AMDは6月9日(米国太平洋夏時間)、投資アナリストを対象とするイベント「Financial Analyst Day 2022」を開催した。このイベントでは、同社のCPUやGPUのロードマップに関する情報も公開された。この記事では、コンシューマー(個人ユーザー)にも関連しそうな情報をかいつまんでお伝えする。
AMDは2022年後半に、新型デスクトップCPU「Ryzen 7000シリーズ」のリリースを予定している。このCPUは5nmプロセスの「Zen 4アーキテクチャ」を採用しており、7nmプロセスの「Zen 3アーキテクチャ」と比べるとクロックあたりの処理命令数を8〜10%、シングルコアの処理パフォーマンスを15%以上向上するという。
今回のイベントでは、Zen 4アーキテクチャのCPUコアがIntelが機械学習用に用意した拡張命令「Advanced Vector Extension 512(AVX-512)」に対応することが判明した。
「16コア32スレッド」同士でZen 3アーキテクチャのCPUと「CINEBENCH R23」のスコアを比べた場合、消費電力あたりのパフォーマンスが25%超、全体的なパフォーマンスが35%超向上したとのデータも合わせて示された。
AMDでは、現行のZen 3アーキテクチャにおいて積層型キャッシュメモリ「3D V-Cache」を搭載してパワーアップしたCPUをリリースしたり、プロセスをわずかに微細化することで消費電力をより抑制したAPU(GPU統合型CPU)を投入したりしている。
今回の説明によると、Zen 4アーキテクチャはもちろん、その先の「Zen 5アーキテクチャ」(後述)でも、3D V-Cacheやプロセスの微細化によるバリエーションモデルを投入する計画のようだ。またサーバ向けCPU「EPYC」については、スケーラビリティを高めた派生アーキテクチャ「Zen 4cアーキテクチャ」「Zen 5cアーキテクチャ」を投入するという。
モバイル(ノートPC)向けAPUの次世代製品「Phoenix Point(開発コード名)」では、4nmプロセス化したZen 4アーキテクチャのCPUコアを採用する予定となっている。Phoenix Pointは「RDNA 3アーキテクチャ」のGPUコアも統合するとのことだ。さらに次世代の製品「Strix Point(開発コード名)」では“先進のノード”を採用したZen 5アーキテクチャのCPUコアと、RDNA 3アーキテクチャを改良した「RDNA 3+アーキテクチャ」のGPUコアを統合する見通しだという。
デスクトップ向けのCPU/APUでは、Ryzen 7000シリーズから派生する形で3D V-Cacheを搭載した製品と、ワークステーション/HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けの「Ryzen Threadripper」の準備を進めているようだ。モバイル向けと同様に“先進のノード”を採用したZen 5アーキテクチャの「Granite Ridge(開発コード名)」も準備が進んでいる。
Zen 4アーキテクチャの次世代に相当する「Zen 5アーキテクチャ」のCPUコアも、2024年内には登場する予定だという。作業に応じたスケーラビリティーを強化するようで、以下の特徴を備えているという。
CPUコアのロードマップによると、Zen 5アーキテクチャは「4nmプロセスと3nmプロセス」を採用するという。しかし、先述の通り、採用予定の製品の説明では“先進のノード”と少し曖昧な言い方となっている。採用するプロセスは、製品を投入するタイミングにおけるファウンドリー(生産委託先の半導体工場)の状況によって変わるのだろうか……?
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