Intelは、今回発表されたCore i9-12900Kについて「世界最良のゲーミングプロセッサ」と自称している。また「創作における大きな飛躍」を遂げているともしている。
同社が1世代前の「Core i9-11900K」を搭載するPCとゲーム中のフレームレートを比較した所、特にDirectX 12世代のゲームにおいてフレームレート改善効果があったという。ライバルであるAMDの「Ryzen 9 5950X」を搭載したPCと比べても、一部のタイトルを除いてフレームレートにおいて優位に立ったそうだ。
第12世代Coreプロセッサでは「Pコア」「Eコア」という2種類のCPUコアが搭載されている。そのこともあってか、消費電力の目安を「TDP(熱設計電力)」ではなく、基本消費電力を示す「Processor Base Power」と最大パフォーマンス時の消費電力を示す「Maximum Turbo Power」の2つで表している。
「デフォルト設定のままでもパフォーマンスは最大限引き出せる」ように、今回登場したのはアンロック対応CPUは常にMaximum Turbo Powerで稼働する設定をプリセットして出荷するという。アンロック対応の意味はないかもしれないが、もしもPL1(通常時の電源設定)をProcessor Base Powerに定める定格値に引き下げたい場合は、購入後に設定を変更する必要がある。
省電力性を重視したCPUコアである「Eコア」は、マルチスレッド動作に対応していない。しかしIntelは、シングルスレッドでも十分な処理パフォーマンスを備えているとする。
Eコアの1コア(=1スレッド)当たりの処理パフォーマンスは、デスクトップPC向け第10世代Coreプロセッサ(開発コード名:Comet Lake-S)の1スレッド当たりの処理パフォーマンスとほぼ同じだという。平たくいえば、4基構成のEコアは2コア4スレッドのComet Lake-Sと、8基構成のEコアは4コア8スレッドのComet Lake-Sと同等の処理性能を備えているということである。
最近はCPUやGPUの「単位消費電力(ワット)当たりの処理パフォーマンス」が重要視される傾向にある。Intelによると、第12世代CoreプロセッサはCPU全体のワットパフォーマンスも改善したという。
同社が実施した実験では、Core i9-11900Kを消費電力250Wで稼働した際の処理パフォーマンスを「1」とした場合に、Core i9-12900Kは約4分の1の消費電力(65W)で同じ性能を発揮し、Processor Base Power時(消費電力125W)で1.3倍、Maximum Turbo Power(消費電力241W)で1.5倍のパフォーマンスをたたき出せるとのことだ。
第12世代Coreプロセッサでは、PコアとEコアへの処理の割り振りを「Intel Thread Director(ITD)」と呼ばれる機構で行う。ITDはOSのタスクスケジューラと協調して動作するため、OS側でも対応しないと適切なパフォーマンスを発揮できないことになる。
発売時点においてITDに対応するOSは「Windows 11」のみとなるが、Intelによると「Linux」や「Chrome OS」でも対応するための開発作業が進んでいるという。そう遠くないうちに、LinuxやChrome OSでも第12世代Coreプロセッサのパフォーマンスを引き出せるようになるだろう。
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