ブーストクロック“微増”の効果はいかに? 「Ryzen 3000XT」実力をベンチマークで検証!(2/3 ページ)

» 2020年07月23日 11時00分 公開
[松野将太ITmedia]

Core i9-10900Kと比較しつつ性能をチェック

 ここからは、実際にRyzen 3000XTシリーズのパフォーマンスをベンチマークテストを通して確認していこう。

 今回、CPUクーラーは240mmラジエーターを搭載するオールインワン水冷ユニットを使い、GPUはボトルネックとならないようにあえて「GeForce RTX 2080 Ti」を選択した。マザーボードはASUSの「ROG Strix X570-F Gaming」で、UEFIは執筆時点で最新の「2407」とした。

 さらに、主にCPUの性能を比較すべく、Intelの第10世代Coreプロセッサの最上位モデル「Core i9-10900K」を搭載するシステムも用意した。

Ryzenのテスト環境 Ryzen 3000XTシリーズを検証したシステムの構成
Coreのテスト環境 比較対象となるCore i9-10900Kを検証したシステムの構成。CPUとマザーボード以外の機材はRyzenの検証環境とそろえた

CINEBENCH R15/R20

 まず、CPUの処理性能を計測する定番ベンチマーク「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」の結果を見てみよう。

 Ryzen 3000XTシリーズのCINEBENCH R15のマルチスコアを見ると、コアとスレッドが最も多いRyzen 9 3900XTが抜群の優秀さを示している。その後には、Ryzen 7 3800XT、Ryzen 5 3600XTが続く。純粋にコアとスレッドが多いほど良い結果となっている。

 シングルスレッドテストではスコアが拮抗しているものの、ブーストクロックが高いRyzen 7 3800XTやRyzen 5 3600XTが良好な成績を残している。これら2プロセッサと比べると、Ryzen 9 3900XTはそれには及ばないが、僅差である。

 筆者の手元にある、過去のベンチマーク結果と比較する限り、いずれのCPUも既存の「X付き」モデルとは劇的な差はない。想定通りの結果である。

CINEBENCH R15 CINEBENCH R15の結果

 CINEBENCH R20の結果も、CINEBENCH R15と傾向はほとんど変わらない。

 10コア20スレッドのCore i9-10900Kと比較すると、マルチテストではコア数の違いでほぼリニアにパフォーマンス差が生じている。一方で、シングルテストでは最大クロックの高いCore i9-10900Kが有利に働いている。この点で、Ryzen 3000XTシリーズを含むAMD製CPUは不利といえる。

 とはいえ、シングルテストの結果には大差はなく、Core i9-10900Kが実売価格で7万円を超えるCPUであることは念頭に置いておく必要があるだろう。

CINEBENCH R20 CINEBENCH R20の結果

 Ryzen 3000XTシリーズについては、CINEBENCH R20を3回連続で実行した場合の平均実効クロック(Average Effective Clock)とCPU温度の推移もグラフ化した。

 ベンチマーク中の実効クロックはRyzen 9 3900XTはおおむね4.04GHz前後、Ryzen 7 3800XTとRyzen 5 3600XTは4.26GHz前後で、テスト実行中はおおむねブレがない。

 温度に関してはRyzen 9 3900XTが70度前後と最も低温で推移しており、Ryzen 7 3800XTは73〜75度、Ryzen 5 3600XTはおおむね71前後の値を示した。240mmラジエーター搭載のオールインワン水冷キットであれば、いずれのCPUを冷却できているといえそうだ。

実効クロック CINEBENCH R20計測中のRyzen 3000XTシリーズの実効クロック
CPU温度 CINEBENCH R20計測中のRyzen 3000XTシリーズのCPU温度

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. ついに8K対応した「Insta360 X4」の画質をX3と1インチ360度版で比較 今買うべき全天球カメラだと確信した (2024年04月16日)
  2. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  3. 「JBL GO 4」でBluetoothスピーカーデビュー! 累計出荷台数5700万台を突破した人気製品の最新モデルを試す (2024年04月17日)
  4. AI対応でCore Ultraよりも高いパフォーマンスをアピール! 企業PC向け「Ryzen PRO 8000シリーズ」登場 (2024年04月16日)
  5. Synology「BeeStation」はNASより便利な一面も 家族の“秘密”も守れるストレージ、共有リンクや写真管理もある (2024年04月16日)
  6. SwitchBotのミニプラグに不具合 「断続的にオン/オフを繰り返す、異音」などで該当製品の交換を呼びかけ (2024年04月17日)
  7. 「ASUS ZenScreen MB16QHG」は従来モデルの弱点を解消した高評価の16型モバイルディスプレイだ (2024年04月16日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. 無線LANルーター「Aterm」シリーズの一部に複数の脆弱性 設定変更や買い替えをアナウンス (2024年04月11日)
  10. NVIDIA、Ampereアーキテクチャを採用したシングルスロット設計のデスクトップ向けGPU「NVIDIA RTX A400/A1000」を発表 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー