今回はモバイル向けプロセッサに関する説明が中心だったが、デスクトップ向けプロセッサの「実使用環境」についても言及があった。
先日発売されたRyzen 3000XTシリーズでは、ベースとなるCPUからブースト(最高)クロックが100〜200MHz引き上げられている。しかし、SYSmark 2018でベンチマークテストを実行すると、ベースCPUからスコアが1〜2%ほどしか改善しなかったという。
さらに、Ryzen 3000シリーズのフラグシップとなるRyzen 9 3900XT(3.8G〜4.7GHz、12コア24スレッド)と、CoreプロセッサのフラグシップとなるCore i9-10900K(3.7G〜5.3GHz、10コア20スレッド)……ではなく、下位のCore i7-10700K(3.8G〜5.1GHz、8コア16スレッド)とのゲームにおける「実使用環境」での平均フレームレートの比較結果が披露された。ノートPCにおける比較と同様に、CPU以外の構成はそろえられており、価格はRyzen 9 3900XT搭載PCが499ドル(約5万3000円)、Core i7-10700K搭載PCが387ドル(約4万1000円)である。
結果は、30ゲーム中24個がCore i7-10700Kの方がフレームレートが高いか、Ryzen 9 3900XTと同等だ。つまり、Intel製CPUなら、より手頃な価格でゲームを快適に楽しめる可能性が高いということになる。
ただし、30ゲーム中6個は、Ryzen 9 3900XTの方がフレームレートが高かった。Ryzenや多コアCPUへの最適化が進むと、Coreプロセッサの優位が保てるかどうかは分からなくなる。
今回の説明会を通して感じたのは、Intelのある種の「焦り」だ。
最近はデスクトップ向けだけではなくモバイル向けCPUの世界において、Ryzenは着実に知名度を上げ、シェアも向上してきている。これは、ひとえに「費用対効果」に優れているからだ。
「安いがパフォーマンスがいまいち」「APUはGPU部分こそ高性能だけどCPU部分が……」といったAMD製CPU/APUの評判は過去のものになりつつある。Intelが指摘する通り、弱点はまだあるものの、世代を経るごとに着実に改善している。
今後のPC向けCPUの勢力図はどうなるのか。予断を許さない状況なのは間違いなさそうだ。
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