Intelは10月28日(米国太平洋時間)、ハイエンドデスクトップPC向けCPU「第12世代Coreプロセッサ」を発表した。米国におけるCPU単体パッケージの想定販売価格は264ドル(約3万100円)から589ドル(約6万7200円)で、日本を含む30を超える地域で11月4日から順次販売が始まる予定だ。同CPUを搭載するPCも、OEMパートナーから順次発売される。
なお、一般的なデスクトップPC向けとノートPC向けの第12世代Coreプロセッサは、2022年前半に改めて発表される予定だ。
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第12世代Coreプロセッサは「Alder Lake(オルダーレイク)」という開発コード名で開発が進められてきた新型CPUで、処理性能を重視する「パフォーマンスコア(Pコア)」と省電力性を重視する「高効率コア(Eコア)」を組み合わせる設計を採用している。スケーラビリティー(柔軟な拡張性)も重視しており、単一のアーキテクチャで薄型/小型ノートPC(ウルトラモバイル)からデスクトップPCまでカバーできることも特徴だ。
第12世代Coreプロセッサでは、CPUのキャッシュメモリ回りの設計に変更が施されている。
Pコアは、1つ1つのコアが1.25MBの独立したL2キャッシュを搭載している。一方、Eコアは4つのコアが2MBのL2キャッシュを共有する。そのため、「Pコア×8+Eコア×8」という構成の製品なら、合計14MB(Pコア10MB+Eコア4MB)のL2キャッシュを備えることになる。
L3キャッシュはPコア、Eコア、GPUコアの三者が共有する「Intel Smart Cache」となった。容量は製品によって異なり、今回発表された製品では20MB〜30MBである。CPUコアとGPUコアが同じキャッシュメモリにアクセスすることでレイテンシー(遅延)を抑制し、全体的なパフォーマンス向上を図ったという。
今回発表された製品では、CPU直結のPCI Express 5.0バスを最大16レーン、PCI Express 4.0バスを最大4レーン利用できる。PCI Express 5.0バスは外部GPUや高速ストレージ(SSDなど)、PCI Express 4.0バスは高速ストレージでの利用を想定しているという。
メインメモリはDDR5規格とDDR4規格をサポートしている(※1)。チャネル数は最大2つで、容量は最大128GBとなる。ただし、実際に搭載できるメモリの規格や枚数(容量)は、組み合わせるチップセットやマザーボードによって変わるので注意しよう。
(※)メモリの最大通信速度はDDR5規格で4800MT/s(DDR5-4800)、DDR4規格で3200MT/s(DDR4-3200)となる
冒頭で触れた通り、今回発表された新CPUは全てハイエンドデスクトップPC向け製品(SKU)となる。具体的にいえばゲーミングPCやクリエイター向けPCで使われることを想定したもので、「アンロック」にも対応している。同時発表された「Intel Z690チップセット」(詳しくは後述)と組み合わせて使うと、全てのオーバークロック機能を有効化できるという。
新しいアンロック要素の中で注目は「Intel Dynamic Memory Boost Technology」だろう。これは一定の条件を満たす環境において、DDR4/DDR5メモリを必要な時だけオーバークロック駆動する技術だ。電力消費を抑えつつ、メモリ回りのパフォーマンスを改善できるメリットがある。
新CPUは、最上位の「Core i9」、上位の「Core i7」、中位の「Core i5」にそれぞれ「内蔵GPU付き」「内蔵GPUなし(Fプロセッサ)」の2モデルが用意されている。内蔵GPU付きのモデルには、Xe-LPアーキテクチャベースのGPU「Intel UHD Graphics 770」が統合されている。
Core i9プロセッサは、内蔵GPU付きの「Core i9-12900K」と内蔵GPUなしの「Core i9-12900KF」が用意される。Pコアは「Intel Turboboost Max Technology 3.0(TBT 3.0)」に対応している。仕様は以下の通りだ。
Core i7プロセッサは、内蔵GPU付きの「Core i7-12700K」と内蔵GPUなしの「Core i7-12700KF」が用意される。PコアはTBT 3.0に対応している。仕様は以下の通りだ。
Core i5プロセッサは、内蔵GPU付きの「Core i5-12600K」と内蔵GPUなしの「Core i5-12600KF」が用意される。仕様は以下の通りだ。
デスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサ向けのチップセットとして、Intelは「Intel 600シリーズ」を順次リリースする。今回発表されたハイエンド向けの「Intel Z690チップセット」の主な特徴は以下の通りだ。
(※2)日本を含む多くの地域では、法令の都合で6GHz帯での通信に対応しない
(※3)USBポートの構成はマザーボードによって異なる
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