最大5.7GHz駆動で競合を打破――AMDが「Ryzen 7000シリーズ」を正式発表 米国では9月27日発売まずはハイエンド製品から

» 2022年08月30日 10時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 AMDは8月29日(米国太平洋夏時間)、デスクトップPC向け新型CPU「Ryzen 7000シリーズ」のハイエンド製品を発表した。米国では9月27日に発売される予定で、想定販売価格は299ドル(約4万1500円)から699ドル(9万6900円)となる。

【更新:16時30分】今回発表された製品について、AMD公式サイトでは内蔵GPUを「省いている」「搭載している」どちらとも取れる記載が行われていることが判明しました。現在正確な情報をAMDに問い合わせており、その回答が得られ次第、記事本文を修正致しますのでご了承ください
【訂正:8月31日9時50分】初出時、内蔵GPUは「搭載していない」としていましたが、実際は搭載していることが確認できましたので記事を訂正しました

リサ・スーCEO Ryzen 7000シリーズを発表するリサ・スーCEO

Ryzen 7000シリーズの概要

 Ryzen 7000シリーズは、5nmプロセスで製造される新しい「Zen 4アーキテクチャ」を採用したCPUで、先代の「Zen 3アーキテクチャ」からIPC(クロック当たりの処理命令数)を平均で13%向上した他、最大で5.7GHz駆動をサポートしたことでシングルスレッド性能を最大29%向上したことが特徴だ。Intelが開発した機械学習用命令「AVX-512」もサポートしている。

比較 先代の最上位製品「Ryzen 9 5950X」と、Ryzen 7000シリーズの最上位製品「Ryzen 9 7950X」と比べると、ゲーミングもクリエイターの作業もパフォーマンス改善が望めるという
比較 両CPUを4GHz駆動で固定した際のパフォーマンス比較。差がほとんどないアプリもあるが、40%近く高速化するアプリもある。先述の「平均13%のIPC向上」は、同社が行った22個のテストにおけるパフォーマンス向上率を相乗(幾何)平均した値である
向上を図示 この相乗平均したパフォーマンス向上の「貢献度」を図示したもの。フロントエンドの改善が一番効果を示したようで、命令の呼び出し/保存、分岐予測の改善も大きいようである
結果 結果的に、両CPUを同じパフォーマンスを発揮するように設定すると消費電力は最大62%削減され、同じ消費電力で稼働するように設定すると最大で49%のパフォーマンス向上を図れるという

 競合であるIntelのデスクトップ向け第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake-S)と比べると、CPUコアとL3キャッシュの合計面積は約半分で、電力効率は最大で47%向上するという。

 「実性能はどうか?」という点では、アプリのCPUへの最適化具合に依存する部分はある。しかし、第12世代Coreプロセッサの最上位製品である「Core i9-12900K」(Pコア8基16スレッド/3.2GHz〜5.2GHz+Eコア8基8スレッド/2.4GHz〜3.9GHz)と今回発表された中で最上位となる「Ryzen 9 7950X」を比較したAMD社内のテストでは、ゲーミングではほぼ同等かそれ以上、クリエイター向けアプリのパフォーマンスでは大きく上回る結果となったようである。

 1コアのパフォーマンスだけを比べれば、今回発表された製品の中でエントリークラスとなる「Ryzen 5 7600X」でもCore i9-12900Kを上回る性能を発揮したそうだ。ゲームアプリではCPUの全コアを使い切らず、場合によっては1コアのみを使って演算をすることもある。そういう意味で「ゲーミングに最適なCPU」(リサ・スーCEO)となっている。

比較 Ryzen 9 7950XとCore i9-12900Kのパフォーマンスを比較した図。ゲームではアプリの最適化具合がモノをいいそうな雰囲気もあるが、クリエイター向けアプリのテストではいずれも競合を“ぶっちぎっている”
比較 V-Rayのタイムラプスレンダリングでは特に“ぶっちぎり”度が高い様子が伺える
エントリーでも強い Ryzen 7000シリーズのハイエンドモデルは、その中でエントリーと位置付けられるRyzen 5 7600Xであっても、シングルコア性能なら第12世代Coreプロセッサの最上位製品に“勝てる”ということをアピール
いい勝負 CPUの全コアを使い切らない傾向にあるゲームアプリであれば、Ryzen 5 7600XでもCore i9-12900Kに勝ちうることも強調

Ryzen 7000シリーズのラインアップ

 冒頭で触れた通り、今回発表されたのはRyzen 7000シリーズのハイエンド製品で、型番に「X」が付いているものだ。従来、AMDのハイエンドCPUには内蔵GPUが搭載されていなかったが、今回発表されたモデルには「Radeon Graphics」が内蔵されている。ただし、必要最小限の仕様となっているため、本来の想定用途で利用する場合にはグラフィックスカードの増設が推奨される。

 ラインアップと主なスペックは以下の通り。

  • Ryzen 5 7600X:299ドル(約4万1500円)
    • CPUコア/スレッド:6コア12スレッド
    • クロック:4.7GHz〜5.3GHz
    • L2+L3キャッシュ容量:38MB
    • TDP:105W
  • Ryzen 7 7700X:399ドル(約5万5300円)
    • CPUコア/スレッド:8コア16スレッド
    • クロック:4.5GHz〜5.4GHz
    • L2+L3キャッシュ容量:40MB
    • TDP:105W
  • Ryzen 9 7900X:549ドル(約7万6000円)
    • CPUコア/スレッド:12コア24スレッド
    • クロック:4.7GHz〜5.6GHz
    • L2+L3キャッシュ容量:76MB
    • TDP:170W
  • Ryzen 9 7950X:699ドル(9万6900円)
    • CPUコア/スレッド:16コア32スレッド
    • クロック:4.5GHz〜5.7GHz
    • L2+L3キャッシュ容量:80MB
    • TDP:170W
ラインアップ 今回のラインアップ。いずれも型番に「X」の付くハイエンド製品である

チップセットは4種類

 Ryzen 7000シリーズは、CPUソケットがLGAタイプの「Socket AM5」に一新される。そのため、従来のRyzenシリーズとは物理的な互換性を持たない。ただし、CPUクーラーは従来のRyzenシリーズで使われていた「Socket AM4」のものを流用できるように配慮がなされているという。

 同CPUをサポートするチップセットは、ハイエンド向けには「AMD X670E」「AMD X670」の2種類、メインストリーム向けには「AMD B650E」「AMD B650」の2種類が登場する。X670シリーズを搭載するマザーボードはCPUと同時に、B650シリーズを搭載するマザーボードは10月に発売される。

 「E」は「Extreme」の略で、Eの付かない製品と比べるとPCI Express 5.0バス回りの仕様が強化されている。各チップセットにおけるPCI Express 5.0バスの仕様は以下の通りで、少なくともPCI Express 5.0接続のSSDには対応できる仕様となっている(実際に対応するかどうかはマザーボード次第)。

  • X670E:グラフィックスカードとSSDの両方で利用可能
  • X670:SSDで利用可能(グラフィックスカードはオプション対応)
  • B650E:SSDで利用可能(グラフィックスカードはオプション対応)
  • B650:なし(SSDはオプション対応)
チップセット チップセットは4種類を用意している。これらのうち、AMD B650Eは今回の発表で初めて存在が公表されたものである
PCIe 5.0 PCI Express 5.0対応のSSDは11月から順次登場するという

 いずれのチップセットも、新しいオーバークロック技術「AMD EXPO Technology」(EXPOは「Extended Profiles for Overclocking」の略)に対応している。同テクノロジーに対応したプロファイルを持つDDR5メモリを組み合わせると、ワンクリックでオーバークロック(最大DDR5-6400相当)で駆動できるようになる。

 プロファイルをプリセットしたメモリモジュールは、主要なゲーミングメモリメーカーから順次投入されるそうだ。

EXPO ワンクリックでメモリのオーバークロックを行える「AMD EXPO Technology」をサポートしている。ADATA、CORSAIR、GeiL、G.SKILLとKingstonからプロファイルをプリセットしたDDR5メモリが登場する予定だ

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