ノートPCの“真の性能”はバッテリー駆動時に分かる Intelが説明(1/2 ページ)

» 2020年11月24日 00時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 Intelは11月20日、8月19日に行われた報道関係者向けオンライン説明会「Real World Performance Workshop(現実世界におけるパフォーマンスに関するワークショップ)」を開催した。

 この説明会は、8月19日に開催された説明会「Intel Platform Advantage」の“続編”に当たる。前回は、同社のノートPC向け第10世代Coreプロセッサ(開発コード名:Comet Lake-HおよびIce Lake)と、競合であるAMDのモバイル向け第3世代Ryzen Mobileプロセッサ(Ryzen 4000シリーズ)を比較して、「ベンチマークはリアルな使い方で取るべき」と主張していた。

 今回の説明会は「Truly Mobile Performance」、日本語にすると「真のモバイルパフォーマンス」をテーマに進められた。Intelのいう真のモバイルパフォーマンスとは何なのだろうか。

真の性能 今回の説明会のテーマは「Truly Mobile Performance(真のモバイルパフォーマンス)」。何が“真の”なのだろうか……?

ユーザーはバッテリー駆動時のパフォーマンスの良さを求めている

 Intelの調べによると、最近のノートPCの購入者の約7割は、家の中でノートPCを持ち歩いて使っているのだという。

 オフィスアプリの利用、Webブラウジング、コンテンツ作成――日常使いでもバッテリー駆動を多用する昨今において、ノートPCにはバッテリー駆動時のパフォーマンスの良さも求められるというのが同社の主張だ。

調査 Intelの自社調査によると、最近ノートPCを買った人の7割程度は家庭内モバイルをしているという

 前回の説明会で、同社はバッテリー駆動になると、Ryzen 4000シリーズを搭載するノートPCはパフォーマンスが大きく落ち込むという検証結果を披露した。ノートPC向け第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake)の発表時に行われた技術説明会でも、同趣旨の説明が盛り込まれた。

 Intelとしては、Ryzen 4000シリーズはコンセント(外部電源)なしには本領を発揮できないという「コンセント番長」ぶりを問題視(?)しているようだ。

TGLテスト Tiger Lakeの正式発表時に行われた技術説明会の資料。第3世代Ryzen Mobileプロセッサ(Ryzen 7 4800U)は、バッテリー駆動時におけるベンチマークスコア大きく落ち込んでいることが分かる

「コンセント番長」にメーカー間の傾向の違いはない

 第3世代Ryzen Mobileは「コンセント番長」である――そのことを証明するために、IntelはTiger Lakeを搭載する市販ノートPC(一部はベアボーンキット)とRyzen 4000シリーズを搭載する市販ノートPCを5台ずつ用意。その上で、ディスプレイの輝度を200ニトにそろえたこと以外は設定を変えずにバッテリー駆動でベンチマークテストを実施した。

検証に使う10台 Intelが検証に利用した10台のノートPC
詳細なスペック 今回テストで用いるノートPCの詳細なスペック。Ryzen 4000シリーズを搭載するマシンが6台になっているのは、CPU電圧に関する検証にのみ出てくるマシンが1台(ASUS ROG Zephyrus G14)含まれているからである

 Intelがまず示したのが、総合ベンチマークソフト「PCMark 10」のApplicationsテストの結果だ。このテストではMicrosoft Officeの主要アプリケーション(Word、Excel、PowerPoint)と「Microsoft Edge」を利用した際のパフォーマンスを計測できる。

 同社はAC(外部)電源のある場合とない場合のそれぞれで、テストを繰り返し実行したという。結果を見てみると、Ryzen 4000シリーズを搭載するノートPCはバッテリー駆動になるとスコアが最大で38%落ち込んだ。4割近い性能ダウンということになる。

PCMark 10 PCMark 10(Applications)の結果。Ryzen 4000シリーズを搭載するノートPCは、バッテリー駆動時のスコアが大きく落ち込んでいることが分かる

 続けて、同社はHTML5とJavaScriptベースのWebブラウザベンチマーク「WebXPRT」や、同社も参画する団体が作成した総合ベンチマーク「SYSmark 25」の結果も示した。PCMark 10の結果と同様に、Ryzen 4000シリーズはバッテリー駆動時に有意なスコア低下を確認できたという。

WebXPRT WebXPRTの結果。Ryzen 4000シリーズはバッテリー駆動にすると最大で40%ほどスコアが落ち込む
SYSmark 25 SYSmark 25の結果。前2つのテストほどの落ち込みではないが、Ryzen 4000シリーズはバッテリー駆動すると最大で約30%スコアが下がる
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月21日 更新
  1. 「こりゃ買えないわ」の声――ついに30万円突破の128GB DDR5メモリも (2025年12月20日)
  2. 3COINSで1万6500円の「10.1インチ タブレット」を試す 雑に扱える手軽さで、子供や大人の2台目に検討の価値アリ (2025年12月20日)
  3. Thunderboltがあればメイン環境を持ち歩ける? 「ThinkPad P14s Gen 6 AMD」と外付けGPUユニットを試してみた (2025年12月19日)
  4. 香港と深センのPC向けメモリ/ストレージ価格はどうなっている? 日本の状況と比べてみた (2025年12月19日)
  5. ナカバヤシ、小型トラックボールを内蔵した薄型ワイヤレスキーボード (2025年12月19日)
  6. PC版「ホグワーツ・レガシー」の無料配布が間もなく終了 累計販売4000万本突破、“ハリポタ”舞台のオープンワールド・アクションRPG (2025年12月18日)
  7. Steamで2025年最後の安売り「ウインターセール」開催中! 恒例の「Steamアワード」も投票開始 (2025年12月19日)
  8. 電源内蔵で配線がスッキリする「エレコム スイッチングハブ EHC-G08MN4A-HJB」が17%オフの4980円に (2025年12月18日)
  9. スマートホーム“ガチ勢”向け「SwitchBot AIハブ」を試す 映像内の“出来事”をトリガーに家電操作できるAIカメラ実現 (2025年12月15日)
  10. メモリは64GBキットを断念する空気感――128GBは何と20万円前後に (2025年12月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー