AMDは1月4日(米国太平洋時間)、新型のAPU(GPU統合型CPU)「Ryzen 6000 Series Mobile Processor(モバイル向けRyzen 6000シリーズ)」を発表した。搭載製品は2月から順次発売される予定だ。
【更新:11時15分】AMDがAPUの製品情報を更新したことに伴い、一部に追記と修正を実施しました
モバイル向けRyzen 6000シリーズは、6nmプロセスで作られた「Zen 3+アーキテクチャ」のCPUコアと、「RDNA 2アーキテクチャ」のGPUコアを統合したAPUで、「業界初のリアルタイムレイトレーシング(RT)に対応するGPU統合型CPU」でもある。
CPU部分は最大で8コア16スレッド構成で、ブースト(最大)クロックが5GHzに到達した。GPU部分のアーキテクチャ刷新もあり、従来の「Ryzen 5000シリーズ」のAPUと比べると処理パフォーマンスは最大で1.3倍、グラフィックスパフォーマンスは最大で2倍に向上したという。電力管理にも改善を加え、最長24時間のバッテリー駆動も実現したようだ。
RDNA2アーキテクチャのGPUコアは、先述の通りハードウェアベースでのRT処理に対応している。演算ユニット(CU)は6基または12基を搭載し、最大2.4GHzで稼働する(稼働クロックはモデルによって異なる)。
さらに、Microsoftが開発したセキュリティプロセッサ「Microsoft Pluton」も統合している。これにより、APU単体のセキュリティも強化されている。
従来のAPUは、競合のIntel製CPUと比べると外部接続に用いるバスやポートの規格が古いことが課題の1つだった。それに対して、モバイル向けRyzen 6000シリーズではUSB4やPCI Express 4.0に対応した。メインメモリも、より高速なDDR5規格やLPDDR5規格に移行している。
今回発表されたのは、薄型ノートPC向けの「Uプロセッサ」、ゲーミング/クリエイター向けノートPC向けの「Hプロセッサ」、Hプロセッサの省電力版「HSプロセッサ」、アンロック(オーバークロック)対応の「HXプロセッサ」で、企業向けの管理/セキュリティ機能を強化した「PROプロセッサ」も用意されている。
なお、以下に紹介するモデルとは別に、Lenovoへの独占供給モデルとして「Ryzen 7 PRO 6860Z」も登場する。このAPUは「ThinkPad Z13」への搭載が決まっている。
UプロセッサのTDP(熱設計電力)は15〜28Wの範囲内で調整できる。統合しているGPUはRyzen 5が「Radeon 660M」(CU6基)、Ryzen 7が「Radeon 680M(CU12基)となる。キャッシュ容量はL2とL3の合算値を掲載する(以下同)。
Hプロセッサ系統のTDPは、Hプロセッサが45W、HSプロセッサが35W、HXプロセッサが45W+(※1)だ。統合しているGPUは、Ryzen 5がRadeon 660M、Ryzen 7/9がRadeon 680Mとなる。
(※1)「+」は、状況によって45Wを超えるTDPとなる場合があることを示している
今回、前世代のモバイルRyzen 5000シリーズのUプロセッサにも新モデルが登場する。TDPはいずれも15Wとなる。
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