AMDの新型デスクトップ向けCPU「Ryzen 9000シリーズ」のうち、ハイエンドモデル(Ryzen 9000Xシリーズ)の上位モデル「Ryzen 9 9900X」「Ryzen 9 9950X」の日本における発売日時が8月23日午前11時に決定した。日本における想定価格は以下の通りだ。
Ryzen 9000Xシリーズの下位モデル(Ryzen 5 9600X/Ryzen 7 9700X)のレビューを先日お伝えしたばかりだが、この記事では上位モデルとなるRyzen 9 9900X/9950Xのレビューをお伝えする。
ベンチマークテストの結果の前に、まずはRyzen 9 9900XとRyzen 9 9950Xについて簡単におさらいしておこう。
両CPUは、COMPUTEX TAIPEI 2024に合わせて発表された。先述の通り、Ryzen 9000Xシリーズとしては上位に相当し、下位モデルの「Ryzen 5 9600X」「Ryzen 7 9700X」と併せて米国では7月31日に発売される予定だった。
しかし、ハイエンドモデルは初期生産分に品質面で不備があったため、在庫の差し替えを行うために発売が延期された。
両CPU共に、CPUコアは最新のZen 5アーキテクチャを採用する。一方で、GPUコアはRDNA 2アーキテクチャベースの「Radeon Graphics」(2コア)で据え置かれているため、特にゲームや映像編集に活用する際はグラフィックスカード(外部GPU)を別途用意することが望ましい。
CPUコアの製造プロセスは、TSMCの 「N4X(4nm)」で、先代の「Ryzen 7000シリーズ」比で微細化が進んだ。今回レビューする両CPUの場合、CPUコアのユニット(CCD:Core Complex Die)は2基構成となる。一方、入出力回りを担うI/Oダイは、先代と同じくTSMCの「N6(6nm)」プロセスで製造される。
今回レビューする2モデルは、先に紹介した下位モデルと比べるとTDP(熱設計電力)が高めの設定となっている。具体的にはRyzen 9 9900Xが120W、Ryzen 9 9950Xが170Wと下位モデルの約1.85〜2.62倍となっている。ただ、Ryzen 9 9900Xについては、先代の「Ryzen 9 7900X」と比べると50Wも引き下げられている。IPC(クロック当たりの命令実行回数)の改善を含めて考えると、消費電力当たりの性能(いわゆる「ワッパ」)は大きく改善しているといえそうだ。
もっとも、下位モデルと比べるとTDPが高いことに変わりはない。別途用意する冷却機構については、水冷を含めて性能の高いものを選ぶ必要がある。
ワッパの改善もあるため、両CPUは先代(Ryzen 9 7900X/Ryzen 9 7950X)からの単純交換だけでも、一定の性能向上(と消費電力の削減)を期待できる(※1)。
(※1)Ryzen 7000/8000Gシリーズ対応のマザーボードを流用する場合、出荷時期によってはUEFI(BIOS)を事前に更新する必要があります
その他、主な仕様は以下の通りだ。
次ページからは、Ryzen 9 9900X/Ryzen 9 9950Xの実力をベンチマークテストを通してチェックしていく。
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