ブーストクロック“微増”の効果はいかに? 「Ryzen 3000XT」実力をベンチマークで検証!(3/3 ページ)

» 2020年07月23日 11時00分 公開
[松野将太,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

3DMark(Time Spy/Fire Strike)

 続いて、3D描画性能を計測するベンチマークアプリ「3DMark」の結果を見てみよう。今回は、DirectX 12 API使ったテスト「Time Spy」シリーズと、DirectX 11 APIを使ったテスト「Fire Strike」シリーズをそれぞれ実行している。

 まず、Time Spyシリーズのテスト2種類の結果から見ていこう。Time Spyシリーズのテストで用いるDirectX 12 APIは、CPUの並列化がパフォーマンスを大きく左右する。そのこともあって、総合スコアにはCPUの性能差が如実に表れた。

 標準テストの「Time Spy」でトップに立ったのはCore i9-10900Kで、それに150ポイントほどの差で続くのRyzen 9 3900XTだ。そこから400ポイントほど離れてRyzen 7 3800XTが続き、さらに900ポイントほど離れてRyzen 5 3600XTが来るという結果となった。

 描画解像度の高い「Time Spy Extreme」ではRyzen 9 3900XTとCore i9-10900Kの順位が逆転するものの、スコア差は小さい。

 Time Spyシリーズのテストでは、コア数が多く1コア当たりの動作クロックも高いCore i9-10900Kや、コアが最も多いRyzen 9 3900XTが良好な結果を残している。Ryzen 7 3800XTやRyzen 5 3600XTは動作クロックこそ高めではあるものの、コア数の少なさがネックとなったと思われる。

Time Spyシリーズ 3DMarkのTime Spyシリーズにおけるベンチマーク結果

 一方、DirectX 11を用いるFire Strikeシリーズのテスト3種では、CPUのコアやスレッドの数の優位性は薄れる。その結果、Ryzen 7 3800XTやRyzen 5 3600XTのスコアが相対的に向上している。

 最も軽量なフルHD(1920×1080ピクセル)解像度の「Fire Strike」では、総合スコアに顕著な差が出ている。最も優秀だったのは、Ryzen 7 3800XTで、その後にはCore i9-10900K、Ryzen 9 3900XT、Ryzen 5 3600XTが続いた。

Fire Strikeシリーズの結果 3DMarkのFire Strikeシリーズにおけるベンチマーク結果

 総じて、DirectX 12を使うゲームを楽しむのであればRyzen 9 3900XTが魅力的だが、コストパフォーマンスを考慮に入れると、4万円台半ばで購入できるRyzen 7 3800XTのバランスの良さも光る。

FF14ベンチ/FF15ベンチ

 負荷が軽いゲームについて、もう少し検証してみよう。

 実際のゲームを元にしたベンチマークソフトである「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(FF14ベンチ)で、「最高品質」「フルスクリーン」の設定を適用し、フルHD、WQHD(2560×1440ピクセル)、4K(3840×2160ピクセル)の3パターンの解像度で計測してみた。

 結果としては、基本的には最高クロックの差がスコア差として現われた。全ての解像度においてCore i9-10900Kはトップに立ったが、解像度が高くなるほどスコア差は小さくなる。コア数と動作クロックのバランスが良いRyzen 7 3800XTも健闘はしているが、Ryzen 5 3600XTとの差はあまり出ていない。

 その観点に立つと、Ryzen 9 3900XTはコア数の優位性をほとんど発揮できておらず、特に解像度が低くなるほど不利になりがちだ。

 主にDirectX 11を用いるゲームタイトルをプレイする場合は、Ryzen 9 3900XTの価格に見合うメリットを見いだしづらいかもしれない。

FF14ベンチ FF14ベンチの結果

 より負荷の高い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチ)」のスコアも確認しよう。「高品質」「フルスクリーン」の設定で、フルHD、WQHD、4Kの3解像度でテストを実施した。

 こちらはDirectX 12ベースで、テスト自体のグラフィックス負荷も大きい。そのこともあり、スコアはかなりの混戦となった。

 いずれの解像度でも、わずかではあるがCore i9-10900Kのスコアが優勢だ。Ryzen 3000XTシリーズはスコアが拮抗(きっこう)しており、明確な差は見られない。ただ、Core i9-10900Kと比べると極端にスコアが悪いというわけでもなく、価格を考えればどの製品を選ぶかは悩ましい。

FF15ベンチ FF15ベンチの結果

 「Ryzenはゲームが苦手」というイメージのユーザーも多いかもしれないが、第3世代に入ってからはそのような側面は大きく改善された。少なくとも、選択肢として積極的に検討できるポテンシャルは備えている。

消費電力テスト

 最後に、システム全体の消費電力をチェックしよう。

 起動後10分間何もせずに安定させた場合の値を「アイドル時」、3DMarkのTime Spy Extremeテストを動作させた際の最高値を「高負荷時」としてワットチェッカーで計測した。

 Intel CPUと比較すると、Ryzen 3000XTシリーズは高負荷時の消費電力がやや高い。とはいえ、Time Spy Extremeのような高負荷テストでは、最大消費電力の違いはわずか20〜30W程度だ。ハイエンドGPUと組み合わせた場合でも、それほど容量の大きな電源ユニットは必要ないだろう。

消費電力 消費電力のグラフ

まとめ:“買い”かどうかはその時点の実売価格次第

 繰り返しだが、Ryzen 3000XTシリーズは既存モデルのブーストクロックを100〜200MHz引き上げたマイナーチェンジモデルであり、劇的な性能向上やインパクトのある変更点はない。競合の第10世代Coreプロセッサと比較した場合、コストパフォーマンスの高さは健在ではあるものの、現時点で併売されているRyzen 3000Xシリーズは実売価格がさらに安いため、ちょっと評価が難しい存在、というのが正直な所である。

 仮に実売価格が「X」と並んだならば、上位2モデルはCPUクーラーを用意する必要があるものの、それなりのメリットはある。今後の価格推移に注目したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月26日 更新
  1. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  2. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  3. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  4. なぜ競技用ゲーミングPCは光らない? HPSC久木留所長とマウス軣社長が語るアスリート支援の未来 (2026年09月24日)
  5. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  6. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
  7. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  8. ロジクールGの新型マウス「PRO X3 SUPERSTRIKE」や8K対応キーボード「PRO X2 RAPID」を見てきた (2026年09月24日)
  9. 天空がCore Ultra 5を搭載した10.51型2in1ノート「TENKU Note Pro AI」を発売 (2026年09月24日)
  10. GeForce RTX 5080は30万円超えの空気感――GPU高騰の裏で見つけた7割引の水冷パーツと8万円台の小型PC (2026年09月26日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー