ここからは、Ryzen 7000シリーズの実力をベンチマークテストを通して確認していこう。
今回は、以下の通りAMDが提供した「レビューキット」に筆者手持ちの機材を組み合わせてテストを実施した。
参考に、今回は筆者が普段使っているPCにおけるスコアも掲載する。主要なスペックは以下の通りだ。
Ryzen 7000シリーズのテスト環境では、AMD EXPO Technologyを有効化し、メモリモジュールをDDR5-6000規格で動作させている。マザーボードのUEFIで有効化するだけで簡単かつ安全にメモリのオーバークロックを行える。
つまり今回のテストでは、Ryzen 7000シリーズの現時点における“本気”をテストできる環境だと思って良いだろう。
まず、3Dレンダリングを通してCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行してみた。結果は以下の通りだ。
最近なら「Ryzenはマルチコアのスコアで勝り、第12世代Coreプロセッサはシングルコアスコアで勝る」という感じのイメージだったが、Ryzen 7000シリーズはシングルコアのスコアも着実に改善している。今回のラインアップにおいてエントリークラスであるRyzen 5 7600Xでも、シングルコアスコアならCore i7-12700Fに勝っている。
先述の通り、ゲーミングではCPUのマルチコアを生かしきれないケースも少なくない。そういう意味では、Ryzen 7000シリーズは(現状の)エントリークラスでも良好なゲーミング環境を実現できそうである。
もちろん、Ryzen 7000シリーズはマルチスレッドも改善している。写真/動画編集など、マルチコア性能がモノをいう場面でも活躍しそうである。
続いて、PCの総合的な性能をチェックできる「PCMark 10」の結果を見ていこう。総合スコアは以下の通りとなった。
PCMark 10ではブラウジングやOfficeスイートの操作、簡単な画像編集といった標準的なPCの操作におけるパフォーマンスをチェックしている。内容を考えると、今回のテスト環境では「お茶の子さいさい」なテストといえなくもない。
ただ、テストのスコアをよく見てみるとRyzen 5 7600XはCore i7-12700Fを上回っている。Ryzen 7000シリーズの地力の高さが伝わるはずだ。
Ryzen 7000シリーズは、発表時にも「ゲーマーに最速のCPUコアを」とうたっていた。そう言われると、ゲーミング性能の大幅な向上に期待を寄せている人も多いだろう。
そこで今度は「3DMark」を用い、3Dグラフィックスの描画パフォーマンスを確認を行った。今回はDirectX 12ベースの「Time Spy」「Time Spy Extreme」「Night Raid」と、DirectX 11ベースの「Fire Strike」「Fire Strike Extreme」「Fire Strike Ultra」でテストを行った。スコアは以下の通りだ。
スコアを見比べると、DirectX 12ベースの負荷が重めのテスト(Time Spyシリーズ)ではRyzen 5 7600XのスコアはCore i7-12700Fに負けている。一方で、それ以外のテストではRyzen 5 7600XがCore i7-12700Fに勝っている。
アーキテクチャ的に古めのゲームをプレイする場合は、シングルコア性能の高いRyzen 7000シリーズは良い選択肢となりそうである。特に想定価格が5万円を切るRyzen 5 7600Xは、(マザーボードやメモリモジュールの価格次第だが)コストパフォーマンスに優れたゲーミングPC作りに役立ちそうだ。
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