「NVDEC」は第5世代から第6世代に進化し、4:2:2フォーマットの動画のエンコード/デコードに対応した。動画を扱うクリエイターにも、一定の恩恵がある。
グラフィックスメモリはGDDR7規格となり、メモリの帯域幅は最大で毎秒1.7TBまで拡大された。GPU内のデータ伝送速度が向上するということは、PCとの接続バスも高速化を求められる。そのこともあり、接続バスはPCI Express 5.0(PCI Express 4.0互換あり)となった。
今回レビューするGeForce RTX 5090は、GeForce RTX 50シリーズのフラグシップモデルだ。主な仕様は以下の通りとなる。
CUDAコアの数は、先代の最上位モデル「GeForce RTX 4090」(1万6384基)から約25%しか増えていないものの、先述したTensorコアの改善やAI処理の整理を行う「AIマネジメントプロセッサ」の実装によりピーク時の処理性能が2倍以上に向上している(1321AI TOPS→3352AI TOPS)。
グラフィックスメモリの容量は24GBから32GBに増え、帯域幅も384bitから512bitに拡張された。動画エンコーダー/デコーダーは世代が進化しただけでなく、それぞれ1基ずつ増設された。まさしく、GPUを使う“あらゆること”に対して機能を強化した、現時点で最強のGPUといえる。
しかし、かなりの性能向上には“代償”を伴う。定格の消費電力(TGP)は450Wから575Wとなり、PC全体に求められる推奨電源容量も850Wから1000Wと増えている(※1)。
現在使っているデスクトップPCのアップグレード手段として、GeForce RTX 5090を搭載するグラフィックスカードに載せ替える場合、電源容量が十分か事前に確認が必要となる。
(※1)Ryzen 9 9950X(TDP:170W)を搭載するPCの場合。実際に必要な電源容量はシステム環境によって異なる
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.