VAIO事業が絶好調のノジマ、第4四半期の出荷台数は過去最高に 「AI PC」需要で次期も成長を見込む

» 2026年05月07日 19時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

 ノジマが、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の連結業績を発表した。VAIOによるプロダクト事業セグメントの売上高が前年比278.5%増の669億8800万円、経常利益は前年比478.8%増の49億4400万円となった。

ノジマ

26年度見通しは売上高1兆円の大台へ VAIOの第4四半期出荷台数は過去最高

 ノジマによるVAIOの買収は2025年1月に完了したため、前年度実績は第4四半期のみとなり、当期実績との比較になることから、成長率は大幅に高くなっている。VAIOは2024年6月〜2025年3月の10カ月間の業績を発表しており、同期間の売上高は495億8000万円、経常利益は18億8000万円だった。2025年度通期でも、前年実績を大きく上回っていることが推察できる。

 また、第4四半期(2026年1月〜3月)のVAIOの出荷台数が、過去最高になったことも発表された。「2025年10月のWindows 10のサポート終了に伴う需要は減速傾向にあるものの、個人/法人ともに底堅く推移した。メモリなどの市場価格高騰および一部供給逼迫の影響下においても安定した供給体制を維持し、法人の年度末需要に対応することができた。個人向けは、新生活需要を捉えた販促施策により販売が拡大した他、2026年1月に開始したドコモ店舗での販売も増収に寄与した。また、2026年2月には日本初となるバッテリー保証サービスを全モデルに導入し、無償保証の対象を経年劣化まで拡充することで、VAIOブランドの信頼性向上を図った」としている。

 2026年度については、前年実績を上回る販売台数を見込んでおり、「国内PC市場においてはWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要が一巡し、部材価格や製造コスト上昇を背景とした価格改定の影響がある。だが、生成AIの活用拡大や生産性向上への関心を背景に、AI PCの需要は、法人および個人の双方で徐々に拡大するものと見ている。高品質で高付加価値な国産PCに加え、AI時代の働き方を支える製品、サービスの提供を通じて、安定的な成長を目指す」としている。

 ノジマ 取締役兼執行役の幡野裕明氏は、「市場全体としては、Windows 10のサポート終了に伴う需要の反動はあるが、その一方で、付加価値が高い製品を購入したいというニーズがあり、その点ではVAIOに対する需要は底堅い。4月23日に実施した値上げに関してもそれほど影響がないと考えている。部材の調達に関しても、2026年度の計画において、大丈夫だとみている」と述べた。

ノジマ 取締役兼執行役の幡野裕明氏 ノジマ 取締役兼執行役の幡野裕明氏

 なお、ノジマの店舗では2026年4月以降、VAIOの製品知識とコンサルティング力を備えた販売員を認定する 「VAIOマイスター制度」を導入し、全店舗に配置。さらにノジマのエミテラス所沢店(埼玉県)、レイクタウン店(埼玉県)、長泉店(静岡県)、小田急町田店(東京都)の4店舗では、「VAIO Shop in Shop」を開設し、AIノイズキャンセリングや画面共有、高速起動などのVAIO独自機能を実機で体験できるようにしている。

 一方、ノジマの2025年度通期(2025年4月〜2026年3月)の連結業績は、売上高は前年比15.2%増の9828億円、営業利益が同20.1%増の580億円、経常利益は同21.7%増の622億円、EBITDAは同16.6%増の865億円、当期純利益は同20.6%増の389億円となった。

 売上高と営業利益、EBITDAは過去最高を更新し、経常利益と当期純利益は、2020年度にスルガ銀行などの持分法による投資利益を除くと、過去最高を更新している。

 セグメント別では、デジタル家電専門店運営事業の売上高が前年比12.5%増の3398億6300万円、経常利益は同2.1%増の205億1300万円となり、売上高は過去最高値を更新した。デジタル家電専門店と通信専門店は、合わせて241店舗を出店済みだ。同社の特徴である「コンサルティングセールス」への評価が高く、AI機能を搭載したPCの販売増加や、高付加価値の美容家電の販売が好調に推移したという。加えて、3月末まで「大出血算(決算)セール」などを実施する一方、2026年2月には「ロボットショールーム」を開設している。

 キャリアショップ運営事業の売上高は前年比8.0%増の3970億3100万円、経常利益は同40.0%増の269億1200万円となり、いずれも過去最高を更新した。端末価格の高騰の影響があったが、安心安全につながるセキュリティサービスの提供に加え、接客品質と顧客満足度を高める施策が功を奏したという。直営店とフランチャイズ店を合わせて937店舗を出店している。

 ニフティやセシールなどで構成するインターネット事業の売上高は前年比3.6%増の728億8300万円、経常利益は10.9%減の55億1000万円となった。ニフティでは「お客様に最も近く感動されるISP」を目指し、各種施策を展開している。顧客の回線品質満足度を高めるために宅内回線診断アプリを開発した他、メールセキュリティ強化のため「@niftyメール」において、BIMIやFCrDNS対応などを進めた。

 ノジマの2026年度(2026年4月〜2027年3月)連結業績見通しは、売上高が前年比1.7%増の1兆円、営業利益が同1.6%増の590億円、経常利益は同22.0%増の760億円、EBITDAは同12.0%増の970億円、当期純利益は同23.3%増の480億円とした。

 2027年度からの省エネ基準改正を控えたエアコンの買い替え需要に加えて、PCやスマホ関連での堅調な販売が業績を下支えすると見ている。

 ノジマ 取締役兼代表執行役副社長の温盛元氏は、「中東情勢などの影響により、省エネ性能が高いモデルへの関心が高まっている。ナフサ不足は、製品本体への影響だけでなく、エアコンの取り付け工事部材の不足など、周辺にも影響が及ぶことを懸念している」と述べた。

ノジマ 取締役兼代表執行役副社長の温盛元氏 ノジマ 取締役兼代表執行役副社長の温盛元氏

 ノジマは2026年4月に、日立の家電事業を買収することを発表した。2026年度中に家電事業を行う新会社を設立し、事業を開始する予定だが、今回の業績見通しの中には織り込んでいない。

 ノジマの幡野取締役兼執行役は「ノジマが長年培ってきたコンサルティングセールスによる顧客接点を生かした市場ニーズの吸い上げと、日立グループが100年以上に渡って培ってきた高度な日本のモノづくり技術を融合する。現場で得られるお客さまの声を製品開発からアフターサービスまで循環させるという、ユーザー情報を起点とした独自のビジネスモデルを構築していきたい。スピード重視で統合を図っていく」と述べた。

 ノジマは2026年3月、本社を東京・品川の品川インターシティに移転し、グループ各社の移転も順次進めている。今後、虎ノ門にあるVAIOの東京本社も、品川に移転することになる。

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