大手PCメーカーの決算説明に見るWindows 11の現状とAI PCの行方Windowsフロントライン

» 2025年12月03日 12時00分 公開

 Windows 10は10月14日でサポート終了となったが、今回は一部で発言が話題となっていた米Dellの2026年度第3四半期(2025年8〜10月期)決算を紹介する。

 同社の決算は昨今のPC業界事情をよく反映した内容となっており、かつEOS(End Of Service)を迎えたWindows 10/Windows 11の現状と今後の見通しについての話題が含まれていたからだ。

企業のIT投資が業績を支える

 決算の概略をまとめると、同四半期の売上は270億ドルで前年同期比11%増、非GAAPベースの純利益についても約18億ドルで11%の増加となっている。

 業績を事業別に見ると、データセンター向けなどの製品を扱うISG(Infrastructure Solutions Group)部門は売上が前年同期比で24%の増加と好調で、特に同四半期だけで123億ドルの受注があったAIサーバが業績をけん引しており、3四半期の通算では300億ドルに達するという。大規模顧客によるAIサーバへの投資が、引き続き需要を引っ張っている構図だ。

 同時に、PCクライアントを取り扱うCSG(Client Solutions Group)についても、法人(Commercial)向けでの旺盛な需要によって成長が支えられている。法人向けの売上は106億ドルと前年同期比で5%増と、これは5四半期連続の成長となる。

 一方で個人(Consumer)向けは19億ドルで7%の減少となっており、CSG全体では3%の増加にとどまる。だが決算会見で説明を行った米Dell Technologies副会長兼COOのジェフリー・クリーク(Jeffrey Clarke)氏によれば、個人向けと教育向けの分野ではやや厳しい状況が続く反面、法人向けは非常に堅調で、PCの更新サイクルが続き、いまだWindows 11にアップグレードしていないPCが存在していることからも、非常に楽観的だと結論付けている。

米Dellの2026年度第3四半期(2025年8-10月期)決算における事業別の業績 米Dellの2026年度第3四半期(2025年8-10月期)決算における事業別の業績

 まとめると、AIサーバへの投資と法人向けPCが堅調で同社の成長を支えているという、企業のIT投資が旺盛なことがビジネスの柱になっている状況だ。おおよそ昨今のPC市場のトレンドをそのまま反映した決算内容といえる。

Windows 11への移行は(前世代に比べても)遅れている

 ここからが本題だが、クリーク氏が「楽観的」な見通しを示した2026年以降のPC市場の概況と更新サイクルについて、同四半期決算のカンファレンスコールで米Morgan Stanleyのアナリストである、エリック・ウッドリング(Erik Woodring)氏が質問した内容のクリーク氏の回答が興味深いので引用する。

A couple of things. One, we have not completed the Windows 11 transition. In fact, if you were to look at it relative to the previous OS end-of-service, We are 10, 12 points behind at that point with Windows 11 than we were the previous generation. So we still have ample opportunity to convert.

If memory serves me right, the installed base is roughly $1.5 billion -- 1.5 billion units. We have about 500 million of them capable of running

Windows 11 that haven't been upgraded. And we have another 500 million that are four years old that can't run Windows 11. Those are all rich

opportunities to upgrade towards Windows 11 and modern technology.

Equally important, AI PCs, small language models, more capable applications, improvements in operating systems and their capabilities in the

embedded AI there, the use of an MPU, The capability of the NPU and future PCs gives me the view that the PC market will continue to flourish

going forward.

Now let's define flourish. We have the PC market in our outlook roughly flat year over year. That's after a year that we grew mid- to high-single

digits. I think it's flat as we look into next year's planning horizon and we're building plans accordingly that would take share against that outlook.

 要約すると、以前のOS(Windows 10)時代に経験したEOSの状況と比較して、Windows 11への移行は10〜12%ほど遅れており、これがそのままビジネスチャンスになると同氏は考えているという。

 全世界で稼働しているおよそ15億台のPCのうち、約5億台がWindows 11にアップグレード可能なハードウェアながらも現時点でアップグレードが行われておらず、別の5億台は4年以上前のPCでWindows 11でアップグレード対象ではない。

 つまり、最終的にこの5億台以上が潜在的な買い換え需要のターゲットになり得るというのが同氏の意見だ。ただし、AI PCに対する期待はあるものの、2026年のPC市場は横ばいにとどまり、2027年に1桁台半ばから後半の数字を示す可能性を示唆している。

StatCounterにおける、グローバルでのWindows別のシェア推移(2024年10月〜2025年11月まで) StatCounterにおける、ワールドワイドでのWindows別のシェア推移(2024年10月〜2025年11月まで)。Windows 11がWindows 10を上回っているものの、Windows 10の割合は42%を超えている

 別のアナリストとのやり取りになるが、同氏はDRAMやNANDの価格上昇がBOM(Bill Of Materials)の引き上げやPC市場に与えるインパクトをリスクファクターとして挙げている。

 これはサプライヤー側が(データセンターでの)AI需要を当て込み、高性能で利益率の高い商品の生産にターゲットを絞り始めたことが主因と考えられ、結果としてPC市場がそのあおりを受けた格好だ。これが結果として個人ならびに企業のPC更新サイクルを長引かせる可能性にもつながっており、「2026年は横ばい」という話の根拠になっていると思われる。

 ただ、NPUを搭載したAI PCや、その上で動作するLLM/SLMの発展とAgentic AI、そしてOS自体の進化により、将来的にPC市場が再び活性化することに期待しているというのは、同氏の発言にある通りだ。

 つまり将来的にAI PCが普及し、市場に認知されるようになるものの、まだしばらく時間がかかるというのが同氏の見解だといえる。

StatCounterにおける、日本でのWindows別のシェア推移(2024年10月〜2025年11月まで) StatCounterにおける、日本でのWindows別のシェア推移(2024年10月〜2025年11月まで)。こちらはグローバルに比べてWindows 11への移行が進んでいるが、それでも30%台と高い数値になっている

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