「Windows 11 バージョン 26H1」がターゲットとする2つのArmプロセッサとはWindowsフロントライン

» 2025年11月11日 06時00分 公開

 PC USERでの既報の通り、Microsoftは11月7日(米国時間)にWindows Insider ProgramのCanaryチャネルにおいて「Windows 11 バージョン 26H1(Build 28000)」の配信を開始した。

 レポートでも触れられているように、このビルドは「26H1」のバージョンが付与されている一方で、既存の最新バージョンである「25H2」の置き換えを意図したものではなく、新機能の追加も行われない。

 他方で、プラットフォーム自体は従来の「24H2」「25H2」のOSコアから変更が行われており、「only includes platform changes to support specific silicon」ということで“特定のプロセッサ”への対応を意図したアップデートであることが強調されている。

Windows Insider Programのブログのエントリー

2026年前半登場の新プロセッサをターゲットとしたOS

 前回のレポートでも触れたが、24H2/25H2の世代でベースとなっていた「Germanium(ゲルマニウム)」のOSコアから、26H1では「Bromine(臭素)」という新しいOSコアに世代が入れ替わる。

 日本語名称の略称にやや難があるため、ここでは「BRリリース」という名称を用いるが、「Build 27xxx」の大台で作業されていたBRリリースのビルドは、間もなくDevチャネルやBetaチャネルへと配信されることになるとみられ、こちらでいくつかの作業を経てRelease Previewへと到達する。

 ただし、今回は新機能追加などが行われないと宣言されているため、このステップを一気に飛ばしてRelease Previewまたはそれに近い状態にまで到達する可能性もある。

 今回、Canaryチャネルに配信されたビルド番号はBuild 28000で、結果としてBuild 27xxxの世代はDevチャネル以下に配信されることなく、以後はBuild 28xxxの大台がBRリリースとして各チャネルで作業されることになるとみられる。

 このあたりの情報は、数日中にアップデートされることになるだろう。ただ、ここで重要なのは26H1がどの「特定プロセッサ」をターゲットとしているかという点で、そのあたりを想像することで2026年のWindows PCの姿が見えてくる。

 前回のレポートでは、このターゲットとなっているのはQualcommの「Snapdragon X2 Elite(Extreme)」だという話を紹介したが、もう1つ話題に上っているのがNVIDIAの「N1X」プロセッサだ。

 Tom's Hardwareなどが言及しているが、既に2026年初頭登場見込みのプロセッサを発表しているQualcommに対し、NVIDIAでは公式にはN1Xを公表していない。

 ただノートPCや小型PCをターゲットとしたArmベースのプロセッサを開発していることに触れたのみで、現在出ているN1Xに関する情報は前述のTom's Hardwareの記事でも触れられている「ベンチマーク情報の出現によるリーク」という点に留まる。

 少なくともこういった情報は今夏から出回っているため、2025年内ないしは2026年初頭には何らかの正式発表が行われ、製品が市場投入されるという点では多くの意見が一致している。

 もともと、QualcommとMicrosoftの間にはArmプロセッサ供給に関する独占契約が存在するとされており、長らくMicrosoft製スマートフォンやPCにはArmプロセッサとしてQualcommのSnapdragonのみが搭載されてきた。

 同社が2012年にWindows 8と共にWindows RTと「Surface RT」を市場投入したとき、採用されたのはNVIDIAのTegraだったが、この製品は商業的には失敗に終わっており、NVIDIAをCPU供給メーカーとしての立場からいったん後退させることになった。

 QualcommとMicrosoftの間の独占契約は2014年にスタートし、2024年いっぱいで終了したと言われている。実際、2024年にはスマートフォン向けSoCを提供するMediaTekなどが同件に触れてPC市場への参入を模索するコメントが出ており、Armプロセッサをラインアップに持つ半導体各社から、2025年には搭載PCが登場するという見方もあった。

日本マイクロソフトが2013年に国内販売したWindows RTタブレット「Surface RT」 日本マイクロソフトが2013年に国内販売したWindows RTタブレット「Surface RT」

 だが実際のところ、本稿執筆の2025年時点でWindows on Armの世界でSoC供給を行っているのはQualcommのみで、市場そのものもIntelやAMDなどのx86プロセッサを掲げる勢力に大きく引き離されているのが現状だ。

 もし2026年初頭にリリースされるといわれる26H1が、Snapdragon X2 Elite(Extreme)のみならず、NVIDIAのN1Xもサポートするようになるのであれば、Windows界においては大きな動きといえるかもしれない。

Snapdragon X2 Eliteのスペック(Snapdragon Summit 2025での発表より) Snapdragon X2 Eliteのスペック(Snapdragon Summit 2025での発表より)

 おそらくは、この2026年のWindows on Armに対する市場の反応を鑑み、長らく足踏みしていたArm SoCを擁する半導体各社もまた、製品投入計画を練ってくるのだろう。同年はAppleが低価格MacBookを市場投入してChromebookが強みとしている市場を狙うというウワサも出ているが、Windowsにおいても製品バリエーションが増えることで市場競争力が強化され、これまでライバルに苦戦していた市場への新たな道が開けるかもしれない。

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