AMDは5月23日(台湾時間)、デスクトップPC向け新型CPU「Ryzen 7000シリーズ」の概要を発表した。同CPUは、対応するチップセットを備えるマザーボードと共に2022年秋に発売される予定となっている。
COMPUTEX TAIPEI 2022の基調講演
Ryzen 7000シリーズは、5nmプロセスの「Zen 4アーキテクチャ」に基づくCPUコアを搭載している。プロセスルール以外における「Ryzen 5000シリーズ(Zen 3アーキテクチャ)」からの主な変更点は以下の通りとなる。
- CPUコアについて
- CPUコアのチップレットは最大2基
- CPUのL2キャッシュ容量は1コア当たり1MBに(従来比で2倍)
- CPUのシングルスレッドの処理パフォーマンスを15%以上向上(※1)
- CPUコアの最高クロックを5GHz超に引き上げ
- 機械学習ベースのAI(人工知能)処理を高速化する命令を追加(詳細不明)
- I/Oダイについて
- RDNA 2アーキテクチャのGPUを統合
- 映像出力を最大4系統まで搭載可能(DisplayPort 2.0とHDMI 2.1をサポート)
- DDR5メモリをサポート
- USB 3.2 Gen 2x2ポートを最大14基搭載可能
- PCI Express 5.0バスを最大24レーン搭載可能
- Wi-Fi 6/6E(IEEE 802.11ax規格の無線LAN)とBluetooth 5.2を搭載可能
(※1)IPC(クロック当たりの処理命令数)ベースでの比較
Zen 4アーキテクチャのデスクトップPC向けCPU(Ryzen 7000シリーズ)の特徴
CPUチップは最大2基のCPUダイと1基のI/Oダイから構成されるようだが、その“中身”に関する詳細は明らかとなっていない
入出力回りも強化している
CPUのパッケージは1718ピンのLGA(LGA1718)で、ZenアーキテクチャからZen 3アーキテクチャまで採用されてきた1331ピンのPGA(PGA1331)との互換性がなくなった。これに伴い、マザーボード側のCPUスロットは「Socket AM4」から「Socket AM5」に変更される。
Socket AM5の主な特徴は以下の通りだ。
- 170Wの最大消費電力をネイティブサポート
- DDR5メモリとPCI Express 5.0バスに対応
- Socket AM4用のクーラーを装着できるような物理的配慮を実施
Socket AM5の特徴。マザーボード側にピンを備えるLGAパッケージとなり、ピン数も増えた。しかし、従来のSocket AM4用のクーラーを装着できる物理的な配慮を行っているという
Socket AM5に対応するチップセットとして「AMD 600シリーズ」も登場する。今回発表されたラインアップは以下の通りだが、詳細な仕様は分かっていない。
- AMD X670E(「E」はExtremeの意)
- 「並ぶものなき機能」を備えるチップセット
- 「究極のオーバークロック」に対応
- PCI Express 5.0バスをフル活用可能
- AMD X670
- 「エンスージアスト向けのオーバークロック」に対応(X670Eから機能を削減)
- PCI Express 5.0接続のストレージとGPUを接続可能(GPU用バスはオプション)
- AMD B650
- メインストリームモデル向けの手頃なチップセット
- PCI Express 5.0接続のストレージを接続可能
これらのチップセットを搭載するマザーボードはパートナー企業を通して発売される。また、PCI Express 5.0接続のSSDを普及させるべく、関連ベンダーとも協力するという。
PCI Express 5.0接続のSSDを普及させるべくパートナー企業とも協力するという
主要なマザーボードメーカーから発売される予定のAMD X670E搭載マザーボード
発表に合わせて、AMDはRyzen 7000シリーズの試作品(16コアであること以外の詳細は不明)の動作デモンストレーションを披露した。
この試作CPUで「GHOSTWIRE: Tokyo」を動かした所、5.5GHzを超える稼働クロックを記録したという。また、このCPUとIntelのCore i9-12900K(Pコア8基16スレッド+Eコア8コア8スレッド)の性能を比較する「Blender」のタイムラプスデモでは、試作CPUの方が最大31%高速に処理を終えることができたとのことだ。
ただし、繰り返しだが試作CPUは16コア構成であること以外の詳細が分からないため、純粋な比較はできない。1日も早く製品の詳細を知りたい所である。
AMDが試作したCPUでGHOSTWIRE: Tokyoを動かした所、5520.3MHz(約5.5GHz)で連続稼働したという。最大消費電力が170Wに設定された効果であると思われる
Blenderでタイムラプスを描画すると、Core i7-12900K比で最大31%高速だという。ただ、試作CPUの構成がよく分からないので、単純比較しづらい
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