2種類のコアで「省電力」と「高パフォーマンス」を両立――Intelが「Alder Lake」の概要を公開 「Sapphire Rapids」にも新情報(1/3 ページ)

» 2021年08月19日 23時30分 公開
[井上翔,ITmedia]

 Intelは8月18日(日本時間)、オンラインイベント「Intel Architecture Day 2021」を開催。同社のCPUやGPUなど、同社の技術開発に関する動向や方針が報道関係者などに披露された。

 この記事では、クライアント向けCPU「Alder Lake」と、データセンター向けCPU「Sapphire Rapids」(共に開発コード名)について、このイベントで明らかとなった新情報をお伝えする。

概要 Intel Architecture Dayで解説された主な事項

「高効率コア」と「パフォーマンスコア」の2本立て

 今回のイベントの発表において、ハイライトの1つが「新しいx86コア」だ。

 これは消費電力当たりの処理効率を最適化した「高効率コア」(開発コード名:Gracemont)と、処理の遅延とシングルスレッド性能を極限まで高めた「パフォーマンスコア」(開発コード名:Golden Cove)の2種類からなり、Alder Lakeでは両者を組み合わせたいわゆる「big.LITTLE」構造を取っており、Sapphire Rapidsではパフォーマンスコアに機械学習用の演算をさらに高速化する仕組みを取り入れている。

高効率x86コア(Gracemont)

 高効率コアは「フロントエンドの深化」「広いバックエンド」「最適化された設計」の3点に注力して開発された。稼働に必要な電圧を低くすることで、消費電力を抑えつつパフォーマンスを引き上げる余地も設けているという。

高効率コア 高効率x86コアの概要

 第6世代Coreプロセッサ(開発コード名:Skylake)とシングルスレッド性能を比較すると、この高効率コアは同じ消費電力なら最大で40%程度高いパフォーマンスを発揮するという。

 同様に、2コア4スレッドの第6世代Coreプロセッサと4コア4スレッドの高効率コアを比べた場合、高効率コアは同じ消費電力なら最大80%のパフォーマンス改善、同じパフォーマンスなら最大80%の消費電力削減を実現しているという。

 ……と、この説明で何となく察したかもしれないが、高効率コアはハイパースレッディングに対応しない。

シングルスレッド シングルスレッド性能は、第6世代Coreプロセッサ比で最大40%向上しているという
マルチスレッド マルチスレッド性能(4スレッド時)は、2コアの第6世代Coreプロセッサから最大80%向上しているという。なお、高効率プロセッサ側は4コアとなっている

パフォーマンスx86コア(Golden Cove)

 パフォーマンスx86コアは「より広く」「より深く」「よりスマート」の3点に注力して開発されたという。先述の通りシングルスレッド性能を極限まで高めた他、処理の遅延も極限まで抑制する工夫も凝らしている。

パフォーマンスコア パフォーマンスx86コアの概要

 これにより、一般的なPCの用途において、同じクロック(周波数)で稼働する第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake)と比べて相乗平均で19%のパフォーマンス改善を図っているという。

改善 パフォーマンスコアは、同じクロックで稼働する第11世代Coreプロセッサと比べると、相乗平均で19%のパフォーマンス改善を実現したという

 データセンター向けのSapphire Rapidsのパフォーマンスコアには、タイル行列乗算を高速化する拡張「Intel AMX(Advanced Matrix Extensions)」も搭載される。

 従来の機械学習用命令セット(VNNI)を使った場合と比べると、AMXはINT8(8ビット整数)演算の速度が最大8倍で行えるという。機械学習に関する処理のさらなる高速化を期待できる。

AMX Spphire Rapidsのパフォーマンスコアには、Intel AMXも搭載される

コアの“割り振り”を行う「Intel Thread Director」

 先述の通り、Alder Lakeはbig.LITTLE構造を取っている。big.LITTLE構造のCPUでは、タスクを高効率コアとパフォーマンスコアに“割り振る”作業が全体パフォーマンスを大きく左右する。

 例えば、処理負荷の大きいタスクを高効率コアに振り向けてしまうと、処理に余計な時間が掛かってしまう。逆に、処理負荷の低いタスクをパフォーマンスコアに振り向けてしまうと消費電力的な意味で無駄が生じてしまう。

 Alder Lakeにおいて、このタスクの割り振りを受け持つのが「Intel Thread Director(ITD)」だ。ITDはOSの「スケジューラー(処理の割り振りを決めるプログラム)」と協調して動作するようになっており、処理作業の負荷、他の処理の進み具合、CPUの発熱状況、電源の供給状況などを総合的に判断した上で処理を行うコアの割り振りを行う。パフォーマンスコアで「ループ(ビジー)ウェイト」が生じた場合は、処理を高効率コアに移管することも可能だ。

 仕組み上、ITDはOS側でも対応が求められるが、Microsoftが2021年秋にリリースする予定の「Windows 11」は最適なパフォーマンスを発揮できるように調整されているという。

ITD Intel Thread Directorは、Windows 11において最適に動作するという
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  2. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  3. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  4. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  5. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  6. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  7. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  8. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
  9. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  10. 14型モバイルノートPC「FMV Note U」に新モデル登場 約634gモデルに加えて「ゴジラ-0.0」コラボモデルも (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー