Zen 4アーキテクチャの“実力”は? 「Ryzen 7000シリーズ」の性能を先行チェック!9月30日19時発売(1/5 ページ)

» 2022年09月26日 22時00分 公開
[迎悟ITmedia]

 AMDは9月30日19時から、デスクトップ向けCPU「Ryzen 7000シリーズ」の販売を解禁する。税込みの想定販売価格は以下の通りとなっている。

  • Ryzen 5 7600X:4万9900円
  • Ryzen 7 7700X:6万6800円
  • Ryzen 9 7900X:9万2500円
  • Ryzen 9 7950X:11万7800円

 Ryzen 7000シリーズは、新しい「Zen 4アーキテクチャ」を採用していることはもちろんだが、従来のデスクトップ向けRyzenシリーズと互換性の“ない”CPUソケットを採用したことなど、注目すべきポイントが多い。

 マザーボードやメモリモジュールなどを“総入れ替え”しても購入する価値のあるCPUなのか――今回、日本での発売に先駆けてRyzen 7000シリーズを試用する機会を得たので、その“真価”をチェックしていこうと思う。購入を検討している人の参考になれば幸いだ。

パッケージ 左からRyzen 5 7600X、Ryzen 7 7900X、Ryzen 9 7950Xのパッケージ。従来のRyzenシリーズからデザインが変更されているが、「X」が付く型番のモデルにCPUクーラーが付属しないことに変わりはない
Ryzen 9 Ryzen 9 7900X/7950Xは少し奥行きのあるスペシャルパッケージを採用している。ただし、奥行きがあるからといってRyzen 5/7にはない“おまけ”が入っているわけでもない

Ryzen 7000シリーズの概要を改めてチェック!

 詳しいベンチマークテストを開始する前に、Ryzen 7000シリーズの概要を改めて解説していく。

 AMDによると、新しく採用したZen 4アーキテクチャは「2桁パーセント台のIPC(クロック当たりの処理命令数)向上」「大容量L2キャッシュと効率向上による処理遅延(レイテンシー)の軽減」「動的な電力コントロールによる消費電力抑制」を大きなテーマに据えて開発されたという。先代の「Zen 3アーキテクチャ」と比べると、主に以下の改良が施されている。

  • CPUの最大5.7GHz駆動を実現
    • Zen 3アーキテクチャ比で800MHz向上
  • IPCを最大13%向上
    • クロック向上と合わせて、シングルスレッドパフォーマンスは最大29%向上
  • 1コア当たりのL2キャッシュ容量を倍増(512KB→1MB)
  • RDNA2アーキテクチャのGPUを統合

 Ryzenといえば、デスクトップPCにおける“多コア化”を促すきっかけになったブランドでもある。ただし、全てのアプリがたくさんのコアを操り切れるわけではない。特に、今回の新製品がメインターゲットに据える「ゲーミング」では、シングルコアの性能がモノをいう場面も少なくない。そういう意味では、Zen 4アーキテクチャは着実な機能強化を図っているということである。

Zen 4のゴール Zen 4アーキテクチャの開発目標
Ryzen 9 7950X Zen 3アーキテクチャと比較すると、Zen 4アーキテクチャはIPCが最大13%向上する。そこにCPUの最大動作クロックの向上を掛け合わせることで、シングルコア性能は最大で29%向上するという

L2キャッシュは倍増

 CPUコアは、L3キャッシュと一体化された「CCX(Core Complex)」として実装されている。この構造はZen 2アーキテクチャZen 3アーキテクチャと引き継がれてきたもので、Zen 4アーキテクチャのCCXは、Zen 3アーキテクチャにおける基本設計を踏襲している。

 ただし、Zen 4アーキテクチャではCPUコアのL2キャッシュ容量が1MBに倍増された。また、これに命令キャッシュの拡大や命令エンジンの改良などを組み合わせることで、IPCの向上につなげている。

CPUコアの改良 Zen 4アーキテクチャでは、CPUコアのL2キャッシュ容量を512KBから1MBに拡大している。命令キャッシュの拡大や命令エンジンの改良などを組み合わせることで、IPCの向上につなげている
キャッシュ全体図 CCXには32MBのL3キャッシュが搭載されている。こちらの容量は、デスクトップ向けのZen 3アーキテクチャと変わっていない

AVX-512命令のサポート

 Zen 4アーキテクチャのCPUコアは、AMDとしては初めてIntelが開発した拡張命令セット「AVX-512(Advanced Vector Extension 512)」をサポートしている。

 AVX-512は機械学習/分析アプリ、3Dモデリングアプリ、動画のエンコーダーなど、産業向けアプリを中心に利用例がある。とりわけ演算量が大きくなる場面では処理パフォーマンスの向上を期待できる。

 ただし、この命令セットを開発した当のIntelは、コンシューマー向けCPUにおけるAVX-512のサポートを縮小する傾向にある。言い方を変えると、Zen 4アーキテクチャのCPUはコンシューマー向けにおいて“貴重な”AVX-512対応CPUということになる。常用しているアプリがAVX-512に対応していることが分かっている場合は、かなり“有力な”選択肢となることは間違いない。

AVX-512 Ryzen 7000シリーズは、AMD製CPUとして初めてAVX-512命令に対応する。どちらかというと産業向けアプリ向けの命令セットで一般的なゲームでは使われることはないが、とあるゲーム機エミュレーターでは演算スピードの高速化に使われている

I/OダイにGPUを統合

 Zen 4アーキテクチャでも、CCXは「Infinity Fabric」を通してI/Oダイと接続される。Ryzen 7000シリーズのI/Oダイには最大2基のCCXを連結可能で、主に以下の機能も統合されている。

  • RDNA 2アーキテクチャのGPUコア(詳細は後述)
  • DDR5メモリのコントローラー
    • ECC(エラー訂正機能付き)メモリもサポート
    • 定格では最大DDR4-5200規格をサポート
    • GPUコアのメモリ管理も行う“ユニファイド”コントローラー
    • 新しいオーバークロック技術「AMD EXPO Technology」に対応
  • 最大28レーンのPCI Express 5.0バス
    • x16レーン×1+x4レーン×3(※1)
    • USB 3.2 Gen 2ポート×4
    • USB 2.0ポート×1
  • ディスプレイコントローラー
    • HDMI 2.1/DisplayPort 2.0をサポート

(※1)x4レーンのうち1本は、チップセットとの通信用(残り2本はNVMeストレージとの接続を想定)

I/Oダイ Ryzen 7000シリーズのI/Oダイの概略図。CPU直結のPCI Express 5.0バスは合計28レーン用意されているが、うち4基はチップセットとの通信用となる

 今まで、AMDではGPUを統合したCPUを「APU(Accelerated Processing Unit)」と呼称していた。今回、Ryzen 7000シリーズはI/OダイにRDNA 2アーキテクチャのGPUを統合しているが、APUではなく「CPU」とされている。

 この内蔵GPUの主なスペックは以下の通りだ。

  • 演算ユニット(CU):2基
  • H.264/H.265(HEVC)コーデック:デコードとエンコードに対応
  • AV1コーデック:デコードのみ対応
  • 映像出力:HDMI 2.1/DisplayPort 2.0
    • DisplayPort 2.0はUHBR10(DP40)とAlternate Modeにも対応
    • HDMI 2.1出力は固定レートリンク(FRL)に対応
  • ハイブリッドグラフィックス:対応
GPU 今回登場するRyzen 7000シリーズは「CPU」だが、I/OダイにGPUを統合している
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