Zen 3アーキテクチャは効果てきめん? AMDがモバイル向け「Ryzen 5000」シリーズを解説(1/2 ページ)

» 2021年01月26日 23時00分 公開
[井上翔,ITmedia]

 既報の通り、AMDは1月12日(米国太平洋時間)に新型APU(GPU統合CPU)「Ryzen 5000 Series Mobile Processors」(開発コード名:Cezanne)を発表した。

 この記事では、1月14日に行われた報道関係者向け説明会の内容を基に、Ryzen 5000 Series Mobile Processors(以下「モバイル向けRyzen 5000」)の特徴を説明する。

特徴 Ryzen 5000 Series Mobile Processorの特徴

一部を除きCPUアーキテクチャは「Zen 3」に

 モバイル向けRyzen 5000の特徴の1つが、一部のモデルを除いてCPUアーキテクチャを「Zen 3」に移行したことだ。Zen 3アーキテクチャは、先代の「Ryzen 4000 Series Mobile Processors(Ryzen 4000)」で用いられた「Zen 2」と同じく7nmプロセスで作られているが、構造を改善することでパフォーマンスの向上を図っている。

構造図 モバイル向けRyzen 5000(Zen 3アーキテクチャモデル)の概略図

CCXの構造変更

 モバイル向けのZen 2アーキテクチャでは、1基のCCX(※)に最大4基のCPUコアと4MBのL3キャッシュを統合している。8コアCPUの場合、2基のCCXに合計で8MBのL3キャッシュを搭載することになるが、あるCCXに属するCPUコアは、他方のCCXにあるL3キャッシュに直接アクセスできないため、L3キャッシュがボトルネックになってパフォーマンスが低下する恐れがあった。

(※)CCX(Core Complex):CPUコアとCPUキャッシュを統合したモジュール

 それに対し、モバイル向けのZen 3アーキテクチャでは、CCXの構造を最大8基のCPUで16MBのL3キャッシュを共有するように改めた。キャッシュ容量の倍増に加え、8基のCPUコアが同じL3キャッシュにアクセスできるようになったことで、パフォーマンスの改善につながっている。

Zen 3 モバイル向けのZen 3アーキテクチャでは、最大8基のCPUコアが16MBのL3キャッシュを共有する

メモリコントローラーの改善

 モバイル向けRyzen 5000のメモリコントローラーは、メモリチップに対する省電力機能も強化している。メインメモリへのアクセスが少ない場合、メモリチップを省電力モードに移行させることでバッテリーの消費を抑制できる。

 なお、メインメモリはDDR4規格(DDR4-3200/PC4-25600)とLPDDR4X規格(LPDDR4X-4266)の両方をサポートすることは変わりない。

メモリコントローラー メモリコントローラーは、省電力管理機能を強化した

CPUクロックの切り替えの高速化

 従来のモバイル向けRyzenは「バッテリー駆動時のパフォーマンスが悪い」とされてきた。この点は、AMDの競合であるIntelが機会のある度に指摘してきたことでもある。

 その改善策として、モバイル向けRyzen 5000では「CPPC(Collaborative Processor Performance Controls)」と呼ばれるCPUクロック(周波数)の調整機能をサポートした。これにより、UEFI(ファームウェア)とOSが対応していれば、CPUクロックの切り替えが最大で20倍高速に行えるようになる。

CPPC モバイル向けRyzen 5000はCPPCによるCPUクロック調整をサポートした。これにより、従来のモバイル向けRyzenの“弱点”であるバッテリー駆動中のパフォーマンスを改善できる

コア単位での省電力管理に対応

 モバイル向けRyzen 5000では、コア単位で電圧とクロックを調整できるようになった。これにより電力効率が改善し、消費電力を削減できている。

電力管理 モバイル向けRyzen 5000はコア単位で電圧とクロックを調整できるようになった
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