11月4日22時、IntelのハイエンドデスクトップPC向けの「第12世代Coreプロセッサ」(開発コード名:Alder Lake-S)の販売が解禁された。ITmedia PC USERでは、外観やラインアップの情報を既にお届けしている。
販売開始に伴い、ベンチマークテストを始めとするレビュー記事の掲載も解禁された。そこで早速、最上位製品の「Core i9-12900K」と(今回発売される製品の中では)メインストリーム製品となる「Core i5-12600K」のパフォーマンスを確認していこう。
レビューを開始する前に、今回レビューする第12世代Coreプロセッサの特徴的なポイントをいくつかピックアップして解説する。
第12世代Coreプロセッサでは、処理パフォーマンスを重視する「パフォーマンスコア(Pコア)」と、電力効率を重視する「高効率コア(Eコア)」を組み合わせる設計となっている。ここ最近のスマートフォン向けSoCのCPU部分と同じような考え方ともいえる。
PコアとEコアでは、動作クロック、L2キャッシュの容量、マルチスレッド動作の可否など、機能面で差が設けられている。Core i9-12900K(とCore i7-12700K)のPコアは「Intel Turboboost Max Technology 3.0(TBT 3.0)」に対応する一方で、Eコアは非対応だ。
2種類のCPUコアを併載していることから、マルチスレッド対応の第12世代Coreプロセッサでは、従来のように「コア数×2=総スレッド数」という計算が成り立つとは限らない。具体的なコア数とスレッド数の内訳は以下の通りとなる。
コアの特性から、基本的にはPコアには高負荷の処理、Eコアには低負荷の処理が割り当てられていく。この処理の割り当てを担うのが、CPUに統合された「Intel Thread Director(ITD)」と呼ばれるハードウェアだ。ITDはOS側の「タスクスケジューラー」と協調動作するようになっており、11月4日現在において“完璧な”割り振りに対応できるOSは「Windows 11」のみとなる。
Intelによると、現在「Linux」や「Chrome OS」でも最適化(対応)作業を進めているようだ。しかし、少なくない読者が現在使っているであろう「Windows 10」では最適化の予定はない。
同社の説明では、Windows 10でも処理の振り分け自体は問題なく行えるという。だが、ITDが有効に作用しないため、アプリによってはパフォーマンスが低下する可能性があるという。Windows 11とWindows 10で、どのくらいのパフォーマンス差が出るのかは、後日改めてレビューする予定なので、楽しみにしていてほしい。
ともあれ、現時点において第12世代Coreプロセッサを使って自作PCを組むのであれば、素直にOSはWindows 11にすることが無難だ。
デスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサでは、CPUソケットが「LGA 1700」となった。また、チップセットも「Intel 600シリーズ」に刷新された。そのことに伴い、複数のメーカーから新型マザーボードが発売される。マザーボード選びの際に特に気を付けたいポイントは、メインメモリの規格だ。
デスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサでは、従来のDDR4メモリに加えて、より高速なDDR5メモリをサポートする。しかし、両規格にはメモリスロットの互換性が全くないため、マザーボードはDDR4メモリかDDR5メモリのどちらかにしか対応できない。
現時点において、DDR5メモリは種類が少なく、SNS上の声を見る限り当面は品薄状態が続きそうである。「入手性の良いDDR4メモリでひとまず組もう」と思っている人は、買おうとしているマザーボードがDDR4メモリに対応するものかどうかしっかり確認しよう。
逆に「とにかくDDR5メモリで組むんだ!」という人は、買おうとしているマザーボードがDDR5メモリに対応するものかどうか、必ず確認したい。
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