Intelが8月19日、報道関係者向けオンライン説明会「Intel Platform Advantage」を開催した。この説明会を通して同社がアピールしたのは、IntelのCPUが“実際の”利用シーンにおいてより良いパフォーマンスを発揮するということだ。
一体、どういうことなのだろうか。同社のヒラル・ジワラ氏(マーケティング&パフォーマンス担当ディレクター)の解説をまとめた。
ジワラ氏は始めに「(PCの)パフォーマンスはどのように測るべきか?」と疑問を投げかけた。その上で、コンピュータアーキテクチャの解説書として有名な「Computer Architecture: A Quantitative Approach」(ジョン・L・ヘネシー氏とデビット・A・パターソン氏の共著、参考リンク)の以下の一節を引用した。
(原文)Our position is that the only consistent and reliable measure of performance is the execution time of real programs…(以下略、太字はIntelの資料通り)
(日本語訳)私たちの立場は、一貫性と信頼性のあるパフォーマンスの目安は実在するプログラムの実行時間である……(以下略)
引用を通して、実在する実用プログラムを使ったベンチマークテストを使わないと意味が薄れると主張した格好だ。
そうなると、「実在する実用プログラムを使ったベンチマークテスト」は何が良いのかという問題が生じる。そこで、ジワラ氏がはIntelも関与する非営利組織「BAPCo(Business Applications Performance Corporation)」が開発したベンチマークソフト「SYSmark 25」と、ULが開発したベンチマークソフト「PCMark 10」の比較を始めた。
同氏は、SYSmark 25はMicrosoft Officeを始めとする実在するメジャーなアプリを使ってテストを実行するのに対し、PCMark 10でも実在するアプリ(厳密には実在するアプリと同じモジュール)でテストを行うものの、シェア的な観点からメジャーとはいえないものを使ってテストを行っていると指摘する。要するに、SYSmark 25の方が多くの人にとって参考になるベンチマークテストであると主張しているのだ。
同氏はさらに、BAPCoが開発したバッテリーベンチマークアプリ「MobileMark 2018」も実在するメジャーアプリを使ってテストを実施することと、同団体がIntel以外のPCメーカーやメディアも参画していることをつけ加えた。
合わせて、Intelでは「Representative Usage Guides(RUGs)」という評価ガイドを策定している。これはメジャーなアプリにおけるテストを自動実行し、その結果を通して、PCのパフォーマンスやバッテリー持ちなどを限りなく実際の利用環境に近い形でチェックできるという。
筆者個人としては、PCMark 10を引き合いに出してSYSmark 25やMobileMark 2018を紹介したのは、報道関係者に両ソフトをもっと使ってほしいというアピールでもあったのではないかと考える。というのも、国内外を問わず、メディアに掲載されるPC本体のベンチマークテストでは、PCMark 10(あるいは旧バージョンの「PCMark 8」)が使われることが多いからだ。
「実使用環境に近いテストを」という理念自体は共有できるものの、SYSmark 25、MobileMark 2018やRUGsをアピールするのは良かったのだろうかという疑問は残る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.