AMDがモバイル向け「Ryzen 6000シリーズ」APUを発表 外部GPUなしでRTを実現CES 2022

» 2022年01月05日 02時15分 公開
[井上翔ITmedia]

 AMDは1月4日(米国太平洋時間)、新型のAPU(GPU統合型CPU)「Ryzen 6000 Series Mobile Processor(モバイル向けRyzen 6000シリーズ)」を発表した。搭載製品は2月から順次発売される予定だ。

【更新:11時15分】AMDがAPUの製品情報を更新したことに伴い、一部に追記と修正を実施しました

スーCEO モバイル向けRyzen 6000シリーズのチップを手にするリサ・スーCEO

モバイル向けRyzen 6000シリーズの概要

 モバイル向けRyzen 6000シリーズは、6nmプロセスで作られた「Zen 3+アーキテクチャ」のCPUコアと、「RDNA 2アーキテクチャ」のGPUコアを統合したAPUで、「業界初のリアルタイムレイトレーシング(RT)に対応するGPU統合型CPU」でもある。

主な特徴 モバイル向けRyzen 6000シリーズの主な特徴

 CPU部分は最大で8コア16スレッド構成で、ブースト(最大)クロックが5GHzに到達した。GPU部分のアーキテクチャ刷新もあり、従来の「Ryzen 5000シリーズ」のAPUと比べると処理パフォーマンスは最大で1.3倍、グラフィックスパフォーマンスは最大で2倍に向上したという。電力管理にも改善を加え、最長24時間のバッテリー駆動も実現したようだ。

 RDNA2アーキテクチャのGPUコアは、先述の通りハードウェアベースでのRT処理に対応している。演算ユニット(CU)は6基または12基を搭載し、最大2.4GHzで稼働する(稼働クロックはモデルによって異なる)。

 さらに、Microsoftが開発したセキュリティプロセッサ「Microsoft Pluton」も統合している。これにより、APU単体のセキュリティも強化されている。

CPU 前世代の同等製品と比べると、シングルスレッド、マルチスレッドいずれの演算性能も向上している。もちろん、全体的なパフォーマンスも改善しているという
GPU GPUコアは「RDNA 2アーキテクチャ」に移行。アーキテクチャ的には一気に2世代進化することになる
GPUパフォーマンス GPUアーキテクチャの変更により、Intel Iris Xe Graphicsはもちろん、NVIDIAのGeForce MX450よりも高いグラフィックスパフォーマンスを発揮するようになった。そこそこ快適にAPU単体でのゲーミングをこなせるようだ
FSR AMDの超解像技術「AMD FidelityFX Super Resolution(FSR)」を併用することで、AAAタイトルでも60fps以上のフレームレートで楽しめる可能性が出てきた

 従来のAPUは、競合のIntel製CPUと比べると外部接続に用いるバスやポートの規格が古いことが課題の1つだった。それに対して、モバイル向けRyzen 6000シリーズではUSB4やPCI Express 4.0に対応した。メインメモリも、より高速なDDR5規格やLPDDR5規格に移行している。

一気にモダンに 外部接続に用いるバスやポートが一気に近代化している

モバイル向けRyzen 6000シリーズのラインアップ

 今回発表されたのは、薄型ノートPC向けの「Uプロセッサ」、ゲーミング/クリエイター向けノートPC向けの「Hプロセッサ」、Hプロセッサの省電力版「HSプロセッサ」、アンロック(オーバークロック)対応の「HXプロセッサ」で、企業向けの管理/セキュリティ機能を強化した「PROプロセッサ」も用意されている。

 なお、以下に紹介するモデルとは別に、Lenovoへの独占供給モデルとして「Ryzen 7 PRO 6860Z」も登場する。このAPUは「ThinkPad Z13」への搭載が決まっている。

Uプロセッサ

 UプロセッサのTDP(熱設計電力)は15〜28Wの範囲内で調整できる。統合しているGPUはRyzen 5が「Radeon 660M」(CU6基)、Ryzen 7が「Radeon 680M(CU12基)となる。キャッシュ容量はL2とL3の合算値を掲載する(以下同)。

  • Ryzen 5 6600U(2.9GHz〜4.5GHz、6コア12スレッド、19MBキャッシュ)
  • Ryzen 5 PRO 6650U(同上)
  • Ryzen 7 6800U(2.7GHz〜4.7GHz、8コア16スレッド、20MBキャッシュ)
  • Ryzen 7 PRO 6850U(同上)

Hプロセッサ/HSプロセッサ/HXプロセッサ

 Hプロセッサ系統のTDPは、Hプロセッサが45W、HSプロセッサが35W、HXプロセッサが45W+(※1)だ。統合しているGPUは、Ryzen 5がRadeon 660M、Ryzen 7/9がRadeon 680Mとなる。

  • Ryzen 5 6600H(3.3GHz〜4.5GHz、6コア12スレッド、19MBキャッシュ)
  • Ryzen 5 6600HS(3.3GHz〜4.5GHz、6コア12スレッド、19MBキャッシュ)
  • Ryzen 5 PRO 6650HS(同上)
  • Ryzen 7 6800H(3.2GHz〜4.7GHz、8コア16スレッド、20MBキャッシュ)
  • Ryzen 7 PRO 6850H(同上)
  • Ryzen 7 6800HS(同上)
  • Ryzen 7 PRO 6850HS(同上)
  • Ryzen 9 PRO 6950H(3.3GHz〜4.9GHz、8コア16スレッド、20MBキャッシュ)
  • Ryzen 9 6900HS(同上)
  • Ryzen 9 PRO 6950HS(同上)
  • Ryzen 9 6900HX(同上)
  • Ryzen 9 6980HS(3.3GHz〜5GHz、8コア16スレッド、20MBキャッシュ)
  • Ryzen 9 6980HX(同上)

(※1)「+」は、状況によって45Wを超えるTDPとなる場合があることを示している

モバイルRyzen 5000シリーズにも新モデル登場

 今回、前世代のモバイルRyzen 5000シリーズのUプロセッサにも新モデルが登場する。TDPはいずれも15Wとなる。

  • Ryzen 3 5425U(2.7GHz〜4.1GHz、4コア8スレッド、10MBキャッシュ)
  • Ryzen 5 5625U(2.3GHz〜4.3GHz、6コア12スレッド、19MBキャッシュ)
  • Ryzen 7 5825U(2GHz〜4.5GHz、8コア16スレッド、20MBキャッシュ)

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